掲載日:2022.06.06
更新日:2024.06.21

七夕の願い‐本当の願いを見つめて‐

日本で古来より親しまれている行事の七夕。

七夕は「たなばた」の他にも「しちせき」と読み、江戸時代に幕府が祝日として制定した「五節句」の1つでもあります。

古き時代を生きていた人々にとって、七夕とはどのような存在だったのでしょうか。

今記事では、七夕の由来や七夕飾りに込められた意味、現代においての七夕の楽しみ方をお伝えしていきます。

七夕の由来や歴史

七夕の願い01

七夕の由来には、数多くの説があると言われています。それだけ、他の節句よりも神秘的な節句だったいうことかもしれません。

数多くある説の中から、有名な七夕の歴史や由来についてご紹介します。

棚機(たなばた)説

日本の神事である「棚機」。
「棚機」は「たなばた」と読みます。

棚機は日本の古い行事であり、乙女が織った着物をお供えすることで神さまをお迎えし、豊作祈願をするというものでした。
豊作祈願の他にも、「人々のけがれを払う」という祈りも込められていたそうです。

着物を折る役目として選ばれた乙女は「棚機つ女」(たなばたつめ)と呼ばれていました。
棚機女は神さまにお供えする着物を織るために、水辺に建てた機屋(はたや)にこもって、織物をしたそうです。

棚機女が使った織機のことを「棚機」、すなわち「たなばた」と呼んでいたのですね。

日本に仏教が伝来した後、棚機はお盆を迎える行事として7月7日に行われるようになり、今日に至ったという説です。

七夕伝説

七夕の願い02

七夕伝説は、古き時代の中国で誕生した神話と言われています。

天空の世界で1番偉い「天帝」には「織女(しゅくじょ)」という名の娘がいました。織女の仕事は神様の着物を織ること。仕事熱心な織女は、天の川のほとりで毎日毎日機織りをしていました。

仕事に熱中するあまり、遊びもせず恋人もいない織女を案じた天帝は、天の川の向こう岸で、牛飼いをしている真面目な青年である「牽牛(けんぎゅう)」と織女を引き合わせたのです。

息の合った2人はやがて結婚します。
しかし、結婚した2人はというと、仕事もせず毎日遊んで暮らしていました。

機織りをしなくなった織女のせいで、神様たちの衣服はぼろぼろに。牽牛が牛の世話をさぼってしまったおかげで、牛たちは病気になってしまいます。

これに怒った天帝は、2人をそれぞれ天の川を挟んで反対側の岸に引き離してしまったのです。離れ離れにされて悲しみにくれる織女と牽牛は、今度は悲しさのあまりに仕事が手につかなくなってしまいました。

2人の様子を見かねた天帝は、「2人が真面目に働くのなら、1年に1度7月7日の夜に会わせてやる」と約束したのでした。

以上が七夕伝説の全容です。日本では、織女のことを「織姫」、牽牛のことを「彦星」と呼ばれていますね。

乞巧奠(きこうでん)説

乞巧奠(きこうでん)とは、中国で7月7日に行われる行事を言います。7月7日の夜に、婦人たちが7本の針に色とりどりの糸を通して、お供えものを庭に並べて、針仕事の上達を願ったんだそう。

七夕伝説の織女にあやかり、「機織りや裁縫が上手になるように」とお祈りする風習から誕生したそうです。

乞巧(きこう)には「技巧を授かるよう願う、上達を願う」という意味があり、奠は「神様や仏様にお供えものをして祭る」という意味があります。

日本に伝わった後には、針仕事の他にも、芸事の上達や書道の上達も願われるようになりました。

七夕の行事について

七夕の願い03

日本における七夕行事

様々な誕生説がある七夕ですが、少なくとも持統(じとう)天皇が在位していた686年~697年ころには中国から日本へ伝わっていたそうです。

平安時代には宮中行事として七夕行事が行われていました。
やがて江戸時代になり、幕府が五節句のうちの1つとして7月7日を七夕の節句と制定すると、七夕は庶民にも親しまれるようになって全国に広まったそうです。

庶民は野菜や果物をお供えし、詩歌や習い事の上達を願ったんだそう。五色の短冊に願い事を書き、笹竹につるすようになったのもこのころからだと言われています。

短冊の色

笹の葉につるす短冊の色にも、実はそれぞれ意味があります。

中国には、自然界全てのものを木、火、土、金、水の5つで説明することができるという陰陽五行説という考えがあります。
この陰陽五行説にならい、木が青、火が赤、土が黄、金が白、水が黒を表しています。

日本に伝わった際には、縁起の悪い黒は紫に、緑のことを「あお」と呼んでいたことから緑として普及したようです。
また陰陽五行説は人が真面目に生きる意味を持つ「五徳」の仁、礼、信、義、智にもあてはめられています。

