みなさんは「アンコールワット」という世界遺産をご存知でしょうか？
名前は聞いたことがあるけど詳しくは知らないという方も多いと思います。

アンコールワットは、カンボジアにあるヒンドゥー教の巨大寺院です。今回のコラムでは、そんなアンコールワットの歴史や呪いの噂などについて詳しく解説していきます。

アンコールワットへの観光を考えている方や歴史について知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。

アンコールワットの基本情報

アンコールワットは、カンボジアのシェムリアップに位置する世界遺産です。東南アジアを代表する観光地として知られ、年間を通じて多くの観光客が訪れています。

「アンコールワット」という名称は、クメール語で「王都」を意味する「アンコール」と、「寺院」を意味する「ワット」に由来しています。

アンコールワットとは

アンコールワットは、12世紀にヒンドゥー教の寺院として、アンコール朝の王都に建立されました。その壮麗な建築様式は当時の東南アジアの文化を象徴しており、世界中にある遺跡群の中でも最大規模を誇ります。

中央祠堂や回廊に見られる美しいレリーフは、訪れる人々を魅了します。アンコールワットはカンボジアの国旗にも描かれているほど、国の誇りと歴史を象徴する存在です。

アンコールワットが世界遺産に登録された理由

アンコールワットが世界遺産に登録されたのは、その建築技術と歴史的背景が人類共通の価値を持つと認められたからです。

ヒンドゥー教と仏教の文化的融合を伝え、壮大な遺跡群が当時の王都の繁栄を物語っています。これらの要素が国際的に評価され、1992年にユネスコ世界遺産へ登録されました。

アンコールワットの歴史

アンコールワットの歴史の起源は約800年前にまで遡ります。ここでは、アンコールワットの歴史について解説していきます。

ヒンドゥー教寺院として建立

アンコールワットは、ヒンドゥー教の神ヴィシュヌを祀る寺院として、当時の王であるスーリヤヴァルマン2世によって、12世紀に建立されました。

当時の王は巨大な寺院を建てることによって、自らの権力で国を治めようとしていたと言われています。

アンコール朝の衰退

アンコール朝は600年もの長きにわたり繁栄しましたが、1431年に現在のタイからのアユタヤ王朝の侵軍によって衰退していきます。

王都アンコールは放棄され、アンコールワットも人々の生活から切り離されていきます。やがて遺跡は密林に覆われ、歴史の中で忘れられる存在となりました。

アンコールワットの発見

その後、19世紀にフランス人探検家アンリ・ムオによって、アンコールワットは再発見されます。彼は旅の途中で熱病にかかって亡くなってしまいましたが、彼はアンコールワットに関する手記と写生画を残していました。

これが西洋に紹介されると、その壮大な建築と緻密な彫刻は世界中に大きな衝撃を与えました。以後、修復や調査が進み、学術的にも観光的にも価値が高まった結果、国際的な注目を浴びることになるのです。

世界遺産への登録

アンコールワットを含むアンコール遺跡群は1992年にユネスコ世界遺産に登録されました。建築美と文化的価値に加え、王都の歴史や信仰の継承を未来へ残すべき遺産として位置づけられています。

また、世界遺産の登録によって国際的な保護体制が整い、修復や保存活動が強化されていきました。

アンコールワットの呪い

アンコールワットには、古来より「呪い」にまつわる逸話が伝わっていますが、実際には呪いはありません。ただ、呪いが噂される理由はいくつかあります。
例えば、遺跡内の仏像には首のないものが多く見られます。これはかつてアンコールワットを征服したクメール・ルージュが切り落としたものと言われており、その不気味な光景からアンコールワットの呪いがイメージされるのかもしれません。

また、カンボジアの現地住民の間では「遺跡には神の力が宿っている」「夜に近づいてはいけない」という教えが古来から伝承されています。観光ガイドもこういった教えを観光客に伝えることがあるため、呪いを想起する方がいるのでしょう。

いずれにせよ観光客は現地のルールに従って、現地の歴史や文化に敬意を持って参拝することが重要です。

アンコールワットの見どころ

アンコールワットには様々な見どころがあり、それぞれが観光客を魅了するでしょう。ここでは、アンコールワットのおすすめの見どころについて解説していきます。

環濠と西参道

アンコールワットを囲む環濠は王都を守る象徴であり、儀式的な意味も持つ水域です。西参道は寺院へと続く壮大な石道で、参拝者を神聖な空間へ導きます。水面に映る寺院の姿は神秘的で、訪れる人々を圧倒します。

西塔門

西塔門はアンコールワットの正面入口で、巨大な石造の門が寺院の威厳を示しています。門をくぐると、壮大な中央祠堂が視界に入り、その規模と建築技術の高さに驚かされるでしょう。

中央祠堂

アンコールワットの中心にある中央祠堂は、神々が住む世界の中心である「メール山」を象徴する建物です。この建物はヒンドゥー教の信仰の核を示す空間であり、訪れる人々を神聖な雰囲気で包み込みます。当時王はその中央で神と交信を行い、民衆を諭したとされています。

第三回廊

第三回廊は寺院の最上層に位置し、かつては王や僧侶など限られた者しか立ち入れませんでした。高所から眺める遺跡の景観は圧巻で、広大な王都跡を一望できます。

レリーフ

アンコールワットの回廊を飾るレリーフは、ヒンドゥー教の神話や戦争の場面を描いています。8つの物語が描かれていると言われており、まるで巨大な絵巻図を見ているかのような幻想的な空間です。

