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「七草」といえば「春の七草」が有名です。しかし「秋の七草」もあることはご存じでしょうか?秋の七草が話題になるのは9月中旬から初秋のころで、ちょうどお彼岸や十五夜のお月見の時期にあたります。
ちょうど真夏の暑さが一段落するころです。秋の行事や美しい風景を楽しむ時期に「秋の七草」を楽しむ生活を送るのも、なかなか素敵です。
秋の七草は、どのようにして決まったのでしょうか? それは「万葉集」(一五三七巻八)に収められている、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだふたつの歌に由来していると言われています。
「秋の野に/咲きたる花を/指折り(およびをり)/かき数ふれば/七種(ななくさ)の花」
「萩の花/尾花/葛花/撫子の花/女郎花/また藤袴/朝貌の花」
ひとつ目の歌は「秋の野に咲いている草花を指折り数えると7種類ある」という意味です。ふたつ目の歌では、7つの花の種類をあげています。 ただし、ふたつ目の歌の「朝貌の花」は、現在の私たちが知っている朝顔ではありません。「桔梗」を指しているという説が有力です。
ここでは「秋の七草」について、特徴や花言葉などを紹介します。
「草かんむり」に「秋」と書く、文字通りの「秋の花」です。萩の花は7月から10月ごろまで見られます。花は1~1.5㎝くらいの大きさの可愛い花で、盛りの頃には枝いっぱいに咲きます。色は赤紫(ピンク・白・黄の場合もある)です。 萩は高さ1mから2m前後まで伸びる、マメ科ハギ属の落葉低木です。皇室では高円宮家の承子女王のお印として使われています。
花言葉は「柔軟な精神」「思案」「内気」など。 「柔軟な精神」は枝の柔らかな曲線から、「思案」「内気」は、下向きにうつむくように花を咲かせる様子が控え目に見えることに由来しています。
「尾花」とは「ススキ」の別名です。ススキの穂が動物の尾に似ているため、尾花と呼ばれるようになったといわれています。ススキは日本中でよく見かけるイネ科の多年草で、高さは1mから2mです。夏は緑で秋になると黄色に色づき、冬には地上部が枯れます。 ススキの花は秋に咲きます。目立たない粒々した花です。花が終わると白い毛の付いた種がたくさん出来て穂のように成長し、風に乗って広がって行きます。
ススキの花言葉は「精力」「生命力」「活力」「隠退」「悔いなき青春」「心が通じる」など。 それらのうち「精力」「生命力」「活力」はススキの成長の速さや生命力の強さに由来します。
「悔いなき青春」というのは、種が成長して稲穂のように堂々とした姿に変化する様子に「我青春に悔いなし」というイメージを思い起こすからでしょう。
そして「心が通じる」は、ススキが風に揺れてある時は離れ、ある時は互いに接触する様子を、恋人たちの気持ちが触れ合うロマンチックなイメージに重ねているのでしょうか。
「隠退」は、他のイメージからかなり離れています。これはススキが「9月15日」の花であるということ、そして9月15日はかつて「敬老の日」であったということに関係していると言われています。
葛はマメ科のつる性多年草です。7月から9月ごろ、夏の暑い盛りから晩夏まで花を咲かせ続ける半低木で、古くから日本人の目を楽しませてきました。 直径1~2㎝の小さな花が、下から上へと咲いて行きます。花は上品な赤紫色(白や淡桃色の場合もあり)で甘い香りがします。
花言葉は「努力」「芯の強さ」「活力」「治癒」「根気」など。これらのうち「治癒」や「活力」は、葛が漢方薬として病気の治療に利用されることに由来しています。
一方「努力」「芯の強さ」「根気」は、葛は地下に根茎を伸ばしながら広がるため、抜こうとしてもなかなか抜けないことが由来です。こちらの花言葉からわかるように、葛を見て楽しむ目的で植えるのは、慎重になってください。 葛は成長が早くて簡単に広がるうえ、必要がなくなったときの駆除が難しい植物です。
「大和撫子(やまとなでしこ)」という言葉があるように、撫子は日本女性の清楚な美しさを表現する花として愛されてきました。女子サッカーの日本代表が「なでしこジャパン」と呼ばれることは、ご存じでしょう。
