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秋と言えば何と言っても「食欲の秋」ですよね。夏は暑い日が続いて食欲も減ってしまいがちですが、秋になると心地よい気温になり、食欲も増してきて旬の食べ物がよりおいしく感じられます。
そこで今回は、秋が旬の食材やどうしてこれらの食材が美味しいのかなどについて「秋の味覚」を楽しむ日本の食文化と共に紹介していきましょう。
日本では、秋のことを「食欲の秋」と呼び、秋に収穫される野菜や果物などの「秋の味覚」を楽しみますよね。しかしなぜ、昔から「食欲の秋」と呼ばれるのでしょうか?
ここでは、「食欲の秋」の由来や秋の味覚について解説していきましょう。
日本は四季があり旬を楽しむ文化がある国です。そして、それぞれの気候に合わせて農作業が行われてきました。中でも秋は、多くの米や野菜、果物、きのこなど農作物や山の幸が育ち収穫する時期であるため、「実りの秋」や「収穫の秋」とも呼ばれています。
また、秋は野菜や果物だけでなく、さんまや秋鮭などの魚も旬を迎えます。このように、秋に旬を迎える食材が多いのは、秋は植物や魚が冬に向けて栄養を蓄え、寒さに備える時期であるからです。これらの秋が旬の野菜や果物は、夏の日差しをたっぷり受けて成長し、冬を迎えるためにデンプンや糖分を実や種、根などに蓄えるため、他の季節が旬の食材に比べて甘みや旨みが濃くなるという特徴があります。また、秋が旬の魚も、産卵や冬を越す為に脂肪や栄養分を体内に蓄えるため、ほかの季節に比べて旨みが強くなるため、秋に旬を迎える食べ物は「秋の味覚」と呼ばれ、特別に美味しいとされているのです
秋は「食欲の秋」とも呼ばれ、不思議と食欲が増して、つい食べ過ぎてしまうことがあります。これには、気温や日照時間など、季節による体の変化が関係しているといわれています。気温が下がると、体温を保つために基礎代謝が高まり、エネルギーを多く消費することから、食欲が増す一因になると考えられています。また、日照時間の変化によってセロトニンなどの体内物質に変化が生じることも、食欲に影響する可能性があります。
一方で、「食欲の秋」と呼ばれる背景には、秋ならではの豊かな実りもあります。かつての日本では、秋に米をはじめ、果物やきのこなど多くの食材が収穫されました。旬を迎えた食材が豊富に並ぶ秋は、食の恵みを味わい、収穫に感謝する季節でもあったのです。こうした食文化も、「食欲の秋」という言葉につながったと考えられています。
秋は食材が豊富な季節ですが、中でも人気が高いものは「さんま・松茸・さつまいも・栗・柿」です。ここでは、秋の味覚の代表的な食材であるこれらの5品について詳しく紹介していきましょう。
さつまいもは、日本の秋を代表する味覚のひとつです。収穫時期は9月〜11月頃ですが、収穫後にしばらく寝かせて熟成させることで甘みが増すため、10月~1月頃に食べ頃を迎えます。
黄色やオレンジ色、紫色など品種によって色もさまざまで、食感も「ホクホク」「ねっとり」「しっとり」の3種類に大きく分けられます。ホクホク系は素朴な味わい、ねっとり系は濃厚な甘さ、しっとり系はその中間のような食感が特徴です。
昔ながらの焼きいもをはじめ、大学芋やスイートポテトなどのスイーツ、天ぷらや炊き込みご飯など、さまざまな料理で親しまれています。
栗は、日本の秋を象徴する木の実のひとつです。収穫時期は8月下旬~10月下旬頃で、特に9月中旬~10月中旬頃が食べ頃といわれています。ほっくりとした食感と、秋ならではのやさしく上品な甘みが特徴です。
栗は縄文時代にはすでに日本に自生していたとされ、古くから秋の味覚として親しまれてきました。栄養価が高く育てやすいことから、奈良時代には凶作に備える救荒作物としても栽培され、豊穣の象徴として大切にされてきた食材です。
焼き栗や栗ご飯、甘露煮、栗きんとんなどのほか、栗を使った和菓子やモンブランなどの洋菓子も人気。昔ながらの味わいから現代のスイーツまで、幅広く楽しまれています。
