人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
“お世話になっている方へ、日頃の感謝を込めた贈り物” 義理人情に厚く、礼儀を重んじる日本人の気質を顕著に示すとも言える“贈答” 農耕社会において収穫物を共に分け合うという考え方が、日本独特の贈答文化を生み出したと言われています。
今回は、伝統ある夏の贈答“お中元”について触れてみたいと思います。
お中元が誕生は、旧暦の上元(1/15)・中元(7/15)・下元(10/15)の中国暦法と道教の教えによるものと推測されています。 (道教:神仙となって道を得て、人々を救済するという趣旨を持つ、中国で最も古い宗教)
“中元の日に神へお供え物をした人は、罪を赦され救われる”と信じられたこと、また仏教の影響により、この日は“盂蘭盆会(うらぼんえ)”として先祖供養する日にもなりました。
中国の盂蘭盆会が7世紀初期に日本に伝わり、606年に「斎会」と呼ばれる行事が行われました。これが日本の“お盆”のはじまりだと言われています。 その後仏教の広まりとともに、“中元とお盆との結びつき”が強くなり、親類縁者などへ供え物を配る習慣が始まったということです。
江戸時代に入ると、一年の上半期にお世話になった方々への感謝の気持ちを込めて贈り物をするお中元文化が生まれ、現代にも受け継がれています。
お中元は、昔から受け継がれる夏の贈答文化。 そして“心情や用事を文字で表現して相手に送る手紙”もまた、感謝の気持ちを伝える大切な贈り物です。
<首都圏>7月上旬(6月下旬)~15日頃 これ以降の場合は、“表書き”(贈り物をする際、熨斗紙に書く言葉)を変える ・~8/8(9)立秋まで→「暑中御見舞」 ・立秋以降→「残暑御見舞」
<首都圏以外>7月上旬~8/15頃 ・立秋以降→「残暑御見舞」「残暑御伺い」
お中元は毎年贈るのが一般的ですが、恒例とせずにその年限定の場合には、表書きを「御礼」として贈るのがベストです。
“ひらがな”が生まれた平安時代、文字を記して気持ちを伝える“文(ふみ)”が大流行。 源氏物語などの文学には、和歌を中心とした恋文のやりとり場面が頻繁に見られますね。
鎌倉時代には“書札礼(しょさつれい)”や“弘安礼節(こうあんれいせつ)といった手紙に関するルールやマナーも考案されました。 “手紙”という言葉が使われるようになったのは、江戸時代以降です。
“相手を思いながら記す”のが手紙の醍醐味。 品物を贈り合うのと同様、相手とのより良いご縁とお付き合いの印として誕生したのが手紙。 どんな時代でも大切にしたいですね。
日本は春夏秋冬の区別がハッキリしている国。 季節ごとに気候や気温の変化があり、植物、食物、風習や行事など、“四季折々楽しめる”のは、この上ない私たちへの贈り物かもしれません。
古代中国において、紀元前770年頃から221年の春秋戦国時代頃に作られた暦で、季節の移り変わりを表す指標とされています。 これが後に日本にも浸透し、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
農作業の目安として使われるようになった二十四節気。 太陽の通り道“黄道”を二十四等分し、一節気を約15日間と定めます。 各々の期間に季節の変化を示す、例えば春分や夏至などの名が付けられました。
(春夏秋冬、各々六節気に分かれていますが、その年によって多少のズレがあります。)
<春> ・立春2/4~ :立春の候 ・雨水(うすい)2/19~:三寒四温の候 ・啓蟄(けいちつ)3/5~:向春の候 ・春分3/21~:春暖の候 ・清明(せいめい)4/5~:麗春の候 ・穀雨(こくう)4/20~:晩春の候
<夏> ・立夏5/5~:新緑の候 ・小満(しょうまん)5/21~:初夏の候 ・芒種(ぼうしゅ)6/6~:長雨の候 ・夏至6/21~:夏至の候 ・小暑(しょうしょ)7/7~:猛暑の候 ・大暑(たいしょ)7/23~:酷暑の候