撫子と日本人の関わりは古く、平安時代から女性や子供の例えに用いられていました。清少納言は「枕草子」の中で撫子の美しさを一級品だと述べています。 撫子はナデシコ科の多年草です。高さは50㎝から1m程度で、7月から9月ごろに、直径3~4㎝の淡紅色(まれに白)の花をつけます。花びらの縁が細かく裂けていることが特徴です。
撫子の花言葉は「純愛」「可憐」「無邪気」「大胆」などです。「純愛」は清らかな美しさ、「可憐」や「無邪気」は小さく愛らしい姿に由来しています。
撫子に「大胆」という花言葉が含まれていることは、ちょっと驚きです。「大胆」は、撫子のどんな環境でも花を咲かせる逞しい姿に由来しているようです。
女郎花はスイカズラ科の多年草で、高さは60㎝から1mです。8月から10月ごろに、小さな黄色い花をいっぱいに咲かせます。 古くから日本人に愛されてきた花で、名前の由来が「をみな(美人・佳人を意味する古い表現)を圧倒するほど花が美しい」とされているほどです。
女郎花の花言葉には「美人」「約束を守る」「親切」「儚い恋」などがあります。 清楚な花の様子や、秋の野に揺れる風情が繊細ではかなげな印象を与えることが、花言葉の由来でしょう。「美人」が花言葉に入っているのは、上で紹介したように女郎花が昔の人々にとって美人を象徴する花であったことが由来だと思われます。
藤袴はキク科の多年草で、高さは60㎝から2mくらいです。8月から9月ごろに、紫やピンクの小さな花を咲かせます。花の色が藤色を帯び、花弁の形が袴のようであることから、「藤袴」の名が生まれたと言われます。 藤袴の花には香りがありません。しかし生乾きになった葉や茎は、桜餅のような香りを放ちます。そのため昔、藤袴は洗髪や香水に用いられることがありました。
藤袴の花言葉は「あの日を思い出す」「遅れ」「ためらい」「躊躇」など。 これらの花言葉は、花がゆっくりと時間をかけて開花することから、過ぎ去った時間を慈しんでいるように見えることに由来しています。
桔梗はキキョウ科の多年草です。毎年6月中旬の梅雨頃から初秋の9月頃まで、星型の青紫色の花を咲かせます。蕾は風船のように膨らんでおり、花が開く様子もユニークです。 高さは50㎝から1.2mで、8月から9月の間、真っすぐ伸びた茎の上に青や紫(白やピンクの場合もある)の花を数輪咲かせます。
桔梗の花言葉は、青紫色の場合「変わらぬ愛」「誠実」「気品」「清楚」など。 「誠実」「気品」「清楚」という桔梗の花言葉は、凛としているにもかかわらず、どこか控え目な雰囲気であることが由来です。「変わらぬ愛」は文字通りの意味です。しかし「戦争に出かけた夫を待ち続ける妻が、帰ってきた夫に他の男性との結婚を疑われて命を絶ってしまった」という悲しい伝説が、その背景にあります。
尚、桔梗は色ごとに花言葉があります。白の桔梗は、ピュアなイメージから「清楚」「従順」です。一方ピンクの桔梗の花言葉は、前述の悲しい伝説にもとづいて「薄幸」です。
「一度に7つも花の名前を覚えるのは無理かも…」と思っている方のために、秋の七草の覚え方を2通りご紹介します。
どちらも正しい順番で、テンポよく覚えるのがコツです。
ひとつ目は日本人にとって覚えやすい5文字と7文字の組み合わせでリズミカルに覚えてしまう方法です。 たとえば「5・7・5・7」のリズムに合わせて、下記のように唱えてみましょう。
はぎ(萩)・ききょう(桔梗)/くず(葛)・ふじばかま(藤袴)/おみなえし(女郎花)/おばな(尾花)・なでしこ(撫子)
これに「あきのななくさ(秋の七草)」を加えて、「5・7・5・7・7」のリズムで覚えても構いません。
はぎ(萩)・ききょう(桔梗)/くず(葛)・ふじばかま(藤袴)/おみなえし(女郎花)/おばな(尾花)・なでしこ(撫子)/あきのななくさ(秋の七草)
ご自分が覚えやすい方を、何回も唱えてみましょう。いつの間にか自然に覚えてしまっているはずです。
秋の七草それぞれの頭文字を取って、語呂合わせで覚える方法もあります。代表的な覚え方を、こちらも2通り紹介します。
1.「おすきなふくは」(お好きな服は?)
