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とても幻想的で美しく、見る者を感動させてくれる存在ですが『サンゴ』の生態は謎に満ちています。 今回は、そんな『サンゴ』の種類やあれこれについて、難しい用語を極力避け、初心者の人でも一度熟読すれば理解し、再検索をしないで済むよう、順序よく解説します。 最後まで、おつき合いくださいね!
『サンゴ』は一体どんな生き物なのでしょうか。詳しく見てきましょう。
『サンゴ』の正体は、学術的には刺胞動物(しほうどうぶつ)と呼ばれる、動物なのです。
クラゲやイソギンチャクのように触手を持つ生物の仲間で、体の大部分を胃腔が占めています。 また、口と肛門が同じなど、かなり原始的な生物でもあり、脳や心臓はありません。
刺胞動物は4種類に分類されますが『サンゴ』が属するのは『花虫類(かちゅうるい)』と『ヒドロ虫類』になります。 『花虫類』は、ポリプと呼ばれる花のように見えるパーツが無数に集まっているタイプです。 それに対し『ヒドロ虫類』は、木の枝が集まったかのような形状をしています。
『サンゴ』の大部分は『花虫類』に属していますが『花虫類』は、更に『六放サンゴ』と『八放サンゴ』に分かれます。
『サンゴ』は、触手を使って動物プランクトンを捕らえ、食べています。 しかし『サンゴ』の栄養源は、それだけではありません。 実は、多くの『六放サンゴ』の体内には『褐虫藻』が住みついていて『サンゴ』と共生しているのです。
『褐虫藻』は植物プランクトンの一種で、光合成などにより、酸素や海水中に溶けているカルシウムを『サンゴ』に与えています。 その代わり『サンゴ』は『褐虫藻』を体内に住まわせ、安全な家を提供しているのです。
『サンゴ』の多くが浅い海に生息しているのは『褐虫藻』が光合成をしているからでした。
一方『八放サンゴ』は『褐虫藻』と共生していないので、深海に生息しています。 同じ『サンゴ』でも、ここまで生態が違うのかと驚くばかりですね。
『サンゴ』は『褐虫藻』からもらった栄養分が余ると、粘液として体外に放出します。 そして、この粘液には微生物が湧き『サンゴ礁』に住んでいる魚やエビなどの餌になるのです。 こうして『サンゴ礁』には様々な生物が集まるようになり、これを『サンゴ礁生態系』と呼んでいます。
『サンゴ』の産卵は非常に幻想的で神秘的なものです。 夜間のことなので、私たちが直接観察することは難しいのですが、夏の満月の夜に行われる一斉産卵の映像で見て、感動したことのある人は多いでしょう。
『サンゴ』はポリプの集合体ですが、最初は一つのポリプから始まります。 受精した卵は、幼生(オタマジャクシとカエルのように親と同じ姿になっていない状態)となって海中を漂い、やがて海底の岩石などに固着するのです。 そこで、幼生はポリプへと変化し、最初は無性生殖をくり返しながら自身のクローンを作って増殖していきます。 増殖したポリプは『サンゴ群体』と呼ばれていますが、ある程度の大きさになると有性生殖をするようになります。
一斉産卵を行うのは、一つの『サンゴ群体』では同じ遺伝子のクローン生物のため受精が行えず、同種別群体の卵と精子が出会う必要があるからです。
『サンゴ』は、このように無性生殖と有性生殖を使い分け、有性生殖の際も、卵と精子を海中に放出して受精させるタイプと、これとは別に、体内受精の上で幼生を海中へ放出するタイプがあります。
また『サンゴ』のほとんどは雌雄同体なのですが、オスからメスに性転換する種類も存在し、なんでもありの様相です。
私たちが『サンゴ』と聞くと、どうしても『サンゴ礁』を思い浮かべてしまいますが『サンゴ』一個体の大きさは、数mmから数cmに過ぎません。
その一個体は、殻のような骨格とその中に隠れているポリプによって構成されていますが『サンゴ』が死んでも、骨格は石灰質のため残ります。 『サンゴ』は群体を形成するため、長期に渡って世代交代がくり返された結果『サンゴ礁』と呼ばれる地形が現れるのです。 『サンゴ礁』とは『サンゴ』という生物のことではなく、海底地形を指す表現でした。
