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私たちが暮らす地球の表面の約70%は、海に覆われています。そんな世界中の海の中で、「最も深い場所」はどこにあるのでしょうか?そしてどのくらいの深さがあるのでしょうか?
今回のコラムでは、「世界の深い海」にフォーカスしてご紹介していきたいと思います。世界一深い海や、深い海ベスト10のランキング、深い海に生息している生き物、世界の海に関する興味深い雑学などをわかりやすく解説します。深海や海洋にまつわる知識を得たい方や、「世界一」にまつわる雑学や驚きを知りたい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
そもそも、「深い海」といっても、海の「深さ」とはどこから測るの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
海の深さは、「最低水面」という基準面から測ります。最低水面は、潮の満ち引きを長期間観測して平均した「平均水面」から計算されるもので、通常はそれ以上海面が低くならない面を指します。海の深さは、昔はおもりつけたロープを使って測っていました。
現在では、技術が発展したため、音響測深機という機械を使っています。音波を出して海底にあたって戻ってくるまでの時間を測り、深さを計算しています。
深海について、厳密な定義は決まっていませんが、一般的には水深200mより深い所が深海と考えられています。太陽光が届かないため、暗く、低温の海をイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。
水深200mより深い海域が深海、ということがわかったところで、ここからはさっそく世界一深い海について迫ってみましょう!
世界一深い海は、マリアナ海溝の南端に位置するチャレンジャー海淵、と言われています。海溝とは海底が細長い溝状に深くなっている場所のことを指し、海淵(かいえん)とは海溝の中にあり、海底の特に深い部分のことを指します。
マリアナ海溝は、日本から南に約2680kmほどの位置にあります。グアムの近くをイメージしてみるとわかりやすいです。とても大きな海溝で、長さ2550km、幅70kmにも及びます。
そんなマリアナ海溝の南端にあるのが、最深部のチャレンジャー海淵です。深さはなんと 10924m!複数の調査ののち、1951年に本格的な測量がされ、調査した探検隊の名前から「チャレンジャー海淵」と名づけられました。
チャレンジャー海淵がそれほどまでに深くなった理由としては、プレートの動きが挙げられます。マリアナ海溝は、沈み込み帯と呼ばれる厚さ100キロほどの2つの巨大な「地殻プレート」がぶつかり合い、片方がもう一方の下へ沈み込む場所なんです。
具体的には、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込んでいます。この沈み込みと、沈みこむ際の圧力で生じる断層や溝の形成で、より深い場所が生まれるのです。
世界一深い海がわかったところで、ここからは深い海をランキング形式でご紹介していきます!
日本列島の東側にある海溝で、太平洋プレートがオホーツクプレートに沈み込んで形成されました。プレート境界の活動が集中する場所であり、過去には大規模な地殻変動の中心となったこともあります。
ペルー・チリ海溝は、チリから約160km離れた沖合にあります。長さは約5900km、平均の幅は64kmと、深さだけでなくその大きさも特徴です。2018年には、イギリスの研究チームが3つの新種のクサウオを見つけました。
カリブ海のプエルトリコの北に位置する海溝です。過去には地殻変動による大きな自然現象が記録されています。なお、2012年の調査では、新種とみられるナマコや甲殻類が見つかっています。
フィリピン海南部に位置する海溝です。太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込み、誕生しました。ちなみに、環太平洋造山帯( 太平洋を取り巻く火山帯)を形成する海溝でもあります。
カムチャツカ半島南部から、北海道南東部にわたって伸びる海溝です。大部分が水深7000m以上であり、全体的に深いという点が特徴です。2006年の千島列島地震や、2013年のオホーツク海深発地震の震源となりました。
太平洋にあり、房総半島から南東に伸びる全長850kmの海溝です。フィリピン海プレートと太平洋プレートの沈み込みによって誕生しました。ちなみに、マリアナ海溝が南に位置することから、合わせて伊豆・小笠原・マリアナ海溝(IBM海溝)と呼ばれることもありますよ。
ニュージーランド北東にあるケルマデック諸島の東部沖にある海溝で、約1000kmにわたって広がっています。2012年には、全長約34cmの短脚類(ヨコエビの仲間)が発見されたことでも有名です。
フィリピン諸島の東にあるフィリピン海西端にあるのがフィリピン海溝です。幅は約60km、長さは約1400kmにおよびます。平均的な水深も6000mを越えることから、1970年までは世界で最も深い海、として知られていました。
トンガ海溝は、太平洋の南西部、およびトンガ諸島の東から南に2500kmほど伸びています。インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートのちょうど境目にあり、深発地震(地下深いところで発生する地震)の原因となることも。なお、トンガ海溝のなかで最も深いのはホライゾン海淵という場所です。
1位は先ほどもご紹介した、グアムの北に位置するマリアナ海溝南端にあるチャレンジャー海淵です。これほど深い場所のため、水圧はなんと108.6メガパスカル。これは、地上でかかる圧力の約1080倍なんです。
ちなみに、2020年時点で、チャレンジャー海淵まで有人潜水艇で潜った人は、13人いるそうですよ……!
