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みなさんは、「ラクダ」と聞いてどのようなイメージを持ちますか?中東のアラブ諸国や、北アフリカあたりの砂漠に住んでいるという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はインドにも多くのラクダが生息しており、「ラクダ祭り」というものも行われているんです!といっても、名前だけだとどのようなお祭りかイメージしにくいですよね。
そこで、このコラムでは、ラクダが多く住んでいるラジャスタン州の「ラクダ祭り」のうち、代表的なビカネールとプシュカルで行われるものに焦点を当ててご紹介します。
ラクダ祭りについて興味を持っている方や、ラクダ祭りの意義について知りたい方などは、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
インドには約20万頭のラクダが存在するといわれています。そして、そのうち80~90%が、インド北西部の「ラジャスタン州」に生息しています。ラジャスタン州はインドで一番大きな州であり、西部は大きな砂漠が広がっています。
「ラクダ祭り」は、そんなラジャスタン州で行われているラクダの祭典です。お祭りでは、ラクダアートやレースなどが行われます。いろいろな場所で行われていますが、なかでも代表的なのは「ビカネール」と「プシュカル」という街で行われるラクダ祭り。
いったいどんなお祭りで、どのような魅力があるのか、それぞれのお祭りを詳しく見ていきましょう!
まずは、ラジャスタン州の中央あたりに位置する小さな街・プシュカルのラクダ祭り(プシュカルフェアやプシュカル・メーラ、キャメルフェスティバルなどと呼ばれます)をご紹介します。
プシュカルのラクダ祭りは世界最大規模のラクダ祭りで、世界中から20万人以上が来場するほどの人気ぶり。10,000頭を超えるラクダが売買のために集まり、普段はゆったりとした雰囲気の街が一気ににぎやかに彩られます。
お祭りは毎年行われており、2025年は10月30日〜11月5日に開催されます。お祭りでは、ラクダレースやラクダの試乗といったラクダにまつわるイベントだけでなく、民芸品の出店や音楽・踊りのパフォーマンス、移動式遊園地なども展開されます。
1976年にプシュカルの動物商たちがラクダの売買をしたのがお祭りの起源。時代を経て、さらににぎやかで派手なものにしようと考え、現在のような多くの人が楽しめるお祭りスタイルとなりました。ラクダへの敬意や感謝を表すとともに、インドの伝統的な文化をみんなで楽しむという意義があるお祭りなのです。
プシュカルのラクダ祭りの見どころのひとつが、ラクダ装飾コンテストです。
審査の基準は、体つきやまつ毛の長さといった美しさに加え、ビーズやタッセルで飾られたラクダの総合的な美しさを競います。砂漠で暮らす人たちにとって、ラクダは大切な家畜です。そんな大切なラクダを披露する機会のため、飼い主は数か月前から準備を始め、職人に特注の装飾品を依頼するほどの気合いの入りぶり。
「豊穣」を意味する赤い実を模した装飾やインドの国旗、タッセルなど様々な装飾に身を包んだラクダは一見の価値ありです!
ラクダダンスコンテストというユニークなイベントも開催されます。(実際にはラクダが軽やかに踊るというものではなく、ラクダを踊らせようとするラクダ使いを見て楽しむコンテストに近いとか)
必死にラクダを踊らせようとする飼い主が一生懸命リズムを取り、結局飼い主たちが自ら踊ってしまう様子は、まさにユーモラス。飼い主とラクダとのあいだの完璧でない微妙な「ズレ」と、飼い主の真剣さのギャップが、地元の人々や観光客を惹きつけるのです。
続いて、「ラクダの町」とも称されるラジャスタンのビカネールのラクダ祭りをご紹介します。
ビカネールはインド最大の砂漠「タール砂漠」を有しており、昔からキャラバン交易の中継地として、物資や人を運ぶためにラクダは必要不可欠な存在でした。
ビカネールのラクダ祭りは、観光で街を元気にする目的や伝統的な文化の継承という目的のもと、1980年代からビカネール観光局主導で始まりました。
毎年1月、計3日間に渡って開催されます(2025年は1月10~12日に開催されました)。初日はラクダパレードやカーニバル、2日目はラクダレースやラクダアート、最終日は観客も参加できる綱引き大会やターバン巻き大会などが行われます。地元の人はもちろん、世界中から観光客が集まる人気のお祭りです。
見どころのひとつが、「毛刈りアートコンテスト」。これはラクダの体毛を刈りあげて模様を描き出す芸術表現のことを指します。
ラクダの毛を刈るの?と不思議に思う方もいるかもしれませんが、実はインドやパキスタンなどでは、古くから伝わるお祭りやお祝いの場でラクダの毛をカットして絵のように着飾る文化があるのです。
毛刈りアートコンテストは、その美しさや出来栄えを競います。毛の切り方で色の濃淡を表し、伝統的なデザインを描いていきます。インドの人々だけでなく、実は日本人の毛刈り職人も存在しているんですよ!
