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オランダと聞いて、チューリップや風車と一緒に、頭のてっぺんがツンと尖った帽子、赤や青のカラフルなエプロンドレス、そして大きな「木靴」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?誰もが一度は目にしたことがあるあの可愛い衣装ですが、実はオランダの民族衣装は1種類だけではありません。かつての歴史や風土を反映し、町や村といった地域ごとに、驚くほど個性的で多様な特徴を持っているのです。
そこで今回は、オランダ特有の民族衣装が生まれた背景や、代表的な地域別のスタイルの違いなどについて詳しくご紹介していきます。衣装に隠された面白い歴史を知れば、オランダの旅や文化がもっと楽しくなりますよ!
オランダの代表的な民族衣装は、両サイドに羽根のような部分がある独特な形をしたとんがり帽子とロングスカートのドレスにエプロン、大きめの木靴という特有のスタイルです。この独特のオランダの民族衣装がどのようにして生まれ、引き継がれていったのか、歴史や文化的背景について詳しく紹介していきましょう。
オランダの民族衣装の起源は、16世紀ごろの農村や漁村で日常的に着られていた普段着にあります。
まずオランダの民族衣装で特徴的なのは、木靴です。オランダは北海の沿岸にあり土地の大半が低地であるため、湿地帯の多い国でした。そのため、足がぬれたり泥で汚れたりしないようにするため、13世紀ごろにポプラやヤナギなどの木をくり抜いて作る木靴が誕生したとされています。
また、オランダは北海道よりも北に位置し、一年を通して強い風が吹いているため、寒さが厳しくウールや木綿で出来た服を重ねて着るのが通常でした。そして、農作業や漁業などの仕事をする際、スカートが汚れないようにするためにエプロンを付けていたことが、オランダの民族衣装に大きく反映されています。
船による貿易が盛んになった17世紀はオランダの黄金期と呼ばれ、外国から入ってきた文化を取り入れながら商業や芸術が発展していきました。このころから文化の地域差が大きくなっていき、民族衣装も各地域で独自のデザインへと発展していったと言われています。
オランダは、過去にローマ帝国やハプスブルグ家、スペインなどの領地であった歴史や貿易により他国との交流が盛んだった歴史がある国です。そのため、オランダの文化は多くの国の影響を受けて発展していきました。
貿易が盛んになった時代の港町では、貿易によってインドや東アジアなどの影響を受けた異国情緒あふれるデザインの衣装や、インドから伝わった更紗という生地や染料を使用した豪華な衣装などが生まれ、南部地方ではカトリック文化の影響を受けたカラフルでレースを多く使ったデザインの衣装が好まれました。また、民族衣装には出身地や家柄などを表すという役割もあり、刺繍やプリントされる模様や帽子の形、衣装のデザイン、使われる生地や装飾品など、地域によって大きく異なっていったとされています。
オランダの民族衣装には、特徴的な部分が多く見られます。ここでは、オランダの民族衣装ならではのアイテムについて紹介していきましょう。
オランダの民族衣装の特徴の1つに大きな木靴があります。木靴はオランダ語で「klomp(クロンプ:単数形)/klompen(クロンペン:複数形)」と言い、ポプラやヤナギなどの柔らかい木をくり抜いて作られています。クロンペンは、国土の大半が湿地であったオランダの農作業で足を濡らさないようにするために誕生しました。結婚式などの大切な行事にも履かれ、行事用のクロンペンは彫刻やペイントが施されています。
現在では、行事用やお土産用に作られているものがほとんどですが、現在でも安全靴としての基準を満たしているため工場での危険な作業から足を守るためや農作業の際などに履く人もいます。
オランダの民族衣装で特に目を引くのが、女性が被る特徴的な形をした帽子です。この帽子は英語で「Dutch cap(ダッチキャップ)」や「Dutch bonnet(ダッチボンネット)」と呼ばれていて、日本では「オランダ風ボンネット」と呼ばれています。
白い綿布や白いレースで作られており、左右に羽根のような形の立ち上がる部分があるのが特徴です。地域によって独自の形が生まれ、てっぺんが尖った形のものや左右の羽の部分が大きく広がったもの、後ろの方が風船のように膨らんだものや頭全体を包む形のものなど色々な形があります。帽子の形には、出身地や既婚であるか未婚であるかなどを示す役割もありました。
女性は民族衣装を着る際に、特徴的な形の金の耳飾りや赤い首飾りなどの装飾品を付けます。これらの装飾品は地域によって違いがあり、バネのような形の金の耳飾りや珊瑚で作られた赤い珠を連ねたものを3連から6連に重ね、装飾された大きめの金の留め金を正面にして留める形のチョーカーのような首飾りを付けます。
オランダの女性が着る民族衣装は、ロングドレスにエプロンを重ねたスタイルが基本です。このスタイルは、昔のオランダの女性が日常的に着ていたもので、ドレスはウールや綿など丈夫な布が使われたものが多く、必ずエプロンを重ねるのは、家事や農作業などで服を汚さないようにするためでした。