ここまでさまざまな深い海をご紹介してきましたが、このような深い海に、どんな生き物がいるのか気になりませんか?
先ほどご紹介したとおり、深海は太陽光が届かず、暗くて低温の場所です。また、海では10メートル下に行くごとに1気圧ずつ高くなるため、深海は水圧がとても高い場所でもあります。
そんな環境のなかにいる生き物をいくつかご紹介します。
たとえば、クロムツという魚は、暗い場所でも少ない光を集めやすいように、とても大きな目をしています。また、チョウチンアンコウは、自ら光を出して獲物をおびきよせるという仕組みがあります。ほかにも、ミツクリザメというサメは、エサが少ない環境でも確実にしとめるために、口が大きく開くという特徴があります。
ここからは、知っているとちょっと自慢できるかもしれない、世界の海にまつわる雑学をご紹介します。
海の深さを考えるときに、ぜひ比較したいのが「世界の高い山」。世界一高い山は、ネパールとチベットにまたがる「エベレスト」であり、その高さは8848mです。
世界一深い海は10924mですから、エベレストよりもはるかに深いことがわかりますね。ちなみに、日本が誇る富士山は3776mですから、チャレンジャー海淵は富士山を縦に3つ重ねても入ってしまうほど。想像以上の深さですよね。海の深さを山と比べると、そのスケール感がよりリアルに伝わってきますよね。
もし「世界一高い山」についても詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
深海の調査は危険性を伴うため、無人探査機といった水中ロボットを使うことが多いです。しかし、人間の目で直接観察することも重視させていることから、有人探査機が使われることもあります。
ちなみに、日本の海洋研究開発機構が持っている有人潜水調査船「しんかい6500」は、技術力が高いことから、日本近海だけでなく、世界の海洋調査でも活躍していますよ!
世界で一番大きな海は、日本の目の前に広がる「太平洋」です。大きさは1億6,525万㎢にもおよび、これは日本列島が約439個入るほど……!
ちなみに、2番目に大きな海は大西洋で、大きさは太平洋の約半分の8,600万㎢、3番目はインド洋で、大きさは7,300万㎢です。
私たちが住んでいる日本のまわりの海にも、実は世界に誇れるくらい深い場所があるんです。ここからは、日本の「深い海」について見ていきましょう!
太平洋、襟裳岬沖から房総半島沖にかけて、南北に広がる海溝で、深さは8020mです(エベレストが8848mなので、だいたい同じくらいです)。さまざまな地震の震源地となる一方で、エビ類、イカ類など、深海特有のめずらしい生き物も見られます。
場所は房総半島沖から南東方向に向かって伸びていて、深さは9780mです。2022年には、この海溝で日本やオーストラリアの大学などの研究グループが、深海8,336m地点で体長約30cmの「スネイルフィッシュ」という魚を発見しました。
世界には、さまざまな深い海があることがわかりましたね。特に世界一の深さを誇るチャレンジャー海淵の深さは、驚きだったのではないでしょうか。深さの探査や、生息している生き物など、深海には魅力と不思議があふれています。
このコラムが、みなさんが世界の海や深海に興味を持つきっかけになれば嬉しいです!
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私たちが暮らす地球の表面の約70%は、海に覆われています。そんな世界中の海の中で、「最も深い場所」はどこにあるのでしょうか?そしてどのくらいの深さがあるのでしょうか?
今回のコラムでは、「世界の深い海」にフォーカスしてご紹介していきたいと思います。
世界一深い海や、深い海ベスト10のランキング、深い海に生息している生き物、世界の海に関する興味深い雑学などをわかりやすく解説します。
深海や海洋にまつわる知識を得たい方や、「世界一」にまつわる雑学や驚きを知りたい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
目次
地球にはどれだけ深い海があるの?
