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みなさんは、「スコットランド」と聞いてどのようなイメージを持ちますか?イギリスの北部に位置し、豊かな自然と歴史がある国ですが、スコットランドは独特な文化を持つことでも有名です。
そんなスコットランドならではの文化を象徴する存在が、「キルト」です。
このコラムでは、そもそもスコットランドとはどんな国なのか、民族衣装であるキルトはどんな服なのか、どのような起源や文化的背景を持つのかなどをご紹介していきたいと思います。またあわせて、キルトの種類や着る場面についてもわかりやすくていねいに解説していきます。
スコットランドは、イギリス北部に位置する国です。面積は約7万8765平方キロメートル(北海道より少し小さいくらい)で、約600万人が暮らしています。
私たち日本人にとっては、「イギリス」という1つの国があるように感じますが、実はイギリスは正式名称を「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」といい、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという4つの国からなる、連合王国なのです。そのため、スコットランドはイギリスという連合王国を構成する1つの国になります。
日本と同じように四季がありますが、1年を通じて過ごしやすい気候です。夏は比較的涼しく、気温が上がっても湿度が高くないため過ごしやすいです。冬は気温が一桁台になることも多く、雪が降る日もあります。
また、少数言語(スコットランド・ゲール語)、音楽(バグパイプ、ハイランド・ダンス)、料理(ハギス、ショートブレッド)など、スコットランド独自の文化があることも特徴です。
スコットランドは、もともとケルト人が形成した独立国家であり、そこにアングロ=サクソン人という民族が移住し、ケルト人と共存していました。その後イングランドとの長い戦いを繰り返し、1707年にイングランドと併合し「大ブリテン王国」となりました。これが、現在の「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」の原型となっています。
スコットランドがどんな国なのかわかったところで、ここからは民族衣装のキルトについてご紹介していきます!
キルトとは、スコットランドの伝統的な民族衣装です。スカートのような見た目をしていますが、実は1枚の大きな布を腰に巻いて身につけています。男性の正装ですが、女性もお祭りの際などに特別なキルトを着ることがあります。
キルトの着こなし方の特徴としては、生地に細かいプリーツを腰からお尻にかけて作り、「スポーラン」という小さな革製のポーチを付けて、黒いベルトでウエストを締めます。また、靴下・靴下留め、「スキヤンドゥ」というナイフを模した装飾品を身に着け、黒革の編み上げ靴を履く、これが正式なスタイルとなります。
また、本来は下着を身に着けずにキルトを着るのが基本であったため、現在も下着を着けないでキルトを着こなす人も多いんだとか!
スコットランドで大切にされているキルトですが、実は古い歴史を持っています。ここからは、キルトの起源や文化的な背景をご紹介します。
キルトがいつごろ生まれたのは、明確な時期はわかっていませんが、およそ16世紀前半頃までさかのぼると言われています。
キルトはもともと、ハイランダーと呼ばれるスコットランド北部に住んでいた人々が着ていた大きな1枚の毛布に由来すると言われています。彼らは、羊の毛を格子柄に編んだ布をぐるっと身体全体に巻いていました。
腰より上の部分の布は、動きやすいように肩のところで結んだり、寒いときにはポンチョのようにかぶったりしていたそうです。また、寝る際にはそのまま毛布として利用していました。寒いスコットランド北部では、保湿性・保温性にすぐれたウールがとても役立ったのです。
時代を経て、布全体ではなく腰より下の部分だけが残り、現在のキルトの形になりました。このように本来スカートとして作られたものではないため、「キルトはキルト」という認識なのです。
キルトといえば、チェック柄の素敵な「タータン」を思い浮かべる方も多いかもしれません。タータンは、スコットランド地方の領主たちの一族・氏族(クランと呼ばれます)や階級を示すものであり、それぞれ少しずつ色やデザインが異なります。日本の「家紋」をイメージするとわかりやすいかもしれません。
一族同士の政争などに深く関わるスコットランド人の誇り高きアイデンティティーでもあるタータン。実は、昔はタータンの柄は敵・味方を判断する材料でもありました。また、一族ごとに決まった柄があるとはいえ、一族全員が同じ柄を身にまとっていたわけではないため、タータンの種類はなんと数百種類にまで登ると言われています。
ちなみに、地位や身分が高くなるほどチェック柄の色数が増え、パターンが複雑になります。また、団体や会社で固有のタータン柄を持っているところもあるのだと言います。
民族衣装であるキルトには、実はいくつかの種類があります。デザインや素材にそれぞれ特徴がありますので、チェックしていきましょう!