<秋> ・立秋8/8~:残暑の候 ・処暑8/23~:秋暑の候 ・白露(はくろ)9/8~:白露の候 ・秋分 9/23~:秋分の候 ・寒露(かんろ)10/8~:夜長の候 ・霜降(そうこう)10/24~:紅葉の候
<冬> ・立冬11/7~:菊花の候 ・小雪(しょうせつ)11/22~:向寒の候 ・大雪(たいせつ)12/7~:師走の候 ・冬至12/21~:冬至の候 ・小寒(しょうかん)1/5~:厳寒の候 ・大寒(だいかん)1/21~:大寒の候
贈答文化を重んじる日本人が大切にしている夏の贈り物、お中元。 実際にどんな品を贈るのか、また最近の傾向やおすすめもご紹介します。
時代が変わっても、定番と言われる品々は不動のようです。
飲食系 ・ビールやジュース、コーヒー・紅茶など→相手の好みの銘柄が分かると尚可 ・ハムやソーセージなどの詰め合わせ→ファミリー向けにはおすすめ ・乾麺→夏の食卓に出番の多い素麺が人気 ・缶詰や瓶詰セット(フルーツや魚肉系)→賞味期限が長い
雑貨系 ・石鹸やシャンプー・リンス→消耗品なので相手も困らない可能性が高い ・洗濯洗剤やキッチン洗剤→同様に毎日使えるものなので喜ばれる
贈り物に迷ったら、昔からの定番・テッパンの品を選ぶのがベスト! また親しい間柄であれば、何が欲しいか単刀直入に聞いてみるというのもアリかも しれません。気持ち良いやりとりができることが一番大切ですね。
最近では、特に若い世代の人々が“お中元離れ”の傾向にあると言われています。 20代~30代の既婚男女を対象にした、2022年のある調査によると、70%強がお中元を贈る予定がなく、60%弱が過去にも経験がないという結果が出ています。
(理由) ・面倒くさく、堅苦しい ・金銭的負担 ・今の時代に合っていないetc
恩や義理といった気持ちがない訳ではないけれど、昔からの定型化された儀礼の一つ、お中元のやりとりの必要性に疑問を感じる人が増えているのかもしれませんね。
プチ御礼? お中元に躊躇する一方で、知人や友人関係等における、“ギフト”感覚での贈答には積極的であるように感じます。 堅苦しい感覚ではなく、何か手助けをしてもらった時や小さなことでも相手の気遣いで心が和んだ時など、日常における相手へのプチ御礼?の傾向が高まっているようです。
カジュアルなプチギフト “さりげなく、かつ、お洒落に、しかも安価で” 最近では、お互いに気を遣わないカジュアルなプチギフトが好まれています。
・クッキーやチョコなどのお菓子セット ・ハンカチ&リップ(ハンドクリーム、サニタイザー)セット ・バスグッズセット ・ドリップコーヒー&紅茶セット ・ミニエコバッグ ・デザイン性や機能性を備えた文房具 など
値段も300円~500円程度など、手軽かつ気軽に買えるものも多いですね。 また、ギフトの中身はさることながら、見た目を可愛くお洒落な包み方にも工夫を凝らす。 例えば小さな風呂敷やハンカチなどでラッピングすれば、一味違ったおしゃれなギフトになります。
海外でのギフト習慣
米国では、クリスマスの12月と年度末の5月(6月)に、お世話になった先生方などに贈り物をする習慣があります。 品物を選ぶのは定番ですが、“ギフトカード”を差し上げることもしばしば。 例えばスーパーマーケット等のギフトカードに○ドル分チャージしてプレゼントすることも多いです。相手の好みに悩むこともなく、人気な便利ギフトです。
周りとの調和を重んじ、コミュニティを大切にする日本人。 古くから伝わる贈答文化は、人とのご縁や繋がりを大切にする美徳慣習ではないでしょうか。
私たちの生活スタイルや考え方は、時代の流れと共に変化していきます。 しかし、“お世話になった方への感謝の気持ち”は永遠と受け継がれるべきもの。 お中元や手紙、プチギフトなど、どんな形態であっても、それを贈り合うことに楽しささえも見出す。 義理人情と贈答文化。これからも様々な形で未来へ繋いでいきたいものですね。
お盆の歴史って知ってる?気になる方はこちら!
お盆 ‐ 今だから、大切な人と ‐
この記事が好きなあなたにおすすめ!
夏を楽しむ~“枡”の魅力~
目次
1.お中元とは?