『サンゴ礁』を形成する『サンゴ』は、低緯度の熱帯や亜熱帯海域、水深の浅い海を中心に生息しています。 水深が40mよりも浅く、水温は25~29℃ぐらいを好み、最低でも18℃以上が必要です。
但し『サンゴ礁』を造らない種類の『サンゴ』であれば、冷たい海や深海に生息しているものも存在します。
世界的に有名な『サンゴ礁』の多くは、オーストラリア北部海域やインドネシア周辺、フィリピン南部海域に集まっています。 宇宙からでも見えるという『グレートバリアリーフ』は、世界最大のサンゴ礁地帯としても有名です。
『サンゴ』は、幻想的で美しいだけではありません。 『サンゴ礁生態系』を作って多くの海洋生物を育み、それらが集まることで、漁場にもなっています。
地球の海洋面積に占める『サンゴ礁』の割合は約0.2%に過ぎませんが、海洋生物の約25%が『サンゴ礁』に生息しているということです。 また『サンゴ礁生態系』に属する海洋生物のうち約15%は『サンゴ』を餌にもしているそうです。
また『サンゴ礁』は、天然の防波堤にもなります。 『サンゴ礁』が地形を表わす言葉だということは紹介しましたが『サンゴ礁』は、島や陸地を囲い込むようにして形成されることが多く、水深も浅いため、外洋からの波の力を弱めて海岸線を守っています。
有名な話ですが、2004年12月26日にインド洋で発生したスマトラ島沖地震では、津波により沿岸各国で約2万2,000人の死者が出ました。 しかし、スリランカ島のヒッカドゥワでは、街の沖にあった『サンゴ礁』によって津波の勢いが弱まり、街の被害はあったものの死者は一人も出ていません。
諸説がありますが、世界にはなんと800種類以上の『サンゴ』が生息しているということです。 現在ある『サンゴ礁』の多くは、5000年以上前から存在していて、面積にすると約60万㎢を超え、世界100カ国以上の領域に渡っています。
日本にも数多くの『サンゴ』が生息しており、実に約400種類にもなるといわれています。 当然のことながら、沖縄本島や奄美大島周辺に数多く生息しています。 世界に生息する『サンゴ』の半分の種類を、日本で見ることができるのですね!
日本における『サンゴ』の北限は、日本海側では新潟県、太平洋側では神奈川県と千葉県ということです。
日本で見ることができる『サンゴ』は、綺麗なものだと、リュウキュウキッカサンゴ、ミズタマサンゴ、ユビエダハマサンゴ、トゲスギミドリイシ、ウスエダミドリイシ、コイボミドリイシ、ホソエダアナサンゴモドキ、キクメハナガササンゴ、ヘラジカハナヤサイサンゴなどになります。
ここまでは、学術的な分類と名称に基づいて『サンゴ』を丁寧に解説してきました。
一般的には『サンゴ礁』を形成する『六放サンゴ』は『ハードコーラル』と呼ばれ、形成しない『八放サンゴ』は『ソフトコーラル』と呼ばれています。 『コーラル』とは英語で『サンゴ』の意味です。 また『ソフトコーラル』の中でも、宝飾品に加工可能で深海に生息する種類に関しては『宝石サンゴ』と呼ぶようです。
ここからは、堅苦しいことは抜きにして通称を使っていきましょう。
『ハードコーラル』の『サンゴ』は『サンゴ礁』における『サンゴ』の約97%を占めています。 生息している環境に応じ、テーブル状・キャベツ状・枝状などに成長しますが、波の強い海域では、海水の抵抗を受け難いテーブル状が多くなる傾向です。
ハードという名前のとおり、硬い炭酸カルシウムで骨格を形成していて、代表的な『サンゴ』はミドリイシ科・ハマサンゴ科・サザナミサンゴ科・ハナサンゴ科・キサンゴ科・ヒラフキサンゴ科・ハナヤサイサンゴ科などの『サンゴ』たちです。
『ソフトコーラル』も『サンゴ礁』にまったく生息していない訳ではありませんが、比率は3%にも満たないということです。 海水の動きに応じて揺らめき、しなやかな動きを見せますが、体中に小さな骨格が多数存在しています。
