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「みかんの花咲く丘」という有名な童謡を知っていますか? 明るいメロディーの中にどこか懐かしさを感じるこの曲は、現在でもJリーグの愛媛FCの応援ソングになるなど、さまざまな場所で歌い継がれています。
その一方で、果物の「みかん」は知っていても、「みかんの花」について詳しい人は、それほど多くはいないはずです。
そこで今回の記事では、みかんとみかんの花について、色々なエピソードを紹介します。
みかんの実はともかく、みかんの花について意識することは滅多にないかもしれません。 みかんの花が咲く季節やその由来について、もっと調べてみましょう。
みかんは毎年4月中旬ごろから蕾をのぞかせ、4月末から5月中旬にかけて、花を咲かせます。満開になるのは5月上旬ごろです。みかんの花は直径約3センチメートルと小さく、白い5枚の花びらが特徴です。
柑橘系の香りがさわやかで、どこかジャスミンの花に似ています。みかんの花が満開のときの香りは、果実がたわわに実っているときより濃厚なほどです。この香りには「リモネン」という成分が含まれており、疲労を軽くしたりリラックスさせたりする効果があるとされています。
みかんの花言葉は親戚のオレンジとほぼ共通で、「純粋」「愛らしさ」「結婚式の祝宴」「花嫁の喜び」です。
「純粋」や「愛らしさ」は、みかん(あるいはオレンジ)の花の咲く様子を形容したものです。また「結婚式の祝宴」や「花嫁の喜び」は、西洋の結婚の習慣に由来するといわれます。
西洋では、結婚式の際に花嫁がオレンジの花を髪に飾ったり、婚約の際に男性が女性にオレンジの花を贈る風習があったりしたそうで、花言葉も結婚にまつわるものが含まれるようになりました。
オレンジの花はみかんの花と同様に、白く可愛らしく良い香りを放つので、花嫁のベールにもぴったり似合うでしょう。また、オレンジの花は「純潔」の象徴、オレンジの実は「多産」の象徴という意味があるため、結婚式の演出には欠かせない小道具になったのかもしれません。
興味深いことに、みかんやオレンジの場合、花だけでなく、木や実にも花言葉が付けられています。木は「寛大」「気前の良さ」、実は「美しさ」「優しさ」というものです。
花だけでなく木や実にまで花言葉があるというのは、洋の東西を問わず、みかん(あるいはオレンジ)が、私たちにとってとても親しまれている果物だということを示しているのでしょう。
みかんは「カンキツ属のミカン類」、オレンジは「カンキツ属のオレンジ類」に属しており、親戚関係にあります。
日本で「みかん」というと、温州みかんのことを意味します。冬の代表的な果物で「炬燵(こたつ)にみかん」という言葉を思い出す人も多いでしょう。
温州みかんは小ぶりで平べったく生食に向いている品種です。味は比較的あっさりしていて、人によっては何個でも食べられます。原産地はインドのアッサム地方で、中国を経て古代日本に伝わり、日本での栽培が始まりました。皮が薄く柔らかいので手で簡単に剥けるのも魅力のひとつです。
一方、オレンジは「スイートオレンジ」と「サワーオレンジ」の2つの種類に分かれ、味も香りもみかんより濃厚です。普段生食やオレンジジュースに利用されるのは、バレンシアオレンジ・ブラッドオレンジ・ネーブルオレンジなど、スイートオレンジに属する品種です。
サワーオレンジは酸味が強すぎて生食には適しておらず、マーマレードや精油など、さまざまに加工して利用されます。オレンジもインドを起源としており、7世紀にイスラム教徒によってスペインにもたらされ、ヨーロッパ全域に広がりました。
オレンジがヨーロッパから日本にもたらされたのは、明治時代のことです。オレンジはみかんに比べると、大ぶりで丸く、ずっしりと重みがあります。また、皮が厚くて固いため、剥くために果物ナイフが必要な場合もしばしばです。
古事記や日本書紀といった日本の古い書物では、日本に昔から存在している「倭橘(やまとたちばな)あるいは「橘(たちばな)」というみかんの仲間を「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」という名前で呼び、不老不死を巡る次のような伝説を紹介しています。