伝統的なキルトで、最も一般的なタイプです。ちょうどひざ下くらいまでの長さで、ウール素材で重厚感があるのが特徴です。場面を選ばず、さまざまなシチュエーションで着用されます。
最もフォーマルなタイプのキルトで、結婚式や公式のイベントなどで着用されます。正式なシチュエーションにふさわしく、タータンの色や柄なども華やかさは控えめ。洗練されたジャケットや装飾的なベルトと合わせます。
より軽い素材で作られたキルトで、若者たちなどが日常的に着用するタイプのものです。フォーマルキルトなどと比べると、色味やデザインも華やか。観光客が民族衣装を着る体験をする際にも人気です。
「ハイランドゲームズ」と呼ばれる、スコットランドの伝統的なスポーツと文化の祭典などで着用されるキルトです。軽く柔らかい素材で作られ、動きやすさが重視されています。デザイン性というよりも、実用性にすぐれたタイプです。
最後に、人々がキルトをどのような場面で着ることが多いのかをご紹介します。キルトは特別な日だけでなく、日常の場面でも広く着用されており、イギリス王室のメンバーも式典や公式行事などでキルトやタータン柄の装いを身に着けることが多くあります。
キルトを着る代表的な場面が、結婚式!伝統的なスタイルの式を挙げるカップルは、新郎がフォーマルキルトを着用したり、新婦も衣装の一部にタータン柄を取り入れたりすることが一般的です。
筆者(私)はイギリス・イングランド在住ですが、スコットランド出身の友人が自分の結婚式でキルトを着ていたのを見たことがあります……!
先ほどご紹介したハイランドゲームズなどのお祭りでもよく着られます。男性だけでなく、スコットランドの踊り「ハイランドダンス」を踊る女性たちも、パフォーマンスの際にキルトを着用します。
伝統的なスタイルのお葬式では、亡くなった方の一族と関係があるタータン柄のキルトを身につけ、敬意を表します。一族のつながりや信頼、絆などを再確認する大切な場でもあるのです。
キルトは特別な日だけ着用するのではなく、若者などを中心に、日常的に友人との集まりなどでも着られています。先ほどご紹介したカジュアルキルトなどは、軽くて着心地も良いため、日常使いにぴったりなのです。
スコットランドの観光スポットなどで、キルトを着用してバグパイプを演奏している方はよく見かけます。また、観光客が文化体験のひとつとして、キルトを着用して記念撮影する、ということも多いです。
これまでにテレビの旅番組などで、キルトを着てバグパイプを演奏する男性の姿などを見たことがある方も多かったかもしれません。しかし、歴史や文化的背景を今回はじめて知ったという方もいるのではないでしょうか。
また、キルトの種類や着用シーンなどは実に多様であることがわかりました。そんなスコットランドの豊かな文化と誇りが感じられるキルトに、ぜひ親しんでみてくださいね。
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みなさんは、「スコットランド」と聞いてどのようなイメージを持ちますか?