代表的な『サンゴ』は、ヤギの仲間・ウミトサカの仲間・ウミエラの仲間たちです。
『宝石サンゴ』は、水深100m以上の深海に生息し、ゆっくりと成長していく『八放サンゴ』の仲間です。 非常に硬質で、磨くと綺麗な光沢を放つことから、縁起物の宝飾品として珍重されています。
『サンゴ』を宝飾品とする習慣は、ローマからシルクロードをとおって日本へ伝わったとされ、奈良の正倉院には『宝石サンゴ』が御物として保管されているということです。
代表的な『サンゴ』は、アカサンゴ、モモイロサンゴ、シロイロサンゴなどになります。
世界各地で危機に瀕している『サンゴ礁』を守るため、様々な取り組みがなされています。 特定の海域を保護区に指定し、漁業やダイビングを制限したり、後述するハワイのサンスクリーン法も、そうした活動の一環です。 また、民間レベルでは、海水温の上昇に耐性を示している『サンゴ』を養殖し『サンゴ礁』を再生させようとする取り組みもなされています。
近年『サンゴ礁』は多くの困難に直面し、危機をむかえています。 ダイナマイトや毒物を使用して行う乱暴な漁業(死滅原因の約36%)、陸上での土地開発に伴う土砂の流入(同約22%)、生活排水による水質汚染(同約12%)、オニヒトデの大発生や一部の巻貝による食害、日焼け止めに含まれる有害成分、海水温の上昇などが原因で『サンゴ礁』は大きなダメージを受けています。
中でも有名なのが白化現象でしょう。 本当に地球が温暖化しているのかは判りませんが、近年の数値だけを見れば確かに気温も海水温も上昇し、白化現象によって『サンゴ礁』が大幅に減少しているのです。
世界規模では、産業革命以前と比べて『サンゴ礁』は半減しているといわれ、グレートバリアリーフなどでも、約40%の『サンゴ』が死滅する大規模な白化現象が繰り返し起こっています。
日本の沖縄でも、2016年に行われた環境省の調査で、日本最大の『サンゴ礁』である『石西礁』で白化現象が起こり、約50%の『サンゴ』が死滅していたことが明らかになりました。
白化現象を簡単に説明すると、多くの『サンゴ』の体は、実は無色(白色)なのです。 色鮮やかに見えるのは『サンゴ』の体内で共生している『褐虫藻』の色が透けて見えているからで、海水温の上昇に限らず、様々な理由によって弱ってしまった『サンゴ』の体内から色素を持つ『褐虫藻』がいなくなり、色が抜けてしまうことを白化現象と呼んでいます。
毎年6月1日の『ワールドリーフデー』は、危機に瀕している『サンゴ礁』の生態系について、世界中で一緒に考え、行動を起こそうという日です。 『サンゴ礁』に有害な日焼け止めを禁止したハワイの取り組みから始まっています。
人間の生活によって『サンゴ礁』が傷つけられているという事実をしっかり認識し、ささやかなことであっても、日常の行動を変えていこうという活動です。
ハワイにある『サンゴ礁』も大規模な白化現象に見舞われてしまい、原因の一つとして日焼け止めに含まれているオキシベンゾンやオクチノキサートという成分が問題だと指摘されました。 そのため、アメリカのハワイ州ではサンスクリーン法が制定され、2021年1月から『サンゴ礁』に有害となる成分を含む日焼け止めの販売と流通が禁止されています。
『サンゴ』とは、実に不思議な生き物でしたね。 固有名詞も多く『六放サンゴ』は『造礁サンゴ』であり『ハードコーラル』でもある。 産卵に限らず、非常に神秘的で美しい『サンゴ礁』は、何百種類もの『サンゴ』で形成され、個別の種類は専門家でも見分けることが難しいようです。 判らないことだらけの『サンゴ』ですが、コラムを読み終え、種類や生態、直面している危機などについて、理解を深めていただいたなら幸いです。
とても幻想的で美しく、見る者を感動させてくれる存在ですが『サンゴ』の生態は謎に満ちています。
今回は、そんな『サンゴ』の種類やあれこれについて、難しい用語を極力避け、初心者の人でも一度熟読すれば理解し、再検索をしないで済むよう、順序よく解説します。
最後まで、おつき合いくださいね!