第十一代垂仁天皇は、海の彼方にある常世国という理想郷に使者として田道間守(たじまもり)を送り、不老不死の力を持つとされる「非時香菓」を探させました。田道間守は長い旅の末、常世国で「非時香菓」の苗を手に入れて、日本へ持ち帰ります。しかし彼が帰国した時、既に垂仁天皇は亡くなっており、悲しみに打ちひしがれた田道間守は、自ら命を断ちました。
もしかすると田道間守は本当に長い旅をして、常世国(中国南部からインドにかけてのどこか)で、香りが際立って良い柑橘を見つけ、苗木を苦労して日本に持ち帰ったのかもしれません。
ただし「非時香菓」すなわち「橘」は、みかんの仲間でも数少ない日本固有種のひとつだという、科学的な分析結果も知られています。田道間守はわざわざ常世国まで旅をする必要がなかったのかもしれません。
しかし、橘は葉が一年中緑で「永遠」つまり「常世」を象徴するという考えがあり、そのため上記のような招来伝説が生まれたとも考えられています。
かわいそうな田道間守は現在、和歌山県海南市にある「橘本神社」に、「みかん」と「お菓子」(当時の果物はデザートあるいはお菓子として扱われた)の神様として祭られています。そして彼が持ち帰った橘の苗木は、半数が垂仁天皇の御陵(お墓)に、残りの半数は橘本神社近くの「六本樹の丘」に植えられたそうです。
ここでは、美味しいみかんを選ぶ際の3つのポイントを紹介します。 一般的に木になっている状態でじっくりと時間をかけて熟したみかんの方が、酸が抜け、糖分も多く含まれて甘いといわれています。
これから紹介するポイントを参考にすれば、みかんの消費が増える秋~冬に向けて、より一層美味しいみかんを楽しむことができますよ。
美味しいみかんを選ぶ際は、まずみかんの色に注目してください。濃いオレンジ色のみかんは、太陽の光をたっぷりと浴びています。そのため光合成が活発に行われ、果肉がしっかりと熟して甘味も強くなります。皮の色が黄色っぽいみかんは、美味しさを保証できません。
皮にハリやツヤが十分あってキメが細かいみかんも美味しいみかんです。みかんの皮の表面には「油胞」と呼ばれるぶつぶつが一面にあるのですが、この油胞が細かいほど、健全に育った甘いみかんといわれています。
美味しいみかんのもうひとつのポイントは、ヘタ(軸)が小さいことです。軸が細いみかんは、果実に送られる水分が少なく、味が凝縮されて甘味が強い傾向にあります。
これに対してみかんの軸が太いと、木になっている間に水分がたっぷりと果実に送られて成長が早くなる代わりに大味になってしまいます。
みかんのヘタの色にも注目してください。ヘタが黄色っぽい(あるいは茶色っぽい)みかんの方が、緑色のものより美味しいといわれています。ヘタが緑色のみかんは熟す途中で早めに収穫されてしまった可能性が高いのに対して、ヘタが黄色あるいは茶色っぽいみかんは木の上で十分に熟してから収穫されたものだからです。
ちなみにみかんを保存する際はヘタを下向きにすると痛みにくく、長い期間美味しく食べることができますよ。
みかんは丸形より扁平形のものを選んでください。みかんは横に成長するときに甘さを蓄えるといわれるためです。また扁平形のみかんは、養分が多く木が元気なときに木に実った果実であるのに対して、丸いみかんは遅咲きの花からできたともいわれています。
更に美味しいみかんを選びたいのであれば、形とバランスの良いみかんを選んでください。形が四角いみかんや上から見てアンバランスに見えるみかんは、均一に成熟していないのでお薦めできません。
みかんの皮と果肉の間に隙間がある「浮皮(うきかわ)」状態のものは、水分が多くて味が薄く、あまり日持ちもしません。みかんの皮と実がしっかりと密着していて、多少剥きにくいくらいのみかんの方が、味が良いといわれています。
みかんは私たちの生活における身近な果物のひとつです。みかんの花もとても魅力的で愛らしい存在です。みかんには、長い歴史と不思議な物語が詰まっています。
次にみかんを見かけたときには花や花言葉などを思い出すと共に、美味しいみかんの選び方も忘れないでください。
「みかんの花咲く丘」という有名な童謡を知っていますか?