柿は、日本の秋を象徴する果物のひとつです。9月~12月頃に旬を迎え、特に10月下旬~11月頃が最盛期。上品な甘みとやさしい香りが特徴で、実が固いものから柔らかいものまで、さまざまな食感を楽しめます。
柿には、そのまま食べられる「甘柿」と、渋みがあるため加工して食べる「渋柿」があります。渋柿は干し柿にしたり、渋抜きをしたりすることで、おいしく食べられます。甘柿や渋抜きした柿はそのまま味わうほか、サラダや焼き柿、ジャム、スムージーなどにも。地域によっては、干し柿を正月料理のなますに加えることもあります。
中国原産とされ、奈良時代には日本に伝わったといわれ、古くから秋の風物詩として親しまれてきました。
松茸は、日本の秋を代表するきのこのひとつです。8月~11月頃に旬を迎え、特に9月中旬~10月中旬が最盛期。松茸特有の豊かな香りと歯ごたえのある食感が魅力で、秋を代表する高級食材として親しまれています。
松茸は古くから日本に自生し、奈良時代や平安時代には秋の訪れを感じさせる食材として貴族にも愛されていたといわれています。香りを楽しむ料理が多く、土瓶蒸しや松茸ご飯、網焼き、天ぷらなど、さまざまな食べ方で味わわれています。
かつては日本各地で多く収穫されていましたが、アカマツの減少や山林環境の変化などにより収穫量は減少。現在は中国やカナダなどからの輸入品も多く流通しています。
さんまは、日本の秋を代表する魚のひとつです。旬は9月~11月頃で、秋になると日本近海へやってくる回遊魚。細長く刀のような姿と、秋に旬を迎えることから「秋刀魚」と書かれるほど、昔から秋を感じさせる魚として親しまれてきました。
春から夏にかけて餌をたっぷりと食べるため、秋のさんまは大きく太り、脂がよく乗るのが特徴です。特に9月下旬~10月頃は脂の乗りがよく、一年の中でも特においしい時期といわれています。
定番の食べ方は塩焼きですが、竜田揚げや炊き込みご飯などにも使われます。鮮度のよいものは刺身や寿司でも楽しめる、秋の味覚を代表する魚です。
秋には、栗や梨、さつまいもやきのこ、さんまなど、色々な旬の食べ物があります。そこでここでは、その他の代表的な秋の味覚について詳しく紹介していきましょう。
里芋は、9月~12月に旬を迎えるいも類です。ぬめりと粘りが強く、ホクホクとした食感が特徴で、煮っころがしやけんちん汁などの和食だけでなく、グラタンやコロッケなどの洋食にも合う食材です。
里芋はインドや東南アジアが原産とされ、縄文時代には中国から日本に伝わり栽培されていたと考えられている食材で、昔から秋の収穫を祝う儀式やお祭りのお供え物としても欠かせない食材として親しまれています。
かぼちゃは、10月~12月に旬を迎える野菜です。かぼちゃの収穫時期は8月ごろなのですが、収穫後2~3カ月くらい追熟させるため、旬を迎えるのは10月~12月ごろになります。甘みが強くホクホクとした食感が特徴で、煮物や天ぷら、スープや味噌汁、コロッケやグラタンの食事料理などだけでなく、プリンやパイなどのスイーツとしても楽しめる食材です。
れんこんは、11月~2月に旬を迎える野菜です。れんこんとは蓮の地下茎が肥大した部分で、空気が通るための穴が開いた独特の見た目をしています。れんこんの味と食感は節ごとに違っていて、芽に近い方(先の方)がシャキシャキ感が強くさっぱりとした味わいで、芽から遠くなるとホクホク感が強く甘くて濃厚な味わいになるそうです。天ぷらや煮物、きんぴら、サラダなどそのままの形で食べたり、すりおろして団子にして食べたりします。
ごぼうは、11月~2月に旬を迎える野菜です。特有の豊かな香りとシャキシャキとした食感が特徴で、きんぴらや煮物、天ぷらなどで楽しまれています。ごぼうは平安時代に中国から薬として伝わったとされており、現在ごぼうを食べるのは日本だけだといわれています。また、ごぼうは地中に長く伸びることから「長寿」の象徴とされており、おせち料理のたたきごぼうなどハレの日の食事にも欠かせない縁起の良い食材とされています。
梨は、7月~10月ごろに旬を迎える果物です。水分が多くさっぱりとした甘さと、シャリシャリとした食感が特徴で、冷やしてそのまま食べるのが一般的です。梨は中国原産で弥生時代に日本に伝わったとされており、米と同じく古くから日本で育てられてきました。栗と同じく、奈良時代に救荒作物としても日本全国で育てられるようになり、豊穣の象徴として愛されてきました。
