掲載日:2024.05.22

いったいなに!?イギリスの巨石「ストーンヘンジ」の謎

みなさんは、「イギリス」と聞いて何をイメージするでしょうか?
ロイヤルファミリー、アフタヌーンティー、歴史、英語の本場、フィッシュアンドチップスなど、イギリスは多様な側面や魅力を持つ国です。そんなイギリスにある、不思議な巨石・ストーンヘンジ。平野に突然現れる大きな石の建造物は、世界遺産にも登録されています。ストーンヘンジには、今でも解明されていない謎がたくさんあります。

このコラムでは、ストーンヘンジの謎に迫っていきます。実際にイギリスに住んでいる私(筆者)だからこそわかる情報や友人の体験談なども入れていますので、ぜひ楽しんで最後まで読んでいただけたらうれしいです。

ストーンヘンジの謎

イギリスに詳しい方や、世界遺産がお好きな方であれば「ストーンヘンジ」と聞いて、すぐにどのようなものかイメージできるかと思いますが、「ストーンヘンジっていったいなに?」と疑問に思う方も多いかもしれません。まずは、ストーンヘンジの基本情報をチェックしていきましょう。

そして、いまだ解き明かされていないストーンヘンジにまつわる謎に迫ってみましょう。

ストーンヘンジの謎

ストーンヘンジとはいったいなに?

まず、ストーンヘンジの基本情報をご紹介します。
ストーンヘンジは、イギリス・イングランド南部ウィルトシャー州のソールズベリー(Salisbury)という場所にあります。
ソールズベリーは、ロンドンから西に約200kmに位置する都市です。イングランドを代表する歴史的な都市のひとつでもあり、ソールズベリー大聖堂をはじめとする歴史的建造物も多くあります。
また、博物館、ギャラリー、劇場も多くあり、文化面も発展しています。

そんなソールズベリーの中心部から、北西に約13km離れた平原に突如として現れるのがストーンヘンジ。
古代・先史時代の遺跡で、円を描くように並んだ直立巨石があり、その内側にはブルー・ストーンが、さらにその内側には組石が並んでいます。

ストーンヘンジとはいったいなに?

ストーンヘンジは1986年に世界文化遺産に登録されており、多くの観光客を魅了しています。ストーンヘンジは、紀元前3000年から1520年の間に、いくつかの段階を経てつくられたと考えられています。年代やどのような方法でつくられたのかについては、少しずつ解明されているものの、なぜストーンヘンジがつくられたのかという「目的・理由」についてはいまでも謎のまま。このことが、ストーンヘンジの謎といわれている由縁です。
謎についてのさまざまな解釈や深堀りについては、以下で詳しくご紹介していきます。

ストーンヘンジにまつわる説

ストーンヘンジの最大の謎が、「どうしてつくられたのか?」という「目的」です。損傷が激しい部分も多く、つくられた当時の姿を想像することは難しく、「誰が」つくったのかについても謎に包まれています。

ここからは、そんなストーンヘンジの謎について、現在有力と考えられている説をご紹介していきます。どの説も、みなさんの想像力を刺激し、わくわくさせること間違いなし!

●伝説の魔術師マーリンが作り上げた?!

ストーンヘンジの真の目的についてはさまざまなものがありますが、そのうちのひとつが「魔術師マーリンがつくった」という説。
魔術師マーリンとは、アーサー王伝説に登場する中世の魔術師です。アーサー王の伯父の記念碑を建てるためにと、マーリンが魔法で巨石を運んだ、という内容です。どこから運んできたのかについては、アイルランドやウェールズという説がありますが、マーリンはウェールズ生まれとされていますから、つながりも見えてきそうですよね。

伝説の魔術師マーリンが作り上げた?!

2024年に入ってから、大学教授のキース・レイ氏が実際に自分の足で歩いて調査する試みを行ったという情報がイギリス国内で発表されました。これまで、石が陸路で運ばれてきたことを証明しようとした人はいませんでしたが、教授によると、自身が考えて選んだルートは「とても理にかなっている」といいます。教授は今後、調査結果を公表したいと言っていますので、ウェールズから陸路で運ばれてきたという説がさらに有力になるかもしれません。

●天文台としてつくられた?!

ストーンヘンジは天文台としてつくられたという説も有力です。これは、石の並びが夏至や冬至にあわせて並んでいることが根拠となっています。この並びは偶然では起こりえないと考えられており、太陽や月の動きを追跡して、日食を予測するためだと考えられています。

これまでは、太陽との関係に焦点が当てられてきましたが、専門家たちは月とストーンヘンジの関係性にも注目しはじめているなんてことも。実はこの情報も2024年に入ってからイギリスで報じられた説ですが、月の出と月の入といった月の動きがストーンヘンジの初期段階で意識され、その後の設計に影響を与えたのではないかというもの。近年でもいろいろな説が唱えられているんです。

天文台としてつくられた?!

●集団墓地だった?!

ストーンヘンジの近くから、4500年ほど前のお墓が発見されていたり、子どもや幼児を含む50人以上の骨、動物の骨なども発見されていることから、集団墓地だったのではないかという説もあります。確証はありませんが、ストーンヘンジに埋葬されたのは、身分の高い高貴な人々だったのではないかと考えられています。

このように、ストーンヘンジの目的はいまだ解明されておらず、さまざまな説があります。この謎は、現在でも考古学者や科学者たちの興味をひき付け、研究の対象となっています。

<番外編>ストーンヘンジの不思議な夏至祭

今だ謎の多いストーンヘンジですが、毎年夏至を祝う集会が行われています。人気があって世界中から集まり、人々を魅了するストーンヘンジの不思議な夏至祭についてご紹介します。

ストーンヘンジの夏至祭とは?

ストーンヘンジの夏至祭では、「夏至の日をお祝いするため」に人々が集まります。夏至の日は、ストーンヘンジの中心の祭壇石とその他の石の直線上に太陽が昇り、1年のうちでも特別な日です。ケルト民族の末えいなどを含めて、何万人もの人が集まる大きなイベントです。

ちなみに、現在は制限なく行われていますが、新型コロナウイルスの感染が拡大していたときには、現地でのイベントは中止になり、代わりにライブ配信という、今までにない試みが行われました。完全に中止してしまうのではなく、別の方法を見つけて実施したということにも、人々がストーンヘンジの夏至祭をとても大切に思っていることが伝わりますね。

ストーンヘンジの夏至祭とは?

ストーンヘンジの夏至祭の特徴と魅力

この夏至祭の大きな特徴は、普段はロープの外からしか見ることのできないストーンヘンジの内側に入ることができる点です。そして、巨大な石に直接触れることができます。

ストーンヘンジの夏至祭の特徴と魅力

ストーンヘンジの夏至祭では、ケルト民族の末えいの人々や地元の人々とともに、夜明けを待つ特別なひとときを味わえるのが魅力です。また、ストーンヘンジの内部から見える景色は、外から眺めるものとはまたひと味違った趣があります。美しく、不思議な日の出を見られるのは夏至の日だけですので、行くときには、早めに到着するようにしてくださいね。

実際に、私はロンドンに住んでいるマレーシア出身の友人がいるのですが、彼女はある年の夏至の日、このストーンヘンジの夏至祭に参加していました。後から彼女に感想を聞いたのですが、特別感があり、パワーを充電できた気がする、と言っていました。

ストーンヘンジへは、もちろん個人で車などを使っていくこともできますが、ストーンヘンジの夏至祭にあわせて、バスツアーも多く企画されています。日本語ガイド付きのツアーもありますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。なお、夏至のころとはいっても、イギリスでは朝晩は冷え込むこともあります。深夜から夜明けにかけて長い時間待つこともありますので、暖かい服装で行くか、脱ぎ着しやすい上着などを1枚もっておくと便利ですよ。

ストーンヘンジは、想像力を刺激する

いかがでしたか?
このコラムでは、イギリスにあるストーンヘンジとはいったいなにか、ストーンヘンジの謎や有力な説などをわかりやすく解説しました。また、ストーンヘンジで行われる、不思議な夏至祭についてもあわせてご紹介しました。

ストーンヘンジは、その大きさから、見る人を圧倒する建造物です。誰が、どうしてストーンヘンジをつくったのかについては、謎に包まれたまま。しかし、謎があるからこそ、わたしたちの想像をかきたて、わくわくさせてくれますよね。このコラムが、みなさんがストーンヘンジに興味をもつきっかけになればうれしいです。

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