お:女郎花(おみなえし)
す:ススキ
き:桔梗(ききょう)
な:撫子(なでしこ)
ふ:藤袴(ふじばかま)
く:葛(くず)
は:萩(はぎ)
2.「はすきーなおふくろ」 (ハスキーなオフクロ)
は:女郎花(おみなえし)
|
ろ
他に新しい語呂合わせを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
秋の七草は、春の七草とどのような違いがあるのでしょうか。
一番の違いは目的です。秋の七草は見て楽しみますが、春の七草は、食用にしたり祭事に使ったりします。
初春の1月7日、人日(じんじつ)の節句に、邪気を払って無病息災を祈るため、「春の七草」を使った七草粥を食べる習慣が伝わっています。七草粥には正月料理で疲れた胃腸を休め、冬に不足しがちな青菜を補う目的もあります。 そのため「春の七草」はすべて食用になりますが、見て楽しむことが目的である「秋の七草」は、食用になるとは限りません。
ただしこれは「秋の七草は食べられない」ということを意味していないのです。
秋の七草のうちでも「葛(くず)」に限れば、根から取ったでんぷん(葛粉)が食べられます。身体の調子が悪いときに口にする「葛湯(くずゆ)」はよく知られています。また葛粉は良質のでんぷんなので、葛切りや葛餅など和菓子にもよく使われています。 食べられる秋の七草もあるのです。
見て楽しむことを目的として選ばれた秋の七草ですが、実はその多くが漢方の生薬としても用いられています。中でも葛と桔梗の根は有名です。
発汗・鎮痛作用があって風邪に効果がある漢方薬といえば「葛根湯(かっこんとう)」が有名です。そして名前から推察できるように、この薬には葛の根が含まれています。尚、葛根湯は、首・背・肩の凝りにも用いられることがあります。
一方、桔梗は「桔梗湯(ききょうとう)」として痰を伴うせきや化膿性のはれものに処方されます。葛根と桔梗が共に含まれる「参蘇飲(じんそいん)」という漢方薬もあり、胃腸の弱い方に風邪薬として用いられます。
葛と桔梗の根以外にも、秋の七草はさまざまな症状に用いられているようです。効能が全く伝えられていないのは、尾花すなわちススキくらいです。
ただし、素人判断で秋の七草を直接服用しないようにしてください。薬として用いる際には、必ず医師や漢方の専門家に相談した上で服用してください。
「秋の七草」は「春の七草」とは異なって、見て楽しむことを目的として選ばれました。そして「秋の七草」には「万葉集」で山上憶良が詠んだ2首の歌に由来していると言われるように、古い歴史があります。
見て楽しむのが目的の「秋の七草」ですが、食用や漢方薬の材料になるものもあって、日本人の生活に深く溶け込んでいます。
「七草」といえば「春の七草」が有名です。しかし「秋の七草」もあることはご存じでしょうか?秋の七草が話題になるのは9月中旬から初秋のころで、ちょうどお彼岸や十五夜のお月見の時期にあたります。
ちょうど真夏の暑さが一段落するころです。秋の行事や美しい風景を楽しむ時期に「秋の七草」を楽しむ生活を送るのも、なかなか素敵です。
目次
秋の七草の由来
秋の七草は、どのようにして決まったのでしょうか?