そもそも、「深い海」といっても、海の「深さ」とはどこから測るの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
海の深さは、「最低水面」という基準面から測ります。最低水面は、潮の満ち引きを長期間観測して平均した「平均水面」から計算されるもので、通常はそれ以上海面が低くならない面を指します。海の深さは、昔はおもりつけたロープを使って測っていました。
現在では、技術が発展したため、音響測深機という機械を使っています。音波を出して海底にあたって戻ってくるまでの時間を測り、深さを計算しています。
深海について、厳密な定義は決まっていませんが、一般的には水深200mより深い所が深海と考えられています。太陽光が届かないため、暗く、低温の海をイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。
世界一深い海とは?
水深200mより深い海域が深海、ということがわかったところで、ここからはさっそく世界一深い海について迫ってみましょう!
マリアナ海溝とチャレンジャー海淵
世界一深い海は、マリアナ海溝の南端に位置するチャレンジャー海淵、と言われています。海溝とは海底が細長い溝状に深くなっている場所のことを指し、海淵(かいえん)とは海溝の中にあり、海底の特に深い部分のことを指します。
どれくらい深い?どこにある?
マリアナ海溝は、日本から南に約2680kmほどの位置にあります。
グアムの近くをイメージしてみるとわかりやすいです。とても大きな海溝で、長さ2550km、幅70kmにも及びます。
そんなマリアナ海溝の南端にあるのが、最深部のチャレンジャー海淵です。深さはなんと 10924m!
複数の調査ののち、1951年に本格的な測量がされ、調査した探検隊の名前から「チャレンジャー海淵」と名づけられました。
なぜそこまで深くなったのか
チャレンジャー海淵がそれほどまでに深くなった理由としては、プレートの動きが挙げられます。マリアナ海溝は、沈み込み帯と呼ばれる厚さ100キロほどの2つの巨大な「地殻プレート」がぶつかり合い、片方がもう一方の下へ沈み込む場所なんです。
具体的には、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込んでいます。この沈み込みと、沈みこむ際の圧力で生じる断層や溝の形成で、より深い場所が生まれるのです。
世界で最も深い海ベスト10!
世界一深い海がわかったところで、ここからは深い海をランキング形式でご紹介していきます!
10位:日本海溝(8020m)
日本列島の東側にある海溝で、太平洋プレートがオホーツクプレートに沈み込んで形成されました。
プレート境界の活動が集中する場所であり、過去には大規模な地殻変動の中心となったこともあります。
9位:ペルー・チリ海溝(8065m)
ペルー・チリ海溝は、チリから約160km離れた沖合にあります。長さは約5900km、平均の幅は64kmと、深さだけでなくその大きさも特徴です。
2018年には、イギリスの研究チームが3つの新種のクサウオを見つけました。
8位:プエルトリコ海溝(8605m)
カリブ海のプエルトリコの北に位置する海溝です。過去には地殻変動による大きな自然現象が記録されています。
なお、2012年の調査では、新種とみられるナマコや甲殻類が見つかっています。
7位:ヤップ海溝(8946m)
フィリピン海南部に位置する海溝です。太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込み、誕生しました。ちなみに、環太平洋造山帯( 太平洋を取り巻く火山帯)を形成する海溝でもあります。
6位:千島・カムチャツカ海溝(9550m)
カムチャツカ半島南部から、北海道南東部にわたって伸びる海溝です。大部分が水深7000m以上であり、全体的に深いという点が特徴です。2006年の千島列島地震や、2013年のオホーツク海深発地震の震源となりました。
5位:伊豆・小笠原海溝(9780m)
太平洋にあり、房総半島から南東に伸びる全長850kmの海溝です。フィリピン海プレートと太平洋プレートの沈み込みによって誕生しました。ちなみに、マリアナ海溝が南に位置することから、合わせて伊豆・小笠原・マリアナ海溝(IBM海溝)と呼ばれることもありますよ。
4位:ケルマデック海溝(10047m)
ニュージーランド北東にあるケルマデック諸島の東部沖にある海溝で、約1000kmにわたって広がっています。2012年には、全長約34cmの短脚類(ヨコエビの仲間)が発見されたことでも有名です。
3位:フィリピン海溝(10540m)
フィリピン諸島の東にあるフィリピン海西端にあるのがフィリピン海溝です。幅は約60km、長さは約1400kmにおよびます。平均的な水深も6000mを越えることから、1970年までは世界で最も深い海、として知られていました。
2位:トンガ海溝(10800m)
トンガ海溝は、太平洋の南西部、およびトンガ諸島の東から南に2500kmほど伸びています。インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートのちょうど境目にあり、深発地震(地下深いところで発生する地震)の原因となることも。なお、トンガ海溝のなかで最も深いのはホライゾン海淵という場所です。
1位:マリアナ海溝南端のチャレンジャー海淵:(10924m)
1位は先ほどもご紹介した、グアムの北に位置するマリアナ海溝南端にあるチャレンジャー海淵です。これほど深い場所のため、水圧はなんと108.6メガパスカル。これは、地上でかかる圧力の約1080倍なんです。
ちなみに、2020年時点で、チャレンジャー海淵まで有人潜水艇で潜った人は、13人いるそうですよ……!