りんごは、10月~12月ごろに旬を迎える果物です。りんごは種類が豊富で、シャキシャキとした食感のものやポクポクとした食感のもの、甘みの強いものや酸味の強いものなどがあります。甘酸っぱい香りと程よい水分が特徴で、そのまま食べるだけでなく、パイや焼きリンゴ、ジャム、ジュースなどとしても楽しまれています。日本では、平安時代に中国から伝わった小ぶりの「和りんご」と呼ばれるりんごが栽培されるようになり、現在主流となっている「西洋りんご」は、明治時代にアメリカから伝わったものです。
ぶどうは、7月~11月に旬を迎える果物です。甘酸っぱくジューシーでつるんとした食感が特徴のぶどうは、赤いものや緑色のものなど種類が多いのが特徴です。そのまま食べることが多いですが、ケーキやゼリー、ジャムやジュースなど色々なスイーツの素材としても親しまれています。ぶどうは地中海地方から中国を経由して奈良時代に日本に伝わったとされています。一房に多くの実を付けるぶどうは、豊穣や子孫繁栄の象徴とされており、日本では縁起の良い果物としても愛されてきた果物です。
しいたけは、養殖技術の発展によって一年を通して食べられるようになりましたが、本来は春と秋に旬を迎えるきのこです。秋は9月~11月頃が旬とされ、肉厚で香り豊かな味わいを楽しめます。しいたけは、シイやクヌギ、ミズナラなどの広葉樹に発生し、古くから日本で食べられてきたきのこです。昭和初期ごろまでは、秋になると日本各地の山で多く採れる山の幸として親しまれていました。肉厚で香りがよく、濃厚な味わいが特徴で、煮物や味噌汁、鍋の具などにしたり、丸ごと焼いて食べたりなど様々な食べ方を楽しめる食材で、干したものは良質な出汁がとれる高級食材としても愛されています。
しめじは、9月~11月ごろに旬を迎えるきのこです。昔から日本に自生するきのこの1つで、「香り松茸、味しめじ」と言われるほど深い味わいがあるのが特徴です。炊き込みご飯やきのこ汁など、しめじ本来の味わいを楽しむ料理が多くあります。
舞茸は、養殖されるようになり現在は1年中食べられますが、本来は9月~10月ごろに旬を迎えるきのこです。香りや味がよく、歯ごたえもあるのが特徴で、きのこ鍋や天ぷら、炊き込みご飯、炒め物やシチューなど色々な料理に使われる秋の味覚です。天然の舞茸は険しい崖などに生えており、見つけるのがとても難しい希少なきのこで、「見つけると嬉しくて舞ってしまう」と言われるほどだったことからこの名前が付けられたとされています。
秋鮭は、9月~11月に旬を迎える魚です。鮭には色々な種類があり、それぞれ旬の時期が違うのですが、その中の秋鮭とは白鮭(しろさけ)とも呼ばれる日本で最も一般的な鮭で、産卵のために北海道などの川に戻ってきたもののことを指します。秋鮭は産卵直前のため脂は少なめですが、身が締まってさっぱりとした味わいが特徴です。塩焼きやホイル焼き、石狩鍋や炊き込みご飯などで楽しまれています。
さばは、秋から冬にかけて旬を迎えますが、中でも10月~11月ごろに水揚げされるものを「秋さば」と呼びます。秋さばは、産卵後に再び栄養を蓄えた状態で、脂乗りが良く旨みとコクが強いのが特徴です。塩焼きや味噌煮、南蛮漬けや竜田揚げなどで楽しまれます。
戻りガツオとは、南の海域から春に黒潮に乗って日本近海までやってきたカツオが東北の方まで北上していき、秋ごろに再び南の海域に戻るために南下してきたもののことを指しています。戻りガツオは餌をたっぷり食べて丸々と太り脂が乗っているため、もっちりとしてとろけるような食感と旨みが強いのが特徴です。脂乗りが良いので刺身がおすすめですが、カツオのタタキでも美味しくいただけます。
秋の味覚は、昔から様々な調理法で楽しまれてきました。ここでは、秋の味覚をよりおいしく楽しむ方法について紹介していきます。