それは「万葉集」(一五三七巻八)に収められている、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだふたつの歌に由来していると言われています。
「秋の野に/咲きたる花を/指折り(およびをり)/かき数ふれば/七種(ななくさ)の花」
「萩の花/尾花/葛花/撫子の花/女郎花/また藤袴/朝貌の花」
ひとつ目の歌は「秋の野に咲いている草花を指折り数えると7種類ある」という意味です。ふたつ目の歌では、7つの花の種類をあげています。
ただし、ふたつ目の歌の「朝貌の花」は、現在の私たちが知っている朝顔ではありません。「桔梗」を指しているという説が有力です。
秋の七草
ここでは「秋の七草」について、特徴や花言葉などを紹介します。
萩(はぎ)
「草かんむり」に「秋」と書く、文字通りの「秋の花」です。萩の花は7月から10月ごろまで見られます。花は1~1.5㎝くらいの大きさの可愛い花で、盛りの頃には枝いっぱいに咲きます。色は赤紫(ピンク・白・黄の場合もある)です。
萩は高さ1mから2m前後まで伸びる、マメ科ハギ属の落葉低木です。皇室では高円宮家の承子女王のお印として使われています。
花言葉は「柔軟な精神」「思案」「内気」など。
「柔軟な精神」は枝の柔らかな曲線から、「思案」「内気」は、下向きにうつむくように花を咲かせる様子が控え目に見えることに由来しています。
尾花(おばな)
「尾花」とは「ススキ」の別名です。ススキの穂が動物の尾に似ているため、尾花と呼ばれるようになったといわれています。ススキは日本中でよく見かけるイネ科の多年草で、高さは1mから2mです。夏は緑で秋になると黄色に色づき、冬には地上部が枯れます。
ススキの花は秋に咲きます。目立たない粒々した花です。花が終わると白い毛の付いた種がたくさん出来て穂のように成長し、風に乗って広がって行きます。
ススキの花言葉は「精力」「生命力」「活力」「隠退」「悔いなき青春」「心が通じる」など。
それらのうち「精力」「生命力」「活力」はススキの成長の速さや生命力の強さに由来します。
「悔いなき青春」というのは、種が成長して稲穂のように堂々とした姿に変化する様子に「我青春に悔いなし」というイメージを思い起こすからでしょう。
そして「心が通じる」は、ススキが風に揺れてある時は離れ、ある時は互いに接触する様子を、恋人たちの気持ちが触れ合うロマンチックなイメージに重ねているのでしょうか。
「隠退」は、他のイメージからかなり離れています。これはススキが「9月15日」の花であるということ、そして9月15日はかつて「敬老の日」であったということに関係していると言われています。
葛(くず)
葛はマメ科のつる性多年草です。7月から9月ごろ、夏の暑い盛りから晩夏まで花を咲かせ続ける半低木で、古くから日本人の目を楽しませてきました。
直径1~2㎝の小さな花が、下から上へと咲いて行きます。花は上品な赤紫色(白や淡桃色の場合もあり)で甘い香りがします。
花言葉は「努力」「芯の強さ」「活力」「治癒」「根気」など。これらのうち「治癒」や「活力」は、葛が漢方薬として病気の治療に利用されることに由来しています。
一方「努力」「芯の強さ」「根気」は、葛は地下に根茎を伸ばしながら広がるため、抜こうとしてもなかなか抜けないことが由来です。こちらの花言葉からわかるように、葛を見て楽しむ目的で植えるのは、慎重になってください。
葛は成長が早くて簡単に広がるうえ、必要がなくなったときの駆除が難しい植物です。
撫子(なでしこ)
「大和撫子(やまとなでしこ)」という言葉があるように、撫子は日本女性の清楚な美しさを表現する花として愛されてきました。女子サッカーの日本代表が「なでしこジャパン」と呼ばれることは、ご存じでしょう。
撫子と日本人の関わりは古く、平安時代から女性や子供の例えに用いられていました。清少納言は「枕草子」の中で撫子の美しさを一級品だと述べています。