目次
幻想的で神秘的な『サンゴ』その種類と謎の正体
『サンゴ』は一体どんな生き物なのでしょうか。詳しく見てきましょう。
『サンゴ』学術的な分類とその特徴
『サンゴ』の正体は、学術的には刺胞動物(しほうどうぶつ)と呼ばれる、動物なのです。
クラゲやイソギンチャクのように触手を持つ生物の仲間で、体の大部分を胃腔が占めています。
また、口と肛門が同じなど、かなり原始的な生物でもあり、脳や心臓はありません。
刺胞動物は4種類に分類されますが『サンゴ』が属するのは『花虫類(かちゅうるい)』と『ヒドロ虫類』になります。
『花虫類』は、ポリプと呼ばれる花のように見えるパーツが無数に集まっているタイプです。
それに対し『ヒドロ虫類』は、木の枝が集まったかのような形状をしています。
『サンゴ』の大部分は『花虫類』に属していますが『花虫類』は、更に『六放サンゴ』と『八放サンゴ』に分かれます。
『サンゴ』と『褐虫藻』の関係
『サンゴ』は、触手を使って動物プランクトンを捕らえ、食べています。
しかし『サンゴ』の栄養源は、それだけではありません。
実は、多くの『六放サンゴ』の体内には『褐虫藻』が住みついていて『サンゴ』と共生しているのです。
『褐虫藻』は植物プランクトンの一種で、光合成などにより、酸素や海水中に溶けているカルシウムを『サンゴ』に与えています。
その代わり『サンゴ』は『褐虫藻』を体内に住まわせ、安全な家を提供しているのです。
『サンゴ』の多くが浅い海に生息しているのは『褐虫藻』が光合成をしているからでした。
一方『八放サンゴ』は『褐虫藻』と共生していないので、深海に生息しています。
同じ『サンゴ』でも、ここまで生態が違うのかと驚くばかりですね。
『サンゴ礁』に海洋生物が群がる理由
『サンゴ』は『褐虫藻』からもらった栄養分が余ると、粘液として体外に放出します。
そして、この粘液には微生物が湧き『サンゴ礁』に住んでいる魚やエビなどの餌になるのです。
こうして『サンゴ礁』には様々な生物が集まるようになり、これを『サンゴ礁生態系』と呼んでいます。
『サンゴ』謎に満ちた生殖
『サンゴ』の産卵は非常に幻想的で神秘的なものです。
夜間のことなので、私たちが直接観察することは難しいのですが、夏の満月の夜に行われる一斉産卵の映像で見て、感動したことのある人は多いでしょう。
『サンゴ』はポリプの集合体ですが、最初は一つのポリプから始まります。
受精した卵は、幼生(オタマジャクシとカエルのように親と同じ姿になっていない状態)となって海中を漂い、やがて海底の岩石などに固着するのです。
そこで、幼生はポリプへと変化し、最初は無性生殖をくり返しながら自身のクローンを作って増殖していきます。
増殖したポリプは『サンゴ群体』と呼ばれていますが、ある程度の大きさになると有性生殖をするようになります。
一斉産卵を行うのは、一つの『サンゴ群体』では同じ遺伝子のクローン生物のため受精が行えず、同種別群体の卵と精子が出会う必要があるからです。
『サンゴ』は、このように無性生殖と有性生殖を使い分け、有性生殖の際も、卵と精子を海中に放出して受精させるタイプと、これとは別に、体内受精の上で幼生を海中へ放出するタイプがあります。
また『サンゴ』のほとんどは雌雄同体なのですが、オスからメスに性転換する種類も存在し、なんでもありの様相です。
『サンゴ』は生物『サンゴ礁』は地形
私たちが『サンゴ』と聞くと、どうしても『サンゴ礁』を思い浮かべてしまいますが『サンゴ』一個体の大きさは、数mmから数cmに過ぎません。
その一個体は、殻のような骨格とその中に隠れているポリプによって構成されていますが『サンゴ』が死んでも、骨格は石灰質のため残ります。
『サンゴ』は群体を形成するため、長期に渡って世代交代がくり返された結果『サンゴ礁』と呼ばれる地形が現れるのです。
『サンゴ礁』とは『サンゴ』という生物のことではなく、海底地形を指す表現でした。
『サンゴ』の分布と生息海域
『サンゴ礁』を形成する『サンゴ』は、低緯度の熱帯や亜熱帯海域、水深の浅い海を中心に生息しています。
水深が40mよりも浅く、水温は25~29℃ぐらいを好み、最低でも18℃以上が必要です。
但し『サンゴ礁』を造らない種類の『サンゴ』であれば、冷たい海や深海に生息しているものも存在します。
世界的に有名な『サンゴ礁』の多くは、オーストラリア北部海域やインドネシア周辺、フィリピン南部海域に集まっています。
宇宙からでも見えるという『グレートバリアリーフ』は、世界最大のサンゴ礁地帯としても有名です。
『サンゴ礁』の意外な役割とは?