さんまや秋鮭の魚や松茸やしいたけなどのきのこ類、さつまいもなどのいも類などは、シンプルに焼いたものが人気です。これらの食材は、焼くことで水分が蒸発したり余分な脂が出たりし、旨みが凝縮するため美味しくなります。また、食材を焼くことでアミノ酸と糖が反応し、きれいな焼き色が付き香ばしい香りが出る「メイラード反応」によってもこれらの食材を美味しく楽しめるのでおすすめです。
秋の味覚であるきのこ類やごぼうやれんこんなどの野菜類、里芋やさつまいもなどのいも類は、色々な食材と一緒に調理する炊き込みご飯や煮物にすると、それぞれの具材から出た旨みが染み込みより一層美味しくなるのでおすすめです。
さつまいもや栗、柿や梨などの甘みが強い食材は、そのまま食べるだけでなくケーキや和菓子などのスイーツとしても楽しむことができます。これらの食材は、甘み成分が多く含まれているため、加熱することでさらに甘みを増して美味しくなります。また、ケーキや和菓子などは見た目も美しいので、舌だけでなく目からも秋の味覚を楽しむことができるのでおすすめです。
日本には昔から、旬の食材を取り入れた料理を行事の時に食べる「ハレの日の食事」という食文化があります。特に秋は米をはじめとした多くの農作物や山の幸、海の幸が収穫される時期であるため、秋の行事には秋の味覚を用いた特別な「ハレの日の食事」が食べられてきました。
中秋の名月(十五夜)を楽しむお月見は、もともとは神様に収穫を感謝し豊作を祈願する行事で、満月の形を模した白くて丸い団子や十五夜の時期に収穫される里芋やさつまいもなどのいも類をお供えし、お供え物を下げて食べる習慣があります。また日本各地で行われる秋祭りの由来は「新嘗祭(にいなめさい)」という最も重要な神事で、神様にその年に収穫した新米や麦、キビ、粟、豆の五穀をお供えし、その年の収穫の感謝と翌年の豊作を祈願する儀式が行われるものです。
昔は日本全国の各村で新嘗祭が行われており、この儀式が終わるまで新米を食べることは許されませんでした。新嘗祭の儀式が終わった後は、新米や収穫された秋の味覚をふんだんに使った「ハレの日の食事」を皆で食べながらお祝いをしてきました。秋祭りの特別な「ハレの日の食事」は地域によっても違いがあり、お餅や赤飯、栗おこわ、押し寿司、鯖寿司、芋煮、煮しめ、田楽などの秋の味覚を使った料理が食べられています。
日本の秋は、色々な作物が実り、夏までにたっぷりとエサを食べて育ったさんまなどの魚が日本近海で獲れる時期で、1年で最も食べ物が豊富にある季節です。日本以外の国でも秋は収穫時期なので、収穫祭など秋の食材を味わう文化はありますが、中でも日本は特別秋の味覚を楽しむ文化を持っているとされています。これは、日本が四季のある国で、それぞれの旬の食材で季節を感じる良さを知っているからだと考えられます。
特に秋の食材は栄養を蓄えて旨みが増したものが多いので、秋になると美味しいものを思い出して味わいたくなるのではないでしょうか。また、日本は稲作を中心とした文化が根付いているため、米が収穫される秋は神様に感謝する特別な季節でもあります。そのため、神様と共に秋の味覚を味わう喜びも、日本人特有の「実りの秋」を楽しむ文化が作られた理由の1つだと思われます。
秋に旬を迎える食材は、1年の中でも特に美味しいものばかりです。日本の秋は実りを迎える野菜や果物が多く、また旬の食べ物が栄養を蓄えて旨みを増しているため、「実りの秋」や「食欲の秋」とも呼ばれています。また、日本人は春から農作物を苦労しながら育て、無事に収穫できたことを神様に感謝しながら秋の味覚を大切に頂いてきた歴史があります。
このように日本人は昔から秋を特別な季節として、秋の味覚を楽しむ文化が根付いていきました。ですので、みなさんもぜひ、美味しく育った秋の味覚を感謝しながらさまざまな調理法で楽しんでみてください。
秋と言えば何と言っても「食欲の秋」ですよね。
夏は暑い日が続いて食欲も減ってしまいがちですが、秋になると心地よい気温になり、食欲も増してきて旬の食べ物がよりおいしく感じられます。
そこで今回は、秋が旬の食材やどうしてこれらの食材が美味しいのかなどについて「秋の味覚」を楽しむ日本の食文化と共に紹介していきましょう。
目次
秋の味覚とは?なぜ「食欲の秋」と呼ばれるの?
