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みなさんは、「イギリス」と聞いて何をイメージするでしょうか?ロイヤルファミリー、アフタヌーンティー、歴史、英語の本場、フィッシュアンドチップスなど、イギリスは多様な側面や魅力を持つ国です。
そんなイギリスにある、世界遺産ストーンヘンジ。なぜこの巨石群は作られたのでしょう?数千年前の謎に包まれた歴史の核心に迫ります。
──伝説の魔術師マーリン説、天文台説、そして4500年前の集団墓地説まで、意外な真実の数々をご紹介。
ストーンヘンジは、イギリス南部のウィルトシャー州にある先史時代の遺跡です。最寄りの都市はソールズベリーという場所で、ロンドンからおよそ200km西にあります。ソールズベリーは、美しい大聖堂や博物館などがある歴史ある町で、観光地としても人気です。
この街から北西へ約13km行った広大な平原に、突然現れるのがストーンヘンジ。大きな石がぐるりと円を描くように立ち並んでいて、外側に直立した「サーセン石」、内側に「ブルーストーン」、さらにその内側に石を組み合わせた構造があります。
ストーンヘンジは、なんと紀元前3000年〜紀元前1520年ごろにかけて、段階的につくられたと考えられています。イギリスではとても有名な遺跡で、1986年にはユネスコの世界文化遺産にも登録されました。
どんな手法でこれだけ巨大な石を運び、並べたのか?という点については、少しずつ研究が進んでいます。でも、「なぜこれを作ったのか?」という目的はいまだにハッキリしておらず、世界中の研究者たちを悩ませています。
ストーンヘンジの最大の謎が、「どうしてつくられたのか?」という「目的」です。損傷が激しい部分も多く、つくられた当時の姿を想像することは難しく、「誰が」つくったのかについても謎に包まれています。
ここからは、そんなストーンヘンジの謎について、現在有力と考えられている説をご紹介していきます。どの説も、みなさんの想像力を刺激し、わくわくさせること間違いなしですよ。
ストーンヘンジの真の目的についてはさまざまなものがありますが、そのうちのひとつが「魔術師マーリンがつくった」という説。
魔術師マーリンとは、アーサー王伝説に登場する中世の魔術師です。アーサー王の伯父の記念碑を建てるためにと、マーリンが魔法で巨石を運んだ、という内容です。どこから運んできたのかについては、アイルランドやウェールズという説がありますが、マーリンはウェールズ生まれとされていますから、つながりも見えてきそうですよね。
2024年に入ってから、大学教授のキース・レイ氏が実際に自分の足で歩いて調査する試みを行ったという情報がイギリス国内で発表されました。これまで、石が陸路で運ばれてきたことを証明しようとした人はいませんでしたが、教授によると、自身が考えて選んだルートは「とても理にかなっている」といいます。教授は今後、調査結果を公表したいと言っていますので、ウェールズから陸路で運ばれてきたという説がさらに有力になるかもしれません。
ストーンヘンジは天文台としてつくられたという説も有力です。これは、石の並びが夏至や冬至にあわせて並んでいることが根拠となっています。この並びは偶然では起こりえないと考えられており、太陽や月の動きを追跡して、日食を予測するためだと考えられています。
これまでは、太陽との関係に焦点が当てられてきましたが、専門家たちは月とストーンヘンジの関係性にも注目しはじめているなんてことも。実はこの情報も2024年に入ってからイギリスで報じられた説ですが、月の出と月の入といった月の動きがストーンヘンジの初期段階で意識され、その後の設計に影響を与えたのではないかというもの。近年でもいろいろな説が唱えられているんです。
ストーンヘンジの近くから、4500年ほど前のお墓が発見されていたり、子どもや幼児を含む50人以上の骨、動物の骨なども発見されていることから、集団墓地だったのではないかという説もあります。確証はありませんが、ストーンヘンジに埋葬されたのは、身分の高い高貴な人々だったのではないかと考えられています。
このように、ストーンヘンジの目的はいまだ解明されておらず、さまざまな説があります。この謎は、現在でも考古学者や科学者たちの興味をひき付け、研究の対象となっています。
いまだ謎の多いストーンヘンジですが、毎年夏至を祝う集会が行われています。人気があって世界中から集まり、人々を魅了するストーンヘンジの不思議な夏至祭についてご紹介します。
ストーンヘンジの夏至祭では、「夏至の日をお祝いするため」に人々が集まります。夏至の日は、ストーンヘンジの中心の祭壇石とその他の石の直線上に太陽が昇り、1年のうちでも特別な日です。ケルト民族の末えいなどを含めて、何万人もの人が集まる大きなイベントです。