撫子はナデシコ科の多年草です。高さは50㎝から1m程度で、7月から9月ごろに、直径3~4㎝の淡紅色(まれに白)の花をつけます。花びらの縁が細かく裂けていることが特徴です。
撫子の花言葉は「純愛」「可憐」「無邪気」「大胆」などです。「純愛」は清らかな美しさ、「可憐」や「無邪気」は小さく愛らしい姿に由来しています。
撫子に「大胆」という花言葉が含まれていることは、ちょっと驚きです。「大胆」は、撫子のどんな環境でも花を咲かせる逞しい姿に由来しているようです。
女郎花(おみなえし)
女郎花はスイカズラ科の多年草で、高さは60㎝から1mです。8月から10月ごろに、小さな黄色い花をいっぱいに咲かせます。
古くから日本人に愛されてきた花で、名前の由来が「をみな(美人・佳人を意味する古い表現)を圧倒するほど花が美しい」とされているほどです。
女郎花の花言葉には「美人」「約束を守る」「親切」「儚い恋」などがあります。
清楚な花の様子や、秋の野に揺れる風情が繊細ではかなげな印象を与えることが、花言葉の由来でしょう。「美人」が花言葉に入っているのは、上で紹介したように女郎花が昔の人々にとって美人を象徴する花であったことが由来だと思われます。
藤袴(ふじばかま)
藤袴はキク科の多年草で、高さは60㎝から2mくらいです。8月から9月ごろに、紫やピンクの小さな花を咲かせます。花の色が藤色を帯び、花弁の形が袴のようであることから、「藤袴」の名が生まれたと言われます。
藤袴の花には香りがありません。しかし生乾きになった葉や茎は、桜餅のような香りを放ちます。そのため昔、藤袴は洗髪や香水に用いられることがありました。
藤袴の花言葉は「あの日を思い出す」「遅れ」「ためらい」「躊躇」など。
これらの花言葉は、花がゆっくりと時間をかけて開花することから、過ぎ去った時間を慈しんでいるように見えることに由来しています。
桔梗(ききょう)
桔梗はキキョウ科の多年草です。毎年6月中旬の梅雨頃から初秋の9月頃まで、星型の青紫色の花を咲かせます。蕾は風船のように膨らんでおり、花が開く様子もユニークです。
高さは50㎝から1.2mで、8月から9月の間、真っすぐ伸びた茎の上に青や紫(白やピンクの場合もある)の花を数輪咲かせます。
桔梗の花言葉は、青紫色の場合「変わらぬ愛」「誠実」「気品」「清楚」など。
「誠実」「気品」「清楚」という桔梗の花言葉は、凛としているにもかかわらず、どこか控え目な雰囲気であることが由来です。「変わらぬ愛」は文字通りの意味です。しかし「戦争に出かけた夫を待ち続ける妻が、帰ってきた夫に他の男性との結婚を疑われて命を絶ってしまった」という悲しい伝説が、その背景にあります。
尚、桔梗は色ごとに花言葉があります。白の桔梗は、ピュアなイメージから「清楚」「従順」です。一方ピンクの桔梗の花言葉は、前述の悲しい伝説にもとづいて「薄幸」です。
秋の七草の覚え方
「一度に7つも花の名前を覚えるのは無理かも…」と思っている方のために、秋の七草の覚え方を2通りご紹介します。
どちらも正しい順番で、テンポよく覚えるのがコツです。
5・7・5・7のリズムで覚える
ひとつ目は日本人にとって覚えやすい5文字と7文字の組み合わせでリズミカルに覚えてしまう方法です。
たとえば「5・7・5・7」のリズムに合わせて、下記のように唱えてみましょう。
はぎ(萩)・ききょう(桔梗)/くず(葛)・ふじばかま(藤袴)/おみなえし(女郎花)/おばな(尾花)・なでしこ(撫子)
これに「あきのななくさ(秋の七草)」を加えて、「5・7・5・7・7」のリズムで覚えても構いません。
はぎ(萩)・ききょう(桔梗)/くず(葛)・ふじばかま(藤袴)/おみなえし(女郎花)/おばな(尾花)・なでしこ(撫子)/あきのななくさ(秋の七草)
ご自分が覚えやすい方を、何回も唱えてみましょう。いつの間にか自然に覚えてしまっているはずです。
語呂合わせで覚える
秋の七草それぞれの頭文字を取って、語呂合わせで覚える方法もあります。代表的な覚え方を、こちらも2通り紹介します。
1.「おすきなふくは」(お好きな服は?)