イギリスの北部に位置し、豊かな自然と歴史がある国ですが、スコットランドは独特な文化を持つことでも有名です。
そんなスコットランドならではの文化を象徴する存在が、「キルト」です。
このコラムでは、そもそもスコットランドとはどんな国なのか、民族衣装であるキルトはどんな服なのか、どのような起源や文化的背景を持つのかなどをご紹介していきたいと思います。またあわせて、キルトの種類や着る場面についてもわかりやすくていねいに解説していきます。
目次
スコットランドってどんな所?イギリスとの関係は?
スコットランドは、イギリス北部に位置する国です。
面積は約7万8765平方キロメートル(北海道より少し小さいくらい)で、約600万人が暮らしています。
私たち日本人にとっては、「イギリス」という1つの国があるように感じますが、実はイギリスは正式名称を「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」といい、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという4つの国からなる、連合王国なのです。
そのため、スコットランドはイギリスという連合王国を構成する1つの国になります。
日本と同じように四季がありますが、1年を通じて過ごしやすい気候です。
夏は比較的涼しく、気温が上がっても湿度が高くないため過ごしやすいです。
冬は気温が一桁台になることも多く、雪が降る日もあります。
また、少数言語(スコットランド・ゲール語)、音楽(バグパイプ、ハイランド・ダンス)、料理(ハギス、ショートブレッド)など、スコットランド独自の文化があることも特徴です。
スコットランドは、もともとケルト人が形成した独立国家であり、そこにアングロ=サクソン人という民族が移住し、ケルト人と共存していました。
その後イングランドとの長い戦いを繰り返し、1707年にイングランドと併合し「大ブリテン王国」となりました。
これが、現在の「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」の原型となっています。
イギリスのスコットランドの民族衣装「キルト」とは?
スコットランドがどんな国なのかわかったところで、ここからは民族衣装のキルトについてご紹介していきます!
イギリスのスコットランドの民族衣装の特徴
キルトとは、スコットランドの伝統的な民族衣装です。
スカートのような見た目をしていますが、実は1枚の大きな布を腰に巻いて身につけています。
男性の正装ですが、女性もお祭りの際などに特別なキルトを着ることがあります。
キルトの着こなし方の特徴としては、生地に細かいプリーツを腰からお尻にかけて作り、「スポーラン」という小さな革製のポーチを付けて、黒いベルトでウエストを締めます。
また、靴下・靴下留め、「スキヤンドゥ」というナイフを模した装飾品を身に着け、黒革の編み上げ靴を履く、これが正式なスタイルとなります。
また、本来は下着を身に着けずにキルトを着るのが基本であったため、現在も下着を着けないでキルトを着こなす人も多いんだとか!
イギリスのスコットランドの民族衣装の起源と背景
スコットランドで大切にされているキルトですが、実は古い歴史を持っています。
ここからは、キルトの起源や文化的な背景をご紹介します。
キルトの起源
キルトがいつごろ生まれたのは、明確な時期はわかっていませんが、およそ16世紀前半頃までさかのぼると言われています。
キルトはもともと、ハイランダーと呼ばれるスコットランド北部に住んでいた人々が着ていた大きな1枚の毛布に由来すると言われています。
彼らは、羊の毛を格子柄に編んだ布をぐるっと身体全体に巻いていました。
腰より上の部分の布は、動きやすいように肩のところで結んだり、寒いときにはポンチョのようにかぶったりしていたそうです。
また、寝る際にはそのまま毛布として利用していました。
寒いスコットランド北部では、保湿性・保温性にすぐれたウールがとても役立ったのです。
時代を経て、布全体ではなく腰より下の部分だけが残り、現在のキルトの形になりました。
このように本来スカートとして作られたものではないため、「キルトはキルト」という認識なのです。
キルトの「タータン」にまつわる文化的背景
キルトといえば、チェック柄の素敵な「タータン」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
タータンは、スコットランド地方の領主たちの一族・氏族(クランと呼ばれます)や階級を示すものであり、それぞれ少しずつ色やデザインが異なります。
日本の「家紋」をイメージするとわかりやすいかもしれません。
一族同士の政争などに深く関わるスコットランド人の誇り高きアイデンティティーでもあるタータン。
実は、昔はタータンの柄は敵・味方を判断する材料でもありました。
また、一族ごとに決まった柄があるとはいえ、一族全員が同じ柄を身にまとっていたわけではないため、タータンの種類はなんと数百種類にまで登ると言われています。
ちなみに、地位や身分が高くなるほどチェック柄の色数が増え、パターンが複雑になります。
また、団体や会社で固有のタータン柄を持っているところもあるのだと言います。
イギリスのスコットランドの民族衣装「キルト」の種類
民族衣装であるキルトには、実はいくつかの種類があります。
デザインや素材にそれぞれ特徴がありますので、チェックしていきましょう!