ちなみに、現在は制限なく行われていますが、新型コロナウイルスの感染が拡大していたときには、現地でのイベントは中止になり、代わりにライブ配信という、今までにない試みが行われました。完全に中止してしまうのではなく、別の方法を見つけて実施したということにも、人々がストーンヘンジの夏至祭をとても大切に思っていることが伝わりますね。
この夏至祭の大きな特徴は、普段はロープの外からしか見ることのできないストーンヘンジの内側に入ることができる点です。そして、巨大な石に直接触れることができます。
ストーンヘンジの夏至祭では、ケルト民族の末えいの人々や地元の人々とともに、夜明けを待つ特別なひとときを味わえるのが魅力です。また、ストーンヘンジの内部から見える景色は、外から眺めるものとはまたひと味違った趣があります。美しく、不思議な日の出を見られるのは夏至の日だけですので、行くときには、早めに到着するようにしてくださいね。
実際に、私はロンドンに住んでいるマレーシア出身の友人がいるのですが、彼女はある年の夏至の日、このストーンヘンジの夏至祭に参加していました。後から彼女に感想を聞いたのですが、特別感があり、パワーを充電できた気がする、と言っていました。
ストーンヘンジへは、もちろん個人で車などを使っていくこともできますが、ストーンヘンジの夏至祭にあわせて、バスツアーも多く企画されています。日本語ガイド付きのツアーもありますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。なお、夏至のころとはいっても、イギリスでは朝晩は冷え込むこともあります。深夜から夜明けにかけて長い時間待つこともありますので、暖かい服装で行くか、脱ぎ着しやすい上着などを1枚もっておくと便利ですよ。
いかがでしたか?このコラムでは、イギリスにあるストーンヘンジとはいったいなにか、ストーンヘンジの謎や有力な説などをわかりやすく解説しました。また、ストーンヘンジで行われる、不思議な夏至祭についてもあわせてご紹介しました。
ストーンヘンジは、その大きさから、見る人を圧倒する建造物です。誰が、どうしてストーンヘンジをつくったのかについては、謎に包まれたまま。しかし、謎があるからこそ、わたしたちの想像をかきたて、わくわくさせてくれますよね。このコラムが、みなさんがストーンヘンジに興味をもつきっかけになればうれしいです。
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みなさんは、「イギリス」と聞いて何をイメージするでしょうか?
ロイヤルファミリー、アフタヌーンティー、歴史、英語の本場、フィッシュアンドチップスなど、イギリスは多様な側面や魅力を持つ国です。
そんなイギリスにある、世界遺産ストーンヘンジ。
なぜこの巨石群は作られたのでしょう?
数千年前の謎に包まれた歴史の核心に迫ります。
──伝説の魔術師マーリン説、天文台説、そして4500年前の集団墓地説まで、意外な真実の数々をご紹介。
目次
ストーンヘンジとは?基本情報と歴史
ストーンヘンジは、イギリス南部のウィルトシャー州にある先史時代の遺跡です。
最寄りの都市はソールズベリーという場所で、ロンドンからおよそ200km西にあります。ソールズベリーは、美しい大聖堂や博物館などがある歴史ある町で、観光地としても人気です。
この街から北西へ約13km行った広大な平原に、突然現れるのがストーンヘンジ。
大きな石がぐるりと円を描くように立ち並んでいて、外側に直立した「サーセン石」、内側に「ブルーストーン」、さらにその内側に石を組み合わせた構造があります。
ストーンヘンジは、なんと紀元前3000年〜紀元前1520年ごろにかけて、段階的につくられたと考えられています。
イギリスではとても有名な遺跡で、1986年にはユネスコの世界文化遺産にも登録されました。
どんな手法でこれだけ巨大な石を運び、並べたのか?という点については、少しずつ研究が進んでいます。
でも、「なぜこれを作ったのか?」という目的はいまだにハッキリしておらず、世界中の研究者たちを悩ませています。
ストーンヘンジにまつわる説
ストーンヘンジの最大の謎が、「どうしてつくられたのか?」という「目的」です。損傷が激しい部分も多く、つくられた当時の姿を想像することは難しく、「誰が」つくったのかについても謎に包まれています。
ここからは、そんなストーンヘンジの謎について、現在有力と考えられている説をご紹介していきます。どの説も、みなさんの想像力を刺激し、わくわくさせること間違いなしですよ。
伝説の魔術師マーリンが作り上げた?!