深い海にはどんな生き物がいるの?
ここまでさまざまな深い海をご紹介してきましたが、このような深い海に、どんな生き物がいるのか気になりませんか?
先ほどご紹介したとおり、深海は太陽光が届かず、暗くて低温の場所です。また、海では10メートル下に行くごとに1気圧ずつ高くなるため、深海は水圧がとても高い場所でもあります。
そんな環境のなかにいる生き物をいくつかご紹介します。
たとえば、クロムツという魚は、暗い場所でも少ない光を集めやすいように、とても大きな目をしています。また、チョウチンアンコウは、自ら光を出して獲物をおびきよせるという仕組みがあります。
ほかにも、ミツクリザメというサメは、エサが少ない環境でも確実にしとめるために、口が大きく開くという特徴があります。
世界の海に関する興味深い雑学
ここからは、知っているとちょっと自慢できるかもしれない、世界の海にまつわる雑学をご紹介します。
エベレストよりも深い?
海の深さを考えるときに、ぜひ比較したいのが「世界の高い山」。世界一高い山は、ネパールとチベットにまたがる「エベレスト」であり、その高さは8848mです。
世界一深い海は10924mですから、エベレストよりもはるかに深いことがわかりますね。ちなみに、日本が誇る富士山は3776mですから、チャレンジャー海淵は富士山を縦に3つ重ねても入ってしまうほど。想像以上の深さですよね。
海の深さを山と比べると、そのスケール感がよりリアルに伝わってきますよね。
もし「世界一高い山」についても詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
どうやって調べるの?(深海を調査するの?)
深海の調査は危険性を伴うため、無人探査機といった水中ロボットを使うことが多いです。しかし、人間の目で直接観察することも重視させていることから、有人探査機が使われることもあります。
ちなみに、日本の海洋研究開発機構が持っている有人潜水調査船「しんかい6500」は、技術力が高いことから、日本近海だけでなく、世界の海洋調査でも活躍していますよ!
一番大きな海はどこ?
世界で一番大きな海は、日本の目の前に広がる「太平洋」です。大きさは1億6,525万㎢にもおよび、これは日本列島が約439個入るほど……!
ちなみに、2番目に大きな海は大西洋で、大きさは太平洋の約半分の8,600万㎢、3番目はインド洋で、大きさは7,300万㎢です。
~番外編~日本の深い海を知ろう
私たちが住んでいる日本のまわりの海にも、実は世界に誇れるくらい深い場所があるんです。
ここからは、日本の「深い海」について見ていきましょう!
日本海溝(にほんかいこう)
太平洋、襟裳岬沖から房総半島沖にかけて、南北に広がる海溝で、深さは8020mです(エベレストが8848mなので、だいたい同じくらいです)。さまざまな地震の震源地となる一方で、エビ類、イカ類など、深海特有のめずらしい生き物も見られます。
伊豆・小笠原海溝(いず・おがさわらかいこう)
場所は房総半島沖から南東方向に向かって伸びていて、深さは9780mです。2022年には、この海溝で日本やオーストラリアの大学などの研究グループが、深海8,336m地点で体長約30cmの「スネイルフィッシュ」という魚を発見しました。
深海の魅力や不思議に親しもう
世界には、さまざまな深い海があることがわかりましたね。特に世界一の深さを誇るチャレンジャー海淵の深さは、驚きだったのではないでしょうか。深さの探査や、生息している生き物など、深海には魅力と不思議があふれています。
このコラムが、みなさんが世界の海や深海に興味を持つきっかけになれば嬉しいです!
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