『サンゴ』は、幻想的で美しいだけではありません。
『サンゴ礁生態系』を作って多くの海洋生物を育み、それらが集まることで、漁場にもなっています。
地球の海洋面積に占める『サンゴ礁』の割合は約0.2%に過ぎませんが、海洋生物の約25%が『サンゴ礁』に生息しているということです。
また『サンゴ礁生態系』に属する海洋生物のうち約15%は『サンゴ』を餌にもしているそうです。
また『サンゴ礁』は、天然の防波堤にもなります。
『サンゴ礁』が地形を表わす言葉だということは紹介しましたが『サンゴ礁』は、島や陸地を囲い込むようにして形成されることが多く、水深も浅いため、外洋からの波の力を弱めて海岸線を守っています。
有名な話ですが、2004年12月26日にインド洋で発生したスマトラ島沖地震では、津波により沿岸各国で約2万2,000人の死者が出ました。
しかし、スリランカ島のヒッカドゥワでは、街の沖にあった『サンゴ礁』によって津波の勢いが弱まり、街の被害はあったものの死者は一人も出ていません。
『サンゴ』は世界で何種類?
世界に生息する『サンゴ』
諸説がありますが、世界にはなんと800種類以上の『サンゴ』が生息しているということです。
現在ある『サンゴ礁』の多くは、5000年以上前から存在していて、面積にすると約60万㎢を超え、世界100カ国以上の領域に渡っています。
日本に生息する『サンゴ』
日本にも数多くの『サンゴ』が生息しており、実に約400種類にもなるといわれています。
当然のことながら、沖縄本島や奄美大島周辺に数多く生息しています。
世界に生息する『サンゴ』の半分の種類を、日本で見ることができるのですね!
日本における『サンゴ』の北限は、日本海側では新潟県、太平洋側では神奈川県と千葉県ということです。
日本で見ることができる『サンゴ』は、綺麗なものだと、リュウキュウキッカサンゴ、ミズタマサンゴ、ユビエダハマサンゴ、トゲスギミドリイシ、ウスエダミドリイシ、コイボミドリイシ、ホソエダアナサンゴモドキ、キクメハナガササンゴ、ヘラジカハナヤサイサンゴなどになります。
一般的な『サンゴ』の三分類
ここまでは、学術的な分類と名称に基づいて『サンゴ』を丁寧に解説してきました。
一般的には『サンゴ礁』を形成する『六放サンゴ』は『ハードコーラル』と呼ばれ、形成しない『八放サンゴ』は『ソフトコーラル』と呼ばれています。
『コーラル』とは英語で『サンゴ』の意味です。
また『ソフトコーラル』の中でも、宝飾品に加工可能で深海に生息する種類に関しては『宝石サンゴ』と呼ぶようです。
ここからは、堅苦しいことは抜きにして通称を使っていきましょう。
【ハードコーラル】
『ハードコーラル』の『サンゴ』は『サンゴ礁』における『サンゴ』の約97%を占めています。
生息している環境に応じ、テーブル状・キャベツ状・枝状などに成長しますが、波の強い海域では、海水の抵抗を受け難いテーブル状が多くなる傾向です。
ハードという名前のとおり、硬い炭酸カルシウムで骨格を形成していて、代表的な『サンゴ』はミドリイシ科・ハマサンゴ科・サザナミサンゴ科・ハナサンゴ科・キサンゴ科・ヒラフキサンゴ科・ハナヤサイサンゴ科などの『サンゴ』たちです。
【ソフトコーラル】
『ソフトコーラル』も『サンゴ礁』にまったく生息していない訳ではありませんが、比率は3%にも満たないということです。
海水の動きに応じて揺らめき、しなやかな動きを見せますが、体中に小さな骨格が多数存在しています。
代表的な『サンゴ』は、ヤギの仲間・ウミトサカの仲間・ウミエラの仲間たちです。
【宝石サンゴ】
『宝石サンゴ』は、水深100m以上の深海に生息し、ゆっくりと成長していく『八放サンゴ』の仲間です。