明るいメロディーの中にどこか懐かしさを感じるこの曲は、現在でもJリーグの愛媛FCの応援ソングになるなど、さまざまな場所で歌い継がれています。
その一方で、果物の「みかん」は知っていても、「みかんの花」について詳しい人は、それほど多くはいないはずです。
そこで今回の記事では、みかんとみかんの花について、色々なエピソードを紹介します。
目次
みかんの花が咲く季節と由来は?
みかんの実はともかく、みかんの花について意識することは滅多にないかもしれません。
みかんの花が咲く季節やその由来について、もっと調べてみましょう。
みかんの花はいつ咲く?
みかんは毎年4月中旬ごろから蕾をのぞかせ、4月末から5月中旬にかけて、花を咲かせます。満開になるのは5月上旬ごろです。みかんの花は直径約3センチメートルと小さく、白い5枚の花びらが特徴です。
柑橘系の香りがさわやかで、どこかジャスミンの花に似ています。みかんの花が満開のときの香りは、果実がたわわに実っているときより濃厚なほどです。この香りには「リモネン」という成分が含まれており、疲労を軽くしたりリラックスさせたりする効果があるとされています。
みかんの花言葉と由来
みかんの花言葉は親戚のオレンジとほぼ共通で、「純粋」「愛らしさ」「結婚式の祝宴」「花嫁の喜び」です。
「純粋」や「愛らしさ」は、みかん(あるいはオレンジ)の花の咲く様子を形容したものです。また「結婚式の祝宴」や「花嫁の喜び」は、西洋の結婚の習慣に由来するといわれます。
西洋では、結婚式の際に花嫁がオレンジの花を髪に飾ったり、婚約の際に男性が女性にオレンジの花を贈る風習があったりしたそうで、花言葉も結婚にまつわるものが含まれるようになりました。
オレンジの花はみかんの花と同様に、白く可愛らしく良い香りを放つので、花嫁のベールにもぴったり似合うでしょう。また、オレンジの花は「純潔」の象徴、オレンジの実は「多産」の象徴という意味があるため、結婚式の演出には欠かせない小道具になったのかもしれません。
みかんの木や実にも花言葉がある?
興味深いことに、みかんやオレンジの場合、花だけでなく、木や実にも花言葉が付けられています。木は「寛大」「気前の良さ」、実は「美しさ」「優しさ」というものです。
花だけでなく木や実にまで花言葉があるというのは、洋の東西を問わず、みかん(あるいはオレンジ)が、私たちにとってとても親しまれている果物だということを示しているのでしょう。
みかんとオレンジの違いは?
みかんは「カンキツ属のミカン類」、オレンジは「カンキツ属のオレンジ類」に属しており、親戚関係にあります。
日本で「みかん」というと、温州みかんのことを意味します。冬の代表的な果物で「炬燵(こたつ)にみかん」という言葉を思い出す人も多いでしょう。
温州みかんは小ぶりで平べったく生食に向いている品種です。味は比較的あっさりしていて、人によっては何個でも食べられます。原産地はインドのアッサム地方で、中国を経て古代日本に伝わり、日本での栽培が始まりました。皮が薄く柔らかいので手で簡単に剥けるのも魅力のひとつです。
一方、オレンジは「スイートオレンジ」と「サワーオレンジ」の2つの種類に分かれ、味も香りもみかんより濃厚です。普段生食やオレンジジュースに利用されるのは、バレンシアオレンジ・ブラッドオレンジ・ネーブルオレンジなど、スイートオレンジに属する品種です。
サワーオレンジは酸味が強すぎて生食には適しておらず、マーマレードや精油など、さまざまに加工して利用されます。オレンジもインドを起源としており、7世紀にイスラム教徒によってスペインにもたらされ、ヨーロッパ全域に広がりました。
オレンジがヨーロッパから日本にもたらされたのは、明治時代のことです。オレンジはみかんに比べると、大ぶりで丸く、ずっしりと重みがあります。また、皮が厚くて固いため、剥くために果物ナイフが必要な場合もしばしばです。
みかんと不老不死の関係
古事記や日本書紀といった日本の古い書物では、日本に昔から存在している「倭橘(やまとたちばな)あるいは「橘(たちばな)」というみかんの仲間を「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」という名前で呼び、不老不死を巡る次のような伝説を紹介しています。
