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この記事の連載一覧はこちらから:地方創生 鯨の町おこし
古民家の工事は想像を絶するものであった。
まず補修と補強。某有名神社の補修などを請け負っている経験が豊富な國武さんにやっていただいた。交換すべき柱や梁、補強すべきポイント、現場で判断してどんどん建物が蘇っていった。奥に行くほど腐食がひどかった場所は、柱や壁などやり替える部分も多かったが、なるべく元の建築を大事に残しながら進めていただいた。
補強の様子を見ていて感じたのは、80年ほど前にこの建物を建てた大工達のレベルの高さである。元々あった柱が抜かれていたり、いたずらな改築や増築したところに劣化が集中していたりしていた。まずは原型に戻していくことで、80年生き延びた強い構造に戻る、というリアリティがあった。
國武さんほどの経験を積んだ方でも難儀していたのは、建物の裏側にある山から流れてくる水の処理であった。排水関係が詰まったり、不備があったりしたもので、じゃぶじゃぶ水があふれてしまう。湿気は木造建築の敵。水の流れも再構築しなければならなかった。國武さんは「ここは建築現場じゃなくて、土木現場だよ」と長靴を履いて茶目っ気たっぷりに笑っていた。
ひととおり補修が終わったら、今度は内装工事。各種タンクなどの機器も運び込まれ、仕上げがされていった。
古民家の改修は、トラブルが多く、手間もかかり、何度も途方にくれた。それゆえ出来上がってみると大きな感動がある。「甦った!」という言葉がまず頭に浮かぶ。そして設計デザインによって、「見違えるように蘇った」のだ。
河太郎さんとタッグを組んでから二年以上が経過して、2023年11月19日についにオープン。元の建築の様式を残しながらもブルワリーとして息を吹き返した。
ブルワリーの名前はWhale Brewing、鯨のブルワリーだ。
え?呼子ってイカでしょ?という声が聞こえそうだ。呼子はかつて捕鯨で栄え、その富の名声は江戸にまで伝わっていたほど。鯨は呼子の繁栄の象徴。鯨を旗印にして町を新たな繁栄を産み出していきたい。そんな想いからWhale Brewingとなづけられた。
そして醸造士として、近藤夫婦が呼子に移住してきてくれた。河太郎さんの繋がりから転職して、お子さんを連れてまでして移住してくれた。ブルワリー誕生に欠かせない存在である。横浜や両国での醸造研修からはじまり、醸造立ち上げまで、大変そうだったが、いつも笑顔で救われた気持ちにしてくれた。(2025年現在、醸造技術は賞を獲るまでに至っている。)
この立ち上げに関わった皆さま全員に感謝を捧げたい。これを皮切りに買った古民家を1つ1つ開業していくのだけれど、最初のブルワリーを皆さまと立ち上げられて、本当によかった!
呼子 鯨の町おこしについてもっと知りたい方はこちら▼
呼子くんち 実現まで6年がかりの想いとは▼
アミナコレクション創業者 進藤幸彦の次男坊。2010年に社長に就任。1975年生まれ。自然と歴史と文化、それを巡る旅が好き。
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地方創生 鯨の町おこし
古民家の工事は想像を絶するものであった。
まず補修と補強。某有名神社の補修などを請け負っている経験が豊富な國武さんにやっていただいた。交換すべき柱や梁、補強すべきポイント、現場で判断してどんどん建物が蘇っていった。奥に行くほど腐食がひどかった場所は、柱や壁などやり替える部分も多かったが、なるべく元の建築を大事に残しながら進めていただいた。
補強の様子を見ていて感じたのは、80年ほど前にこの建物を建てた大工達のレベルの高さである。元々あった柱が抜かれていたり、いたずらな改築や増築したところに劣化が集中していたりしていた。まずは原型に戻していくことで、80年生き延びた強い構造に戻る、というリアリティがあった。
國武さんほどの経験を積んだ方でも難儀していたのは、建物の裏側にある山から流れてくる水の処理であった。排水関係が詰まったり、不備があったりしたもので、じゃぶじゃぶ水があふれてしまう。湿気は木造建築の敵。水の流れも再構築しなければならなかった。國武さんは「ここは建築現場じゃなくて、土木現場だよ」と長靴を履いて茶目っ気たっぷりに笑っていた。
ひととおり補修が終わったら、今度は内装工事。各種タンクなどの機器も運び込まれ、仕上げがされていった。
古民家の改修は、トラブルが多く、手間もかかり、何度も途方にくれた。それゆえ出来上がってみると大きな感動がある。
「甦った!」という言葉がまず頭に浮かぶ。
そして設計デザインによって、
「見違えるように蘇った」のだ。
河太郎さんとタッグを組んでから二年以上が経過して、2023年11月19日についにオープン。元の建築の様式を残しながらもブルワリーとして息を吹き返した。
ブルワリーの名前はWhale Brewing、鯨のブルワリーだ。
え?呼子ってイカでしょ?という声が聞こえそうだ。
呼子はかつて捕鯨で栄え、その富の名声は江戸にまで伝わっていたほど。
鯨は呼子の繁栄の象徴。鯨を旗印にして町を新たな繁栄を産み出していきたい。そんな想いからWhale Brewingとなづけられた。
そして醸造士として、近藤夫婦が呼子に移住してきてくれた。
河太郎さんの繋がりから転職して、お子さんを連れてまでして移住してくれた。
ブルワリー誕生に欠かせない存在である。
横浜や両国での醸造研修からはじまり、醸造立ち上げまで、大変そうだったが、いつも笑顔で救われた気持ちにしてくれた。(2025年現在、醸造技術は賞を獲るまでに至っている。)
この立ち上げに関わった皆さま全員に感謝を捧げたい。
これを皮切りに買った古民家を1つ1つ開業していくのだけれど、最初のブルワリーを皆さまと立ち上げられて、本当によかった!
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筆者プロフィール:進藤さわと
アミナコレクション創業者 進藤幸彦の次男坊。2010年に社長に就任。
1975年生まれ。自然と歴史と文化、それを巡る旅が好き。