日本では、秋のことを「食欲の秋」と呼び、秋に収穫される野菜や果物などの「秋の味覚」を楽しみますよね。しかしなぜ、昔から「食欲の秋」と呼ばれるのでしょうか?
ここでは、「食欲の秋」の由来や秋の味覚について解説していきましょう。
秋の味覚とは
日本は四季があり旬を楽しむ文化がある国です。
そして、それぞれの気候に合わせて農作業が行われてきました。
中でも秋は、多くの米や野菜、果物、きのこなど農作物や山の幸が育ち収穫する時期であるため、「実りの秋」や「収穫の秋」とも呼ばれています。
また、秋は野菜や果物だけでなく、さんまや秋鮭などの魚も旬を迎えます。
このように、秋に旬を迎える食材が多いのは、秋は植物や魚が冬に向けて栄養を蓄え、寒さに備える時期であるからです。
これらの秋が旬の野菜や果物は、夏の日差しをたっぷり受けて成長し、冬を迎えるためにデンプンや糖分を実や種、根などに蓄えるため、他の季節が旬の食材に比べて甘みや旨みが濃くなるという特徴があります。
また、秋が旬の魚も、産卵や冬を越す為に脂肪や栄養分を体内に蓄えるため、ほかの季節に比べて旨みが強くなるため、秋に旬を迎える食べ物は「秋の味覚」と呼ばれ、特別に美味しいとされているのです
なぜ「食欲の秋」と言われるの?
秋は「食欲の秋」とも呼ばれ、不思議と食欲が増して、つい食べ過ぎてしまうことがあります。これには、気温や日照時間など、季節による体の変化が関係しているといわれています。気温が下がると、体温を保つために基礎代謝が高まり、エネルギーを多く消費することから、食欲が増す一因になると考えられています。
また、日照時間の変化によってセロトニンなどの体内物質に変化が生じることも、食欲に影響する可能性があります。
一方で、「食欲の秋」と呼ばれる背景には、秋ならではの豊かな実りもあります。かつての日本では、秋に米をはじめ、果物やきのこなど多くの食材が収穫されました。旬を迎えた食材が豊富に並ぶ秋は、食の恵みを味わい、収穫に感謝する季節でもあったのです。こうした食文化も、「食欲の秋」という言葉につながったと考えられています。
秋の味覚といえばこれ!特に人気の食材5選
秋は食材が豊富な季節ですが、中でも人気が高いものは「さんま・松茸・さつまいも・栗・柿」です。
ここでは、秋の味覚の代表的な食材であるこれらの5品について詳しく紹介していきましょう。
さつまいも
さつまいもは、日本の秋を代表する味覚のひとつです。収穫時期は9月〜11月頃ですが、収穫後にしばらく寝かせて熟成させることで甘みが増すため、10月~1月頃に食べ頃を迎えます。
黄色やオレンジ色、紫色など品種によって色もさまざまで、食感も「ホクホク」「ねっとり」「しっとり」の3種類に大きく分けられます。ホクホク系は素朴な味わい、ねっとり系は濃厚な甘さ、しっとり系はその中間のような食感が特徴です。
昔ながらの焼きいもをはじめ、大学芋やスイートポテトなどのスイーツ、天ぷらや炊き込みご飯など、さまざまな料理で親しまれています。
栗
栗は、日本の秋を象徴する木の実のひとつです。収穫時期は8月下旬~10月下旬頃で、特に9月中旬~10月中旬頃が食べ頃といわれています。ほっくりとした食感と、秋ならではのやさしく上品な甘みが特徴です。
栗は縄文時代にはすでに日本に自生していたとされ、古くから秋の味覚として親しまれてきました。栄養価が高く育てやすいことから、奈良時代には凶作に備える救荒作物としても栽培され、豊穣の象徴として大切にされてきた食材です。
焼き栗や栗ご飯、甘露煮、栗きんとんなどのほか、栗を使った和菓子やモンブランなどの洋菓子も人気。昔ながらの味わいから現代のスイーツまで、幅広く楽しまれています。
柿
柿は、日本の秋を象徴する果物のひとつです。9月~12月頃に旬を迎え、特に10月下旬~11月頃が最盛期。上品な甘みとやさしい香りが特徴で、実が固いものから柔らかいものまで、さまざまな食感を楽しめます。
柿には、そのまま食べられる「甘柿」と、渋みがあるため加工して食べる「渋柿」があります。渋柿は干し柿にしたり、渋抜きをしたりすることで、おいしく食べられます。甘柿や渋抜きした柿はそのまま味わうほか、サラダや焼き柿、ジャム、スムージーなどにも。地域によっては、干し柿を正月料理のなますに加えることもあります。