トラディショナルキルト
伝統的なキルトで、最も一般的なタイプです。
ちょうどひざ下くらいまでの長さで、ウール素材で重厚感があるのが特徴です。
場面を選ばず、さまざまなシチュエーションで着用されます。
フォーマルキルト
最もフォーマルなタイプのキルトで、結婚式や公式のイベントなどで着用されます。
正式なシチュエーションにふさわしく、タータンの色や柄なども華やかさは控えめ。
洗練されたジャケットや装飾的なベルトと合わせます。
カジュアルキルト
より軽い素材で作られたキルトで、若者たちなどが日常的に着用するタイプのものです。
フォーマルキルトなどと比べると、色味やデザインも華やか。
観光客が民族衣装を着る体験をする際にも人気です。
スポーツキルト
「ハイランドゲームズ」と呼ばれる、スコットランドの伝統的なスポーツと文化の祭典などで着用されるキルトです。
軽く柔らかい素材で作られ、動きやすさが重視されています。
デザイン性というよりも、実用性にすぐれたタイプです。
イギリスのスコットランドの民族衣装「キルト」の着用シーン
最後に、人々がキルトをどのような場面で着ることが多いのかをご紹介します。
キルトは特別な日だけでなく、日常の場面でも広く着用されており、イギリス王室のメンバーも式典や公式行事などでキルトやタータン柄の装いを身に着けることが多くあります。
結婚式
キルトを着る代表的な場面が、結婚式!
伝統的なスタイルの式を挙げるカップルは、新郎がフォーマルキルトを着用したり、新婦も衣装の一部にタータン柄を取り入れたりすることが一般的です。
筆者(私)はイギリス・イングランド在住ですが、スコットランド出身の友人が自分の結婚式でキルトを着ていたのを見たことがあります……!
お祭り
先ほどご紹介したハイランドゲームズなどのお祭りでもよく着られます。
男性だけでなく、スコットランドの踊り「ハイランドダンス」を踊る女性たちも、パフォーマンスの際にキルトを着用します。
お葬式
伝統的なスタイルのお葬式では、亡くなった方の一族と関係があるタータン柄のキルトを身につけ、敬意を表します。一族のつながりや信頼、絆などを再確認する大切な場でもあるのです。
カジュアルな集まり
キルトは特別な日だけ着用するのではなく、若者などを中心に、日常的に友人との集まりなどでも着られています。先ほどご紹介したカジュアルキルトなどは、軽くて着心地も良いため、日常使いにぴったりなのです。
観光
スコットランドの観光スポットなどで、キルトを着用してバグパイプを演奏している方はよく見かけます。
また、観光客が文化体験のひとつとして、キルトを着用して記念撮影する、ということも多いです。
奥深いキルトの世界に親しもう
これまでにテレビの旅番組などで、キルトを着てバグパイプを演奏する男性の姿などを見たことがある方も多かったかもしれません。
しかし、歴史や文化的背景を今回はじめて知ったという方もいるのではないでしょうか。
また、キルトの種類や着用シーンなどは実に多様であることがわかりました。
そんなスコットランドの豊かな文化と誇りが感じられるキルトに、ぜひ親しんでみてくださいね。
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