“お世話になっている方へ、日頃の感謝を込めた贈り物”
義理人情に厚く、礼儀を重んじる日本人の気質を顕著に示すとも言える“贈答”
農耕社会において収穫物を共に分け合うという考え方が、日本独特の贈答文化を生み出したと言われています。
今回は、伝統ある夏の贈答“お中元”について触れてみたいと思います。
①お中元の歴史
お中元が誕生は、旧暦の上元(1/15)・中元(7/15)・下元(10/15)の中国暦法と道教の教えによるものと推測されています。
(道教:神仙となって道を得て、人々を救済するという趣旨を持つ、中国で最も古い宗教)
“中元の日に神へお供え物をした人は、罪を赦され救われる”と信じられたこと、また仏教の影響により、この日は“盂蘭盆会(うらぼんえ)”として先祖供養する日にもなりました。
②日本のお中元文化の誕生~お盆との関係~
中国の盂蘭盆会が7世紀初期に日本に伝わり、606年に「斎会」と呼ばれる行事が行われました。これが日本の“お盆”のはじまりだと言われています。
その後仏教の広まりとともに、“中元とお盆との結びつき”が強くなり、親類縁者などへ供え物を配る習慣が始まったということです。
江戸時代に入ると、一年の上半期にお世話になった方々への感謝の気持ちを込めて贈り物をするお中元文化が生まれ、現代にも受け継がれています。
2.贈答文化~お中元や手紙を通して感謝を贈る~
お中元は、昔から受け継がれる夏の贈答文化。
そして“心情や用事を文字で表現して相手に送る手紙”もまた、感謝の気持ちを伝える大切な贈り物です。
①お中元はいつ贈る?
<首都圏>7月上旬(6月下旬)~15日頃
これ以降の場合は、“表書き”(贈り物をする際、熨斗紙に書く言葉)を変える
・~8/8(9)立秋まで→「暑中御見舞」
・立秋以降→「残暑御見舞」
<首都圏以外>7月上旬~8/15頃
・立秋以降→「残暑御見舞」「残暑御伺い」
お中元は毎年贈るのが一般的ですが、恒例とせずにその年限定の場合には、表書きを「御礼」として贈るのがベストです。
②手紙文化の誕生
“ひらがな”が生まれた平安時代、文字を記して気持ちを伝える“文(ふみ)”が大流行。
源氏物語などの文学には、和歌を中心とした恋文のやりとり場面が頻繁に見られますね。
鎌倉時代には“書札礼(しょさつれい)”や“弘安礼節(こうあんれいせつ)といった手紙に関するルールやマナーも考案されました。
“手紙”という言葉が使われるようになったのは、江戸時代以降です。
“相手を思いながら記す”のが手紙の醍醐味。
品物を贈り合うのと同様、相手とのより良いご縁とお付き合いの印として誕生したのが手紙。
どんな時代でも大切にしたいですね。
3.二十四節気とは?~節気の名称や季節の挨拶~
日本は春夏秋冬の区別がハッキリしている国。
季節ごとに気候や気温の変化があり、植物、食物、風習や行事など、“四季折々楽しめる”のは、この上ない私たちへの贈り物かもしれません。
①二十四節気とは?
古代中国において、紀元前770年頃から221年の春秋戦国時代頃に作られた暦で、季節の移り変わりを表す指標とされています。
これが後に日本にも浸透し、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
②一年の数え方
農作業の目安として使われるようになった二十四節気。
太陽の通り道“黄道”を二十四等分し、一節気を約15日間と定めます。
各々の期間に季節の変化を示す、例えば春分や夏至などの名が付けられました。
③節気の名称と季節の挨拶例
(春夏秋冬、各々六節気に分かれていますが、その年によって多少のズレがあります。)
<春>
・立春2/4~ :立春の候
・雨水(うすい)2/19~:三寒四温の候
・啓蟄(けいちつ)3/5~:向春の候
・春分3/21~:春暖の候
・清明(せいめい)4/5~:麗春の候
・穀雨(こくう)4/20~:晩春の候
<夏>
・立夏5/5~:新緑の候
・小満(しょうまん)5/21~:初夏の候
・芒種(ぼうしゅ)6/6~:長雨の候
・夏至6/21~:夏至の候
・小暑(しょうしょ)7/7~:猛暑の候
・大暑(たいしょ)7/23~:酷暑の候
<秋>
・立秋8/8~:残暑の候
・処暑8/23~:秋暑の候