第十一代垂仁天皇は、海の彼方にある常世国という理想郷に使者として田道間守(たじまもり)を送り、不老不死の力を持つとされる「非時香菓」を探させました。田道間守は長い旅の末、常世国で「非時香菓」の苗を手に入れて、日本へ持ち帰ります。しかし彼が帰国した時、既に垂仁天皇は亡くなっており、悲しみに打ちひしがれた田道間守は、自ら命を断ちました。
もしかすると田道間守は本当に長い旅をして、常世国(中国南部からインドにかけてのどこか)で、香りが際立って良い柑橘を見つけ、苗木を苦労して日本に持ち帰ったのかもしれません。
ただし「非時香菓」すなわち「橘」は、みかんの仲間でも数少ない日本固有種のひとつだという、科学的な分析結果も知られています。田道間守はわざわざ常世国まで旅をする必要がなかったのかもしれません。
しかし、橘は葉が一年中緑で「永遠」つまり「常世」を象徴するという考えがあり、そのため上記のような招来伝説が生まれたとも考えられています。
かわいそうな田道間守は現在、和歌山県海南市にある「橘本神社」に、「みかん」と「お菓子」(当時の果物はデザートあるいはお菓子として扱われた)の神様として祭られています。そして彼が持ち帰った橘の苗木は、半数が垂仁天皇の御陵(お墓)に、残りの半数は橘本神社近くの「六本樹の丘」に植えられたそうです。
美味しいみかんを選ぶポイント3選
ここでは、美味しいみかんを選ぶ際の3つのポイントを紹介します。
一般的に木になっている状態でじっくりと時間をかけて熟したみかんの方が、酸が抜け、糖分も多く含まれて甘いといわれています。
これから紹介するポイントを参考にすれば、みかんの消費が増える秋~冬に向けて、より一層美味しいみかんを楽しむことができますよ。
皮のキメが細かくて色が濃い
美味しいみかんを選ぶ際は、まずみかんの色に注目してください。濃いオレンジ色のみかんは、太陽の光をたっぷりと浴びています。そのため光合成が活発に行われ、果肉がしっかりと熟して甘味も強くなります。皮の色が黄色っぽいみかんは、美味しさを保証できません。
皮にハリやツヤが十分あってキメが細かいみかんも美味しいみかんです。みかんの皮の表面には「油胞」と呼ばれるぶつぶつが一面にあるのですが、この油胞が細かいほど、健全に育った甘いみかんといわれています。
ヘタが小さくて黄色
美味しいみかんのもうひとつのポイントは、ヘタ(軸)が小さいことです。軸が細いみかんは、果実に送られる水分が少なく、味が凝縮されて甘味が強い傾向にあります。
これに対してみかんの軸が太いと、木になっている間に水分がたっぷりと果実に送られて成長が早くなる代わりに大味になってしまいます。
みかんのヘタの色にも注目してください。ヘタが黄色っぽい(あるいは茶色っぽい)みかんの方が、緑色のものより美味しいといわれています。ヘタが緑色のみかんは熟す途中で早めに収穫されてしまった可能性が高いのに対して、ヘタが黄色あるいは茶色っぽいみかんは木の上で十分に熟してから収穫されたものだからです。
ちなみにみかんを保存する際はヘタを下向きにすると痛みにくく、長い期間美味しく食べることができますよ。
形が扁平形
みかんは丸形より扁平形のものを選んでください。みかんは横に成長するときに甘さを蓄えるといわれるためです。また扁平形のみかんは、養分が多く木が元気なときに木に実った果実であるのに対して、丸いみかんは遅咲きの花からできたともいわれています。
更に美味しいみかんを選びたいのであれば、形とバランスの良いみかんを選んでください。形が四角いみかんや上から見てアンバランスに見えるみかんは、均一に成熟していないのでお薦めできません。
みかんの皮と果肉の間に隙間がある「浮皮(うきかわ)」状態のものは、水分が多くて味が薄く、あまり日持ちもしません。みかんの皮と実がしっかりと密着していて、多少剥きにくいくらいのみかんの方が、味が良いといわれています。
みかんは身近で可愛い果実
みかんは私たちの生活における身近な果物のひとつです。みかんの花もとても魅力的で愛らしい存在です。みかんには、長い歴史と不思議な物語が詰まっています。
次にみかんを見かけたときには花や花言葉などを思い出すと共に、美味しいみかんの選び方も忘れないでください。