中国原産とされ、奈良時代には日本に伝わったといわれ、古くから秋の風物詩として親しまれてきました。
松茸
松茸は、日本の秋を代表するきのこのひとつです。8月~11月頃に旬を迎え、特に9月中旬~10月中旬が最盛期。松茸特有の豊かな香りと歯ごたえのある食感が魅力で、秋を代表する高級食材として親しまれています。
松茸は古くから日本に自生し、奈良時代や平安時代には秋の訪れを感じさせる食材として貴族にも愛されていたといわれています。香りを楽しむ料理が多く、土瓶蒸しや松茸ご飯、網焼き、天ぷらなど、さまざまな食べ方で味わわれています。
かつては日本各地で多く収穫されていましたが、アカマツの減少や山林環境の変化などにより収穫量は減少。現在は中国やカナダなどからの輸入品も多く流通しています。
さんま
さんまは、日本の秋を代表する魚のひとつです。旬は9月~11月頃で、秋になると日本近海へやってくる回遊魚。細長く刀のような姿と、秋に旬を迎えることから「秋刀魚」と書かれるほど、昔から秋を感じさせる魚として親しまれてきました。
春から夏にかけて餌をたっぷりと食べるため、秋のさんまは大きく太り、脂がよく乗るのが特徴です。
特に9月下旬~10月頃は脂の乗りがよく、一年の中でも特においしい時期といわれています。
定番の食べ方は塩焼きですが、竜田揚げや炊き込みご飯などにも使われます。鮮度のよいものは刺身や寿司でも楽しめる、秋の味覚を代表する魚です。
秋の味覚といえば?代表的な食べ物一覧
秋には、栗や梨、さつまいもやきのこ、さんまなど、色々な旬の食べ物があります。
そこでここでは、その他の代表的な秋の味覚について詳しく紹介していきましょう。
野菜・いも類
里芋
里芋は、9月~12月に旬を迎えるいも類です。
ぬめりと粘りが強く、ホクホクとした食感が特徴で、煮っころがしやけんちん汁などの和食だけでなく、グラタンやコロッケなどの洋食にも合う食材です。
里芋はインドや東南アジアが原産とされ、縄文時代には中国から日本に伝わり栽培されていたと考えられている食材で、昔から秋の収穫を祝う儀式やお祭りのお供え物としても欠かせない食材として親しまれています。
かぼちゃ
かぼちゃは、10月~12月に旬を迎える野菜です。
かぼちゃの収穫時期は8月ごろなのですが、収穫後2~3カ月くらい追熟させるため、旬を迎えるのは10月~12月ごろになります。
甘みが強くホクホクとした食感が特徴で、煮物や天ぷら、スープや味噌汁、コロッケやグラタンの食事料理などだけでなく、プリンやパイなどのスイーツとしても楽しめる食材です。
れんこん
れんこんは、11月~2月に旬を迎える野菜です。
れんこんとは蓮の地下茎が肥大した部分で、空気が通るための穴が開いた独特の見た目をしています。
れんこんの味と食感は節ごとに違っていて、芽に近い方(先の方)がシャキシャキ感が強くさっぱりとした味わいで、芽から遠くなるとホクホク感が強く甘くて濃厚な味わいになるそうです。
天ぷらや煮物、きんぴら、サラダなどそのままの形で食べたり、すりおろして団子にして食べたりします。
ごぼう
ごぼうは、11月~2月に旬を迎える野菜です。
特有の豊かな香りとシャキシャキとした食感が特徴で、きんぴらや煮物、天ぷらなどで楽しまれています。
ごぼうは平安時代に中国から薬として伝わったとされており、現在ごぼうを食べるのは日本だけだといわれています。
また、ごぼうは地中に長く伸びることから「長寿」の象徴とされており、おせち料理のたたきごぼうなどハレの日の食事にも欠かせない縁起の良い食材とされています。
果物類
梨
梨は、7月~10月ごろに旬を迎える果物です。
水分が多くさっぱりとした甘さと、シャリシャリとした食感が特徴で、冷やしてそのまま食べるのが一般的です。
梨は中国原産で弥生時代に日本に伝わったとされており、米と同じく古くから日本で育てられてきました。
栗と同じく、奈良時代に救荒作物としても日本全国で育てられるようになり、豊穣の象徴として愛されてきました。