季節や時間帯で変化する表情

アンコールワットは、日の出や夕暮れ時、雨季や乾季によって違った表情を見ることができます。例えば、アンコールワットが朝日や夕陽に染まると、とても幻想的な景色になります。時間帯や季節を工夫すれば、それぞれで異なる美しさを体感することが可能です。

逆さアンコールワット

アンコールワットの中でも一番の有名な写真スポットと言われている池です。水面に映し出される寺院の姿は、絵画のような美しさを持ちます。

アンコールワット周辺のおすすめ遺跡群

アンコールワットを中心とした周辺地域には数多くの魅力的な遺跡群が存在します。そして、各遺跡から当時の文化や建築技術を見ることが可能です。こういった背景を把握しておくことで、より深く観光を楽しむことができるでしょう。

アンコール・トム

アンコール・トムは、13世紀に建設された王都跡で、バイヨン寺院が有名です。巨大な四面仏が林立し、独特の迫力ある景観を生み出しています。都市全体が宗教と建築の融合を体現しており、アンコールワットの観光に欠かせないスポットです。

バンテアイ・スレイ

「東洋のモナリザ」と呼ばれる美しいデバター像が有名なバンテアイ・スレイは、赤い砂岩で造られた小規模ながら緻密な装飾が特徴の寺院です。芸術性の高さから、カンボジア建築の至宝とされ、多くの観光客を惹きつけています。

プレア・ヴィヒア

プレア・ヴィヒアは山岳地帯断崖絶壁に築かれた寺院です。壮大なカンボジア平原の景色を見下ろすことができます。また、天空に浮かんでいるような寺院であるため「天空の寺院」とも呼ばれています。

サンボー・プレイ・クック

サンボー・プレイ・クックはアンコール王朝よりも前に栄えた王都跡で、レンガ造りの独特な寺院群が見どころです。カンボジアの中では3番目に登録された世界遺産であり、後に建造されるアンコールワットの土台となる建築技術を見ることができます。

タ・プローム

タ・プロームは、1186年にジャヤヴァルマン7世が建立した僧院です。巨大なガジュマルの木が遺跡を覆い尽くしている様子が見ることができます。自然と建築が一体化した幻想的な光景は、自然の力に圧倒されるような光景です。

アンコールワットを観光しよう

アンコールワットを訪れる際は、アクセス方法やチケット情報、観光ルートを事前に把握することが大切です。また、現地の服装やマナーを守り、信仰の場であることを意識しながら観光を楽しみましょう。

日本からアンコールワットへの行き方

日本からはカンボジア・シェムリアップ国際空港へのアクセスが基本です。直行便は少なく、ハノイやバンコクを経由するルートが一般的で、所要時間は10時間前後かかります。空港からは車やトゥクトゥクで遺跡群へ向かうことが可能です。

チケット購入方法・値段

チケットの購入は対面でもオンラインからでも可能です。対面の場合は現地のチケットオフィスで購入できます。オンラインの場合はアンコールワットの公式サイトから事前購入が可能です。※上記下線部にリンクをつけてください

1日券(5472円)・3日券(9168円)・7日券(10647円)の3種類があるので、予算や観光日程に合わせて選びましょう。また、11歳以下のお子さんはチケットの購入は不要ですので、ご注意ください。

※最新情報は公式サイトをご確認ください。

見学方法・所要時間

アンコールワットのみの見学は1〜2時間ほどかかります。ただ、アンコールワット周辺の遺跡群も併せて巡る場合は5〜6時間は必要です。

また、効率よく回るにはトゥクトゥクを利用し、さらにガイドをつければ歴史や信仰の背景を深く学ぶことができるでしょう。

観光の注意点

アンコールワットは信仰の場であるため、観光マナーを守ることが特に重要です。露出度の高い服装は禁止され、肩や膝を隠す必要があります。また、遺跡に触れる行為や飲食は禁止です。敬意を払い、安全に観光を楽しみましょう。

アンコールワットで押さえておきたいポイント

観光を快適にするには、訪問時期や服装、通貨や移動手段の情報を知っておくことが大切です。ここでは、アンコールワットを訪れるにあたり、押さえておきたいポイントをご紹介します。

アンコールワットおすすめの季節

観光に最適なのは乾季の11月から3月です。気候が安定しており、日中の暑さも比較的穏やかです。遺跡巡りに適した時期で、多くの観光客が訪れるシーズンでもあります。

使われる通貨はUSドル

カンボジアでは現地通貨リエルもありますが、観光地で主にはUSドルが使われます。特に遺跡観光や飲食、交通手段の支払いにはドルが便利なため、準備しておくと安心でしょう。

移動手段はトゥクトゥクが主流

アンコール遺跡群は広大なため、移動にはトゥクトゥクが欠かせません。料金も比較的安く、1日貸切で遺跡を巡ることもできます。

アンコールワットの歴史を知って観光を楽しもう

このように、アンコールワットには様々な歴史や遺跡群が存在します。これらを把握して訪れることで観光がより楽しく充実したものになるでしょう。

また、通貨や移動手段を知っておくことで現地での不都合やトラブルを避けられます。本記事を読んで少しでも遺跡の魅力に興味を持たれた方は、ぜひアンコールワットに行ってみてください。

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