非常に硬質で、磨くと綺麗な光沢を放つことから、縁起物の宝飾品として珍重されています。
『サンゴ』を宝飾品とする習慣は、ローマからシルクロードをとおって日本へ伝わったとされ、奈良の正倉院には『宝石サンゴ』が御物として保管されているということです。
代表的な『サンゴ』は、アカサンゴ、モモイロサンゴ、シロイロサンゴなどになります。
『サンゴ礁』を守るための様々な取り組み
世界各地で危機に瀕している『サンゴ礁』を守るため、様々な取り組みがなされています。
特定の海域を保護区に指定し、漁業やダイビングを制限したり、後述するハワイのサンスクリーン法も、そうした活動の一環です。
また、民間レベルでは、海水温の上昇に耐性を示している『サンゴ』を養殖し『サンゴ礁』を再生させようとする取り組みもなされています。
『サンゴ礁』を死滅に追い込む諸問題と白化現象
近年『サンゴ礁』は多くの困難に直面し、危機をむかえています。
ダイナマイトや毒物を使用して行う乱暴な漁業(死滅原因の約36%)、陸上での土地開発に伴う土砂の流入(同約22%)、生活排水による水質汚染(同約12%)、オニヒトデの大発生や一部の巻貝による食害、日焼け止めに含まれる有害成分、海水温の上昇などが原因で『サンゴ礁』は大きなダメージを受けています。
中でも有名なのが白化現象でしょう。
本当に地球が温暖化しているのかは判りませんが、近年の数値だけを見れば確かに気温も海水温も上昇し、白化現象によって『サンゴ礁』が大幅に減少しているのです。
世界規模では、産業革命以前と比べて『サンゴ礁』は半減しているといわれ、グレートバリアリーフなどでも、約40%の『サンゴ』が死滅する大規模な白化現象が繰り返し起こっています。
日本の沖縄でも、2016年に行われた環境省の調査で、日本最大の『サンゴ礁』である『石西礁』で白化現象が起こり、約50%の『サンゴ』が死滅していたことが明らかになりました。
白化現象を簡単に説明すると、多くの『サンゴ』の体は、実は無色(白色)なのです。
色鮮やかに見えるのは『サンゴ』の体内で共生している『褐虫藻』の色が透けて見えているからで、海水温の上昇に限らず、様々な理由によって弱ってしまった『サンゴ』の体内から色素を持つ『褐虫藻』がいなくなり、色が抜けてしまうことを白化現象と呼んでいます。
ハワイ発『サンゴ礁』を保護する取り組み『ワールドリーフデー』
毎年6月1日の『ワールドリーフデー』は、危機に瀕している『サンゴ礁』の生態系について、世界中で一緒に考え、行動を起こそうという日です。
『サンゴ礁』に有害な日焼け止めを禁止したハワイの取り組みから始まっています。
人間の生活によって『サンゴ礁』が傷つけられているという事実をしっかり認識し、ささやかなことであっても、日常の行動を変えていこうという活動です。
ハワイにある『サンゴ礁』も大規模な白化現象に見舞われてしまい、原因の一つとして日焼け止めに含まれているオキシベンゾンやオクチノキサートという成分が問題だと指摘されました。
そのため、アメリカのハワイ州ではサンスクリーン法が制定され、2021年1月から『サンゴ礁』に有害となる成分を含む日焼け止めの販売と流通が禁止されています。
『サンゴとサンゴ礁』は地球そのもの
『サンゴ』とは、実に不思議な生き物でしたね。
固有名詞も多く『六放サンゴ』は『造礁サンゴ』であり『ハードコーラル』でもある。
産卵に限らず、非常に神秘的で美しい『サンゴ礁』は、何百種類もの『サンゴ』で形成され、個別の種類は専門家でも見分けることが難しいようです。
判らないことだらけの『サンゴ』ですが、コラムを読み終え、種類や生態、直面している危機などについて、理解を深めていただいたなら幸いです。