陰陽五行説と五徳が合わさった、短冊の色が持つ意味は以下の通りです。

紫 :学業成就
白 :目標達成
赤 :信頼愛情
黄色:対人良好
緑 :健康祈願

七夕飾りの意味

短冊の色と同様に、七夕飾りにも様々な意味が込められています。
お飾りに込められた意味を知ると、飾り作りがより一層楽しくなりますね。

吹き流し :裁縫の上達
ちょうちん: 短冊や私たちの心を明るく照らしてくれますように
巾着   :巾着はお財布のことなので、金運アップを願って
紙衣   :厄払い、衣服に困らないように
くずかご :物を粗末にしないように

七夕の楽しみ方

現代の七夕の楽しみ方についてご紹介します。

七夕の願い04

行事に参加する

各地で行われる七夕祭りや、七夕イベントに参加してみてはいかがでしょうか?

七夕祭りではアーケードが豪華な飾りで彩られていたり、出店が出たりとお祭りならではの雰囲気で、大人もこどもも楽しめます。浴衣に着替えて出かけるのも楽しみですね。

ただし、今年も新型コロナの影響で、依然として中止が決まっている催しも多いようです。お出かけの際にはぜひ、最新情報をチェックしてください。

家庭で楽しむ

七夕の願い05

外出が難しくても、ご家庭で七夕を楽しむ方法をご紹介します。

・七夕料理を楽しむ

ちらし寿司やカレーの具にいれる人参などの具材を、星型にくり抜くだけで立派な七夕料理になります。
デザートに、七夕ゼリーはいかがでしょうか。たとえば、かき氷シロップのハワイアンブルーで味付けした水色のゼリーと、牛乳で作った白いゼリーの2色で、夜空をイメージした涼しげなゼリーを作れますよ。興味のある方はレシピを検索してみてくださいね。

・そうめんを食べる

あまり知られていないかもしれませんが、実はそうめんは「七夕フード」なんです。
七夕にそうめんが食べられるようになった理由は、七夕の由来が様々あるように数々の説があります。

〇織姫が機織りに使う、白い糸になぞらえて
〇そうめんが水の中で流れる様子が、天の川のように見えることから
〇平安時代の七夕では、無病息災を願い索餅(さくへい)という小麦粉と米粉を水で練り、縄状にした食べ物をお供えしていたことから

・星空を見上げる

夕食後はご家族で、夜空を見上げてみるのも良いですね。特別にお出かけしなくたって、家族で夜空を見上げる時間を作るだけで、非日常を味わえます。きっとお子さんもワクワクしてくれるはず。

「今頃、織姫とひこ星は会えたかなあ?」「意外と星がたくさん見えるね」と、会話も弾みます。普段はなかなか言えないことを、家族に伝えてみる良い機会にもなるでしょう。

現代人にとっての七夕

七夕の願い06

現代では、日常で裁縫をすることはほとんどなくなりましたね。では私たちにとって七夕とはどのような存在でしょうか。

忙しい生活の中、ふと立ち止まり、本来の願いを見つめる

朝起きてから布団に入るまでの1日中、時間に追われている間隔はありませんか?

現代の七夕は忙しい私たちに、一呼吸置いてリラックスする機会を与えてくれているのかもしれません。目まぐるしく変わっていく世の中で、「本来の願いってなんだろう?」と自分とゆっくり対話してみるのも良いですね。

岩座店舗で開催!短冊に願いを綴ろう。

七夕の願い07

「日本の美しい心」「祈り」をテーマに、天然石やアクセサリーを販売している「岩座」では、毎年恒例の七夕イベントがはじまりました。

七夕の願い08

6/24~7/7までの期間中、岩座岩座各店にて短冊コーナーがお目見え。
五色の短冊に、それぞれの胸に抱く大切な願いをしたためましょう。

願い事が叶ったという嬉しいお言葉も頂いておりますので、ご家族、ご友人、大切な方とご一緒に、是非、願い事をしてみてはいかがでしょうか。

おわりに

七夕の由来や、短冊の色、お飾りの意味を知ることで、七夕をより親しみやすく感じたでしょうか。

いつの時代も共通しているのは、七夕が「願いをこめて空に祈る」行事として親しまれてきたことです。ご家族や友人と、未来に思いを馳せて語りあうのも良いですね。「そんなことを考えてたんだね」と、新たな一面を見つけられるかもしれません。

あなたは漆黒の闇に浮かぶ星空を眺めながら、何を願いますか?

七夕に贈り物はいかがでしょうか?気になる方はこちら▼
岩座 二人のご縁、続きますように

昨年の七夕イベントが気になる方はこちら▼
【岩座】七夕短冊 奉納・お焚き上げ報告


  • Twitter
  • Facebook
  • LINE