結婚式やお祭りなど特別な行事には現在も見られる豪華な装飾が施されたものを着ますが、色の組み合わせや模様などで出身地や結婚の有無が分かるようになっています。
オランダの民族衣装には国全体の共通するものはなく、地域ごとの異なった普段着が現在まで受け継がれたもので、多種多様なスタイルがあります。ここでは、代表的な地域の民族衣装について詳しく解説していきましょう。
フォーレンダムは、首都アムステルダムから北東約20㎞に位置する北ホラント州にある漁村で、近年では観光地としても有名な地域です。
フォーレンダムの女性の民族衣装の特徴の1つは、特有な形をした白いレースの帽子です。フォーレンダムの帽子は左右に羽根のような部分があり、頭頂部が尖ったチューリップの花のような形をしています。トップスはクラプラプと呼ばれる花柄のジレ(袖なしの胴着)に襟ぐりの深い黒のブラウス、青と白の房が付いた刺繡の肩ベルト、白地に赤と青のストライプ模様が入ったロングドレスに腰の部分が白地に花の刺繡が入った黒いエプロン、カラフルな木靴を履く、オランダの民族衣装の代表的なスタイルです。
男性は、黒いダブルのジャケット、足首まである極太の黒いズボン、首元にはカラフルなスカーフを巻き、黒い革靴と黒い筒状の帽子といったスタイルです。
ザイランド(ゼーランド)とは、ベルギーに近いオランダ南西部にある海辺の地域(州)です。観光地として人気が高く、夏には多くの人が訪れる避暑地となっています。
ザイランドの女性の民族衣装は、肩の部分が尖ったベストと、左右の「羽」が横に大きく広がった白いレースの帽子が特徴です。この帽子は、正面から見ると大きな楕円形をしています。衣装のベースは黒いロングスカートに淡いブルーのエプロンで、首元には赤い珊瑚(さんご)の珠を金のバックルで留めるチョーカー風のネックレスをつけ、足元には木靴を合わせます。
なお、地域によっては黒いエプロンを着用したり、前髪の両サイドに円錐形のバネのような金の飾りをつけたりすることもあります。
フリースランド(フリースラント)州は、オランダ北部にある北海沿岸の地域で、沖合のフリースラント諸島も含みます。かつてはゲルマン系のフリース人が暮らす独立国家だったため、現在も独自の言語や文化が色濃く残っています。
同州の中でも、特に有名なのが「ヒンデローペン」という町の民族衣装です。女性の民族衣装には、17世紀にインドから伝わった木綿のプリント生地「更紗(ちつ・シッツ)」が贅沢に使われています。チェック柄の刺繍が施されたベストにチェックのロングスカート、そして美しい花や植物の模様が描かれた更紗のコートを羽織り、頭頂部が平らな円筒状の帽子をかぶるのが特徴的なスタイルです。
一方、男性の衣装は、花のような文様が描かれたカラフルなシャツに白いスカーフ、黒の長ズボンに黒いハットを合わせるスタイルとなっています。
マルケン島とはフォーレンダムの沖合にあるアイセル湖に浮かぶ小さな島です。本土と離れていたため、独自の文化が発展したマルケン島では、民族衣装も特有のデザインになりました。
マルケン島の女性の民族衣装は、赤・白・黒のストライプ模様のブラウスに豪華な刺繍が施された黒いベストを重ね、黒いロングスカートに青いエプロンを付けたスタイルです。頭には白いレースで出来た小さな帽子を付け、靴は黒いパンプスや木靴を履きます。ベストはウール製で、刺繍は赤や黄色、青などのカラフルな毛糸で施されており、刺繡される模様や色遣いで家系や年齢などが表されているといわれています。
男性の民族衣装は、コックコートのような黒いダブルのジャケット、ももの部分が膨らんだ膝下丈の黒いズボン、黒の長靴下に黒い革靴といったスタイルです。帽子も黒いハットで、全身黒ずくめですが、首に赤いスカーフを結びます。
ユルクとは、オランダ中部にある小さな港町。かつては小さな島でしたが、干拓によって陸続きになりました。しかし、島だった頃の文化が現在も色濃く残っており、民族衣装も非常に特徴的です。
女性の民族衣装は、黒地のブラウスに「クラップラップ」と呼ばれる四角いベストを重ねたトップス、黒いロングスカート。そして白・青・赤のストライプ模様のエプロンを合わせたスタイルです。頭には、白地に黄色の縁取りが施されたレースの帽子をスカーフのように耳まで覆うように被り、首元には赤い珊瑚(さんご)を連ねたネックレスを身に付けます。
男性の民族衣装は、金ボタンが付いた赤・白・青のストライプ模様のシャツに、ゆったりとしたシルエットの黒い長ズボン、首元には黒いスカーフを巻いたスタイルです。
スタップホルストとは、オランダ北西部オーファレイセル州にある小さな村です。ここでは「スティップワーク」と呼ばれる、黒地の布に赤や青、白など様々な色の絵の具を使い、細かな花模様をドット(点)で描く伝統技法が有名な地域です。
スタップホルストの女性の民族衣装は、胸の部分にスティップワークが施された黒地のブラウスと、同じくスティップワークの布で作られた頭をすっぽりと覆う形の帽子が特徴的です。これらに、細かなプリーツが入った紺のロングスカートを合わせ、肩にはチェック柄のスカーフを掛けたスタイルをしています。また、帽子には白いレースで作られた四