りんご
りんごは、10月~12月ごろに旬を迎える果物です。
りんごは種類が豊富で、シャキシャキとした食感のものやポクポクとした食感のもの、甘みの強いものや酸味の強いものなどがあります。
甘酸っぱい香りと程よい水分が特徴で、そのまま食べるだけでなく、パイや焼きリンゴ、ジャム、ジュースなどとしても楽しまれています。
日本では、平安時代に中国から伝わった小ぶりの「和りんご」と呼ばれるりんごが栽培されるようになり、現在主流となっている「西洋りんご」は、明治時代にアメリカから伝わったものです。
ぶどう
ぶどうは、7月~11月に旬を迎える果物です。
甘酸っぱくジューシーでつるんとした食感が特徴のぶどうは、赤いものや緑色のものなど種類が多いのが特徴です。
そのまま食べることが多いですが、ケーキやゼリー、ジャムやジュースなど色々なスイーツの素材としても親しまれています。
ぶどうは地中海地方から中国を経由して奈良時代に日本に伝わったとされています。
一房に多くの実を付けるぶどうは、豊穣や子孫繁栄の象徴とされており、日本では縁起の良い果物としても愛されてきた果物です。
きのこ類
しいたけ
しいたけは、養殖技術の発展によって一年を通して食べられるようになりましたが、本来は春と秋に旬を迎えるきのこです。秋は9月~11月頃が旬とされ、肉厚で香り豊かな味わいを楽しめます。
しいたけは、シイやクヌギ、ミズナラなどの広葉樹に発生し、古くから日本で食べられてきたきのこです。昭和初期ごろまでは、秋になると日本各地の山で多く採れる山の幸として親しまれていました。
肉厚で香りがよく、濃厚な味わいが特徴で、煮物や味噌汁、鍋の具などにしたり、丸ごと焼いて食べたりなど様々な食べ方を楽しめる食材で、干したものは良質な出汁がとれる高級食材としても愛されています。
しめじ
しめじは、9月~11月ごろに旬を迎えるきのこです。
昔から日本に自生するきのこの1つで、「香り松茸、味しめじ」と言われるほど深い味わいがあるのが特徴です。
炊き込みご飯やきのこ汁など、しめじ本来の味わいを楽しむ料理が多くあります。
舞茸
舞茸は、養殖されるようになり現在は1年中食べられますが、本来は9月~10月ごろに旬を迎えるきのこです。
香りや味がよく、歯ごたえもあるのが特徴で、きのこ鍋や天ぷら、炊き込みご飯、炒め物やシチューなど色々な料理に使われる秋の味覚です。
天然の舞茸は険しい崖などに生えており、見つけるのがとても難しい希少なきのこで、「見つけると嬉しくて舞ってしまう」と言われるほどだったことからこの名前が付けられたとされています。
魚介類
秋鮭
秋鮭は、9月~11月に旬を迎える魚です。
鮭には色々な種類があり、それぞれ旬の時期が違うのですが、その中の秋鮭とは白鮭(しろさけ)とも呼ばれる日本で最も一般的な鮭で、産卵のために北海道などの川に戻ってきたもののことを指します。
秋鮭は産卵直前のため脂は少なめですが、身が締まってさっぱりとした味わいが特徴です。
塩焼きやホイル焼き、石狩鍋や炊き込みご飯などで楽しまれています。
秋さば
さばは、秋から冬にかけて旬を迎えますが、中でも10月~11月ごろに水揚げされるものを「秋さば」と呼びます。
秋さばは、産卵後に再び栄養を蓄えた状態で、脂乗りが良く旨みとコクが強いのが特徴です。
塩焼きや味噌煮、南蛮漬けや竜田揚げなどで楽しまれます。
戻りガツオ
戻りガツオとは、南の海域から春に黒潮に乗って日本近海までやってきたカツオが東北の方まで北上していき、秋ごろに再び南の海域に戻るために南下してきたもののことを指しています。
戻りガツオは餌をたっぷり食べて丸々と太り脂が乗っているため、もっちりとしてとろけるような食感と旨みが強いのが特徴です。
脂乗りが良いので刺身がおすすめですが、カツオのタタキでも美味しくいただけます。
秋の味覚をおいしく楽しむ食べ方
秋の味覚は、昔から様々な調理法で楽しまれてきました。
ここでは、秋の味覚をよりおいしく楽しむ方法について紹介していきます。
焼いて楽しむ