お:女郎花(おみなえし)
す:ススキ
き:桔梗(ききょう)
な:撫子(なでしこ)
ふ:藤袴(ふじばかま)
く:葛(くず)
は:萩(はぎ)
2.「はすきーなおふくろ」
(ハスキーなオフクロ)
は:女郎花(おみなえし)
す:ススキ
き:桔梗(ききょう)
|
な:撫子(なでしこ)
お:女郎花(おみなえし)
ふ:藤袴(ふじばかま)
く:葛(くず)
ろ
他に新しい語呂合わせを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
秋の七草と春の七草の違いとは?
秋の七草は、春の七草とどのような違いがあるのでしょうか。
一番の違いは目的です。秋の七草は見て楽しみますが、春の七草は、食用にしたり祭事に使ったりします。
秋の七草は七草粥にして食べられるの?
初春の1月7日、人日(じんじつ)の節句に、邪気を払って無病息災を祈るため、「春の七草」を使った七草粥を食べる習慣が伝わっています。七草粥には正月料理で疲れた胃腸を休め、冬に不足しがちな青菜を補う目的もあります。
そのため「春の七草」はすべて食用になりますが、見て楽しむことが目的である「秋の七草」は、食用になるとは限りません。
ただしこれは「秋の七草は食べられない」ということを意味していないのです。
秋の七草のうちでも「葛(くず)」に限れば、根から取ったでんぷん(葛粉)が食べられます。身体の調子が悪いときに口にする「葛湯(くずゆ)」はよく知られています。また葛粉は良質のでんぷんなので、葛切りや葛餅など和菓子にもよく使われています。
食べられる秋の七草もあるのです。
秋の七草は漢方としても大活躍!
見て楽しむことを目的として選ばれた秋の七草ですが、実はその多くが漢方の生薬としても用いられています。中でも葛と桔梗の根は有名です。
発汗・鎮痛作用があって風邪に効果がある漢方薬といえば「葛根湯(かっこんとう)」が有名です。そして名前から推察できるように、この薬には葛の根が含まれています。尚、葛根湯は、首・背・肩の凝りにも用いられることがあります。
一方、桔梗は「桔梗湯(ききょうとう)」として痰を伴うせきや化膿性のはれものに処方されます。葛根と桔梗が共に含まれる「参蘇飲(じんそいん)」という漢方薬もあり、胃腸の弱い方に風邪薬として用いられます。
葛と桔梗の根以外にも、秋の七草はさまざまな症状に用いられているようです。効能が全く伝えられていないのは、尾花すなわちススキくらいです。
ただし、素人判断で秋の七草を直接服用しないようにしてください。薬として用いる際には、必ず医師や漢方の専門家に相談した上で服用してください。
日本人の生活に欠かせない「秋の七草」
「秋の七草」は「春の七草」とは異なって、見て楽しむことを目的として選ばれました。そして「秋の七草」には「万葉集」で山上憶良が詠んだ2首の歌に由来していると言われるように、古い歴史があります。
見て楽しむのが目的の「秋の七草」ですが、食用や漢方薬の材料になるものもあって、日本人の生活に深く溶け込んでいます。