ストーンヘンジの真の目的についてはさまざまなものがありますが、そのうちのひとつが「魔術師マーリンがつくった」という説。
魔術師マーリンとは、アーサー王伝説に登場する中世の魔術師です。アーサー王の伯父の記念碑を建てるためにと、マーリンが魔法で巨石を運んだ、という内容です。
どこから運んできたのかについては、アイルランドやウェールズという説がありますが、マーリンはウェールズ生まれとされていますから、つながりも見えてきそうですよね。
2024年に入ってから、大学教授のキース・レイ氏が実際に自分の足で歩いて調査する試みを行ったという情報がイギリス国内で発表されました。
これまで、石が陸路で運ばれてきたことを証明しようとした人はいませんでしたが、教授によると、自身が考えて選んだルートは「とても理にかなっている」といいます。教授は今後、調査結果を公表したいと言っていますので、ウェールズから陸路で運ばれてきたという説がさらに有力になるかもしれません。
天文台としてつくられた?!
ストーンヘンジは天文台としてつくられたという説も有力です。これは、石の並びが夏至や冬至にあわせて並んでいることが根拠となっています。この並びは偶然では起こりえないと考えられており、太陽や月の動きを追跡して、日食を予測するためだと考えられています。
これまでは、太陽との関係に焦点が当てられてきましたが、専門家たちは月とストーンヘンジの関係性にも注目しはじめているなんてことも。実はこの情報も2024年に入ってからイギリスで報じられた説ですが、月の出と月の入といった月の動きがストーンヘンジの初期段階で意識され、その後の設計に影響を与えたのではないかというもの。近年でもいろいろな説が唱えられているんです。
集団墓地だった?!
ストーンヘンジの近くから、4500年ほど前のお墓が発見されていたり、子どもや幼児を含む50人以上の骨、動物の骨なども発見されていることから、集団墓地だったのではないかという説もあります。
確証はありませんが、ストーンヘンジに埋葬されたのは、身分の高い高貴な人々だったのではないかと考えられています。
このように、ストーンヘンジの目的はいまだ解明されておらず、さまざまな説があります。この謎は、現在でも考古学者や科学者たちの興味をひき付け、研究の対象となっています。
<番外編>ストーンヘンジの不思議な夏至祭
いまだ謎の多いストーンヘンジですが、毎年夏至を祝う集会が行われています。人気があって世界中から集まり、人々を魅了するストーンヘンジの不思議な夏至祭についてご紹介します。
ストーンヘンジの夏至祭とは?
ストーンヘンジの夏至祭では、「夏至の日をお祝いするため」に人々が集まります。夏至の日は、ストーンヘンジの中心の祭壇石とその他の石の直線上に太陽が昇り、1年のうちでも特別な日です。ケルト民族の末えいなどを含めて、何万人もの人が集まる大きなイベントです。
ちなみに、現在は制限なく行われていますが、新型コロナウイルスの感染が拡大していたときには、現地でのイベントは中止になり、代わりにライブ配信という、今までにない試みが行われました。完全に中止してしまうのではなく、別の方法を見つけて実施したということにも、人々がストーンヘンジの夏至祭をとても大切に思っていることが伝わりますね。
ストーンヘンジの夏至祭の特徴と魅力
この夏至祭の大きな特徴は、普段はロープの外からしか見ることのできないストーンヘンジの内側に入ることができる点です。そして、巨大な石に直接触れることができます。
ストーンヘンジの夏至祭では、ケルト民族の末えいの人々や地元の人々とともに、夜明けを待つ特別なひとときを味わえるのが魅力です。また、ストーンヘンジの内部から見える景色は、外から眺めるものとはまたひと味違った趣があります。美しく、不思議な日の出を見られるのは夏至の日だけですので、行くときには、早めに到着するようにしてくださいね。
実際に、私はロンドンに住んでいるマレーシア出身の友人がいるのですが、彼女はある年の夏至の日、このストーンヘンジの夏至祭に参加していました。後から彼女に感想を聞いたのですが、特別感があり、パワーを充電できた気がする、と言っていました。
ストーンヘンジへは、もちろん個人で車などを使っていくこともできますが、ストーンヘンジの夏至祭にあわせて、バスツアーも多く企画されています。日本語ガイド付きのツアーもありますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。なお、夏至のころとはいっても、イギリスでは朝晩は冷え込むこともあります。深夜から夜明けにかけて長い時間待つこともありますので、暖かい服装で行くか、脱ぎ着しやすい上着などを1枚もっておくと便利ですよ。
ストーンヘンジは、想像力を刺激する
いかがでしたか?
このコラムでは、イギリスにあるストーンヘンジとはいったいなにか、ストーンヘンジの謎や有力な説などをわかりやすく解説しました。また、ストーンヘンジで行われる、不思議な夏至祭についてもあわせてご紹介しました。
ストーンヘンジは、その大きさから、見る人を圧倒する建造物です。誰が、どうしてストーンヘンジをつくったのかについては、謎に包まれたまま。しかし、謎があるからこそ、わたしたちの想像をかきたて、わくわくさせてくれますよね。このコラムが、みなさんがストーンヘンジに興味をもつきっかけになればうれしいです。
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