さんまや秋鮭の魚や松茸やしいたけなどのきのこ類、さつまいもなどのいも類などは、シンプルに焼いたものが人気です。
これらの食材は、焼くことで水分が蒸発したり余分な脂が出たりし、旨みが凝縮するため美味しくなります。
また、食材を焼くことでアミノ酸と糖が反応し、きれいな焼き色が付き香ばしい香りが出る「メイラード反応」によってもこれらの食材を美味しく楽しめるのでおすすめです。
炊き込みご飯や煮物で楽しむ
秋の味覚であるきのこ類やごぼうやれんこんなどの野菜類、里芋やさつまいもなどのいも類は、色々な食材と一緒に調理する炊き込みご飯や煮物にすると、それぞれの具材から出た旨みが染み込みより一層美味しくなるのでおすすめです。
スイーツで楽しむ
さつまいもや栗、柿や梨などの甘みが強い食材は、そのまま食べるだけでなくケーキや和菓子などのスイーツとしても楽しむことができます。
これらの食材は、甘み成分が多く含まれているため、加熱することでさらに甘みを増して美味しくなります。
また、ケーキや和菓子などは見た目も美しいので、舌だけでなく目からも秋の味覚を楽しむことができるのでおすすめです。
秋の行事と食べ物
日本には昔から、旬の食材を取り入れた料理を行事の時に食べる「ハレの日の食事」という食文化があります。
特に秋は米をはじめとした多くの農作物や山の幸、海の幸が収穫される時期であるため、秋の行事には秋の味覚を用いた特別な「ハレの日の食事」が食べられてきました。
中秋の名月(十五夜)を楽しむお月見は、もともとは神様に収穫を感謝し豊作を祈願する行事で、満月の形を模した白くて丸い団子や十五夜の時期に収穫される里芋やさつまいもなどのいも類をお供えし、お供え物を下げて食べる習慣があります。
また日本各地で行われる秋祭りの由来は「新嘗祭(にいなめさい)」という最も重要な神事で、神様にその年に収穫した新米や麦、キビ、粟、豆の五穀をお供えし、その年の収穫の感謝と翌年の豊作を祈願する儀式が行われるものです。
昔は日本全国の各村で新嘗祭が行われており、この儀式が終わるまで新米を食べることは許されませんでした。
新嘗祭の儀式が終わった後は、新米や収穫された秋の味覚をふんだんに使った「ハレの日の食事」を皆で食べながらお祝いをしてきました。
秋祭りの特別な「ハレの日の食事」は地域によっても違いがあり、お餅や赤飯、栗おこわ、押し寿司、鯖寿司、芋煮、煮しめ、田楽などの秋の味覚を使った料理が食べられています。
秋の味覚を楽しむ日本の食文化
日本の秋は、色々な作物が実り、夏までにたっぷりとエサを食べて育ったさんまなどの魚が日本近海で獲れる時期で、1年で最も食べ物が豊富にある季節です。日本以外の国でも秋は収穫時期なので、収穫祭など秋の食材を味わう文化はありますが、中でも日本は特別秋の味覚を楽しむ文化を持っているとされています。
これは、日本が四季のある国で、それぞれの旬の食材で季節を感じる良さを知っているからだと考えられます。
特に秋の食材は栄養を蓄えて旨みが増したものが多いので、秋になると美味しいものを思い出して味わいたくなるのではないでしょうか。
また、日本は稲作を中心とした文化が根付いているため、米が収穫される秋は神様に感謝する特別な季節でもあります。
そのため、神様と共に秋の味覚を味わう喜びも、日本人特有の「実りの秋」を楽しむ文化が作られた理由の1つだと思われます。
色々な形で旬を迎えた秋の味覚を色々な形で楽しもう
秋に旬を迎える食材は、1年の中でも特に美味しいものばかりです。
日本の秋は実りを迎える野菜や果物が多く、また旬の食べ物が栄養を蓄えて旨みを増しているため、「実りの秋」や「食欲の秋」とも呼ばれています。
また、日本人は春から農作物を苦労しながら育て、無事に収穫できたことを神様に感謝しながら秋の味覚を大切に頂いてきた歴史があります。
このように日本人は昔から秋を特別な季節として、秋の味覚を楽しむ文化が根付いていきました。
ですので、みなさんもぜひ、美味しく育った秋の味覚を感謝しながらさまざまな調理法で楽しんでみてください。
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