描かれるモチーフの具体例としては、マハラジャ時代(イギリス領インド帝国時代に存在した、各藩王国を治めていたヒンドゥー教の王であるマハラジャが統治していた時代)の王宮や地域の動植物、伝統的な模様などが挙げられます。
単にラクダの毛を刈るのではなく、コンテストに出場するラクダの選定や、スキンシップなども必要になってくるのが毛刈りアートコンテスト。写真のような見事なラクダが完成するには、約1か月ほどかかるそうです。
長い時間を共にすることで、ラクダとアーティストのあいだにしっかりとした信頼関係が生まれるのです。
ラクダというと、悠々と砂漠を歩いているイメージがありませんか?たしかに、普段はゆったりとしたスピードで歩いていますが、実は「砂漠の船」という異名を持ち、時速65キロで走ることができるんです!これはなんと、オオカミよりも速いスピード。
レースは砂漠の競技場で開催され、地元の人々がラクダに乗ってその速さを競い合います。長い手足を伸ばし、砂煙をあげながら速く走るラクダの姿は、迫力満点です。
ラクダ祭りは、単なるラクダの取引や売買というだけでなく、ラクダへの愛や敬意、ともに暮らす存在への感謝などが表れている、素敵なお祭りでしたね。
また、インドの伝統的な音楽や踊りを楽しむなど、大人から子どもまでみんなで文化に親しむという一面もあります。
ラクダアートやラクダレース、ラクダダンスコンテストなど、生で見たいイベントも盛りだくさん。もしインドに行く機会があれば、ぜひラクダ祭りにも足を運んでみてはいかがでしょうか?
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みなさんは、「ラクダ」と聞いてどのようなイメージを持ちますか?
中東のアラブ諸国や、北アフリカあたりの砂漠に住んでいるという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はインドにも多くのラクダが生息しており、「ラクダ祭り」というものも行われているんです!といっても、名前だけだとどのようなお祭りかイメージしにくいですよね。
そこで、このコラムでは、ラクダが多く住んでいるラジャスタン州の「ラクダ祭り」のうち、代表的なビカネールとプシュカルで行われるものに焦点を当ててご紹介します。
ラクダ祭りについて興味を持っている方や、ラクダ祭りの意義について知りたい方などは、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
目次
インドにおけるラクダ祭りとは?
インドには約20万頭のラクダが存在するといわれています。そして、そのうち80~90%が、インド北西部の「ラジャスタン州」に生息しています。ラジャスタン州はインドで一番大きな州であり、西部は大きな砂漠が広がっています。
「ラクダ祭り」は、そんなラジャスタン州で行われているラクダの祭典です。お祭りでは、ラクダアートやレースなどが行われます。いろいろな場所で行われていますが、なかでも代表的なのは「ビカネール」と「プシュカル」という街で行われるラクダ祭り。
いったいどんなお祭りで、どのような魅力があるのか、それぞれのお祭りを詳しく見ていきましょう!
世界最大級:プシュカルのラクダ祭り
まずは、ラジャスタン州の中央あたりに位置する小さな街・プシュカルのラクダ祭り(プシュカルフェアやプシュカル・メーラ、キャメルフェスティバルなどと呼ばれます)をご紹介します。
プシュカルのラクダ祭りは世界最大規模のラクダ祭りで、世界中から20万人以上が来場するほどの人気ぶり。10,000頭を超えるラクダが売買のために集まり、普段はゆったりとした雰囲気の街が一気ににぎやかに彩られます。
お祭りは毎年行われており、2025年は10月30日〜11月5日に開催されます。
お祭りでは、ラクダレースやラクダの試乗といったラクダにまつわるイベントだけでなく、民芸品の出店や音楽・踊りのパフォーマンス、移動式遊園地なども展開されます。
プシュカルのラクダ祭りは動物商が起源?
1976年にプシュカルの動物商たちがラクダの売買をしたのがお祭りの起源。時代を経て、さらににぎやかで派手なものにしようと考え、現在のような多くの人が楽しめるお祭りスタイルとなりました。ラクダへの敬意や感謝を表すとともに、インドの伝統的な文化をみんなで楽しむという意義があるお祭りなのです。
総合的な美しさを競う!ラクダ装飾コンテスト
プシュカルのラクダ祭りの見どころのひとつが、ラクダ装飾コンテストです。
審査の基準は、体つきやまつ毛の長さといった美しさに加え、ビーズやタッセルで飾られたラクダの総合的な美しさを競います。砂漠で暮らす人たちにとって、ラクダは大切な家畜です。そんな大切なラクダを披露する機会のため、飼い主は数か月前から準備を始め、職人に特注の装飾品を依頼するほどの気合いの入りぶり。
「豊穣」を意味する赤い実を模した装飾やインドの国旗、タッセルなど様々な装飾に身を包んだラクダは一見の価値ありです!
ラクダ使いも踊る⁉ラクダダンスコンテスト
ラクダダンスコンテストというユニークなイベントも開催されます。
(実際にはラクダが軽やかに踊るというものではなく、ラクダを踊らせようとするラクダ使いを見て楽しむコンテストに近いとか)
必死にラクダを踊らせようとする飼い主が一生懸命リズムを取り、結局飼い主たちが自ら踊ってしまう様子は、まさにユーモラス。飼い主とラクダとのあいだの完璧でない微妙な「ズレ」と、飼い主の真剣さのギャップが、地元の人々や観光客を惹きつけるのです。
ビカネールのラクダ祭り
続いて、「ラクダの町」とも称されるラジャスタンのビカネールのラクダ祭りをご紹介します。
ビカネールはインド最大の砂漠「タール砂漠」を有しており、昔からキャラバン交易の中継地として、物資や人を運ぶためにラクダは必要不可欠な存在でした。
ビカネールのラクダ祭りは、観光で街を元気にする目的や伝統的な文化の継承という目的のもと、1980年代からビカネール観光局主導で始まりました。
毎年1月、計3日間に渡って開催されます(2025年は1月10~12日に開催されました)。初日はラクダパレードやカーニバル、2日目はラクダレースやラクダアート、最終日は観客も参加できる綱引き大会やターバン巻き大会などが行われます。地元の人はもちろん、世界中から観光客が集まる人気のお祭りです。
ラクダの毛刈りアートコンテスト
見どころのひとつが、「毛刈りアートコンテスト」。これはラクダの体毛を刈りあげて模様を描き出す芸術表現のことを指します。
ラクダの毛を刈るの?と不思議に思う方もいるかもしれませんが、実はインドやパキスタンなどでは、古くから伝わるお祭りやお祝いの場でラクダの毛をカットして絵のように着飾る文化があるのです。
毛刈りアートコンテストは、その美しさや出来栄えを競います。毛の切り方で色の濃淡を表し、伝統的なデザインを描いていきます。インドの人々だけでなく、実は日本人の毛刈り職人も存在しているんですよ!
描かれるモチーフの具体例としては、マハラジャ時代(イギリス領インド帝国時代に存在した、各藩王国を治めていたヒンドゥー教の王であるマハラジャが統治していた時代)の王宮や地域の動植物、伝統的な模様などが挙げられます。
単にラクダの毛を刈るのではなく、コンテストに出場するラクダの選定や、スキンシップなども必要になってくるのが毛刈りアートコンテスト。写真のような見事なラクダが完成するには、約1か月ほどかかるそうです。
長い時間を共にすることで、ラクダとアーティストのあいだにしっかりとした信頼関係が生まれるのです。
時速65キロで駆け抜ける!迫力満点のラクダレース
ラクダというと、悠々と砂漠を歩いているイメージがありませんか?
たしかに、普段はゆったりとしたスピードで歩いていますが、実は「砂漠の船」という異名を持ち、時速65キロで走ることができるんです!これはなんと、オオカミよりも速いスピード。
レースは砂漠の競技場で開催され、地元の人々がラクダに乗ってその速さを競い合います。長い手足を伸ばし、砂煙をあげながら速く走るラクダの姿は、迫力満点です。
ラクダへの愛とインドの文化が感じられるラクダ祭りに親しもう
ラクダ祭りは、単なるラクダの取引や売買というだけでなく、ラクダへの愛や敬意、ともに暮らす存在への感謝などが表れている、素敵なお祭りでしたね。
また、インドの伝統的な音楽や踊りを楽しむなど、大人から子どもまでみんなで文化に親しむという一面もあります。
ラクダアートやラクダレース、ラクダダンスコンテストなど、生で見たいイベントも盛りだくさん。もしインドに行く機会があれば、ぜひラクダ祭りにも足を運んでみてはいかがでしょうか?
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