・白露(はくろ)9/8~:白露の候
・秋分 9/23~:秋分の候
・寒露(かんろ)10/8~:夜長の候
・霜降(そうこう)10/24~:紅葉の候
<冬>
・立冬11/7~:菊花の候
・小雪(しょうせつ)11/22~:向寒の候
・大雪(たいせつ)12/7~:師走の候
・冬至12/21~:冬至の候
・小寒(しょうかん)1/5~:厳寒の候
・大寒(だいかん)1/21~:大寒の候
4.どんな贈り物をするのか?~最近の傾向やおすすめ~
贈答文化を重んじる日本人が大切にしている夏の贈り物、お中元。
実際にどんな品を贈るのか、また最近の傾向やおすすめもご紹介します。
①代表的な贈答品~定番・テッパンは?~
時代が変わっても、定番と言われる品々は不動のようです。
飲食系
・ビールやジュース、コーヒー・紅茶など→相手の好みの銘柄が分かると尚可
・ハムやソーセージなどの詰め合わせ→ファミリー向けにはおすすめ
・乾麺→夏の食卓に出番の多い素麺が人気
・缶詰や瓶詰セット(フルーツや魚肉系)→賞味期限が長い
雑貨系
・石鹸やシャンプー・リンス→消耗品なので相手も困らない可能性が高い
・洗濯洗剤やキッチン洗剤→同様に毎日使えるものなので喜ばれる
贈り物に迷ったら、昔からの定番・テッパンの品を選ぶのがベスト!
また親しい間柄であれば、何が欲しいか単刀直入に聞いてみるというのもアリかも
しれません。気持ち良いやりとりができることが一番大切ですね。
②友人やお世話になった人へのプチギフト~カジュアルにお洒落に~
最近では、特に若い世代の人々が“お中元離れ”の傾向にあると言われています。
20代~30代の既婚男女を対象にした、2022年のある調査によると、70%強がお中元を贈る予定がなく、60%弱が過去にも経験がないという結果が出ています。
(理由)
・面倒くさく、堅苦しい
・金銭的負担
・今の時代に合っていないetc
恩や義理といった気持ちがない訳ではないけれど、昔からの定型化された儀礼の一つ、お中元のやりとりの必要性に疑問を感じる人が増えているのかもしれませんね。
プチ御礼?
お中元に躊躇する一方で、知人や友人関係等における、“ギフト”感覚での贈答には積極的であるように感じます。
堅苦しい感覚ではなく、何か手助けをしてもらった時や小さなことでも相手の気遣いで心が和んだ時など、日常における相手へのプチ御礼?の傾向が高まっているようです。
カジュアルなプチギフト
“さりげなく、かつ、お洒落に、しかも安価で”
最近では、お互いに気を遣わないカジュアルなプチギフトが好まれています。
・クッキーやチョコなどのお菓子セット
・ハンカチ&リップ(ハンドクリーム、サニタイザー)セット
・バスグッズセット
・ドリップコーヒー&紅茶セット
・ミニエコバッグ
・デザイン性や機能性を備えた文房具 など
値段も300円~500円程度など、手軽かつ気軽に買えるものも多いですね。
また、ギフトの中身はさることながら、見た目を可愛くお洒落な包み方にも工夫を凝らす。
例えば小さな風呂敷やハンカチなどでラッピングすれば、一味違ったおしゃれなギフトになります。
海外でのギフト習慣
米国では、クリスマスの12月と年度末の5月(6月)に、お世話になった先生方などに贈り物をする習慣があります。
品物を選ぶのは定番ですが、“ギフトカード”を差し上げることもしばしば。
例えばスーパーマーケット等のギフトカードに○ドル分チャージしてプレゼントすることも多いです。相手の好みに悩むこともなく、人気な便利ギフトです。
5.最後に
周りとの調和を重んじ、コミュニティを大切にする日本人。
古くから伝わる贈答文化は、人とのご縁や繋がりを大切にする美徳慣習ではないでしょうか。
私たちの生活スタイルや考え方は、時代の流れと共に変化していきます。
しかし、“お世話になった方への感謝の気持ち”は永遠と受け継がれるべきもの。
お中元や手紙、プチギフトなど、どんな形態であっても、それを贈り合うことに楽しささえも見出す。
義理人情と贈答文化。これからも様々な形で未来へ繋いでいきたいものですね。
お盆の歴史って知ってる?気になる方はこちら!
お盆 ‐ 今だから、大切な人と ‐
この記事が好きなあなたにおすすめ!
夏を楽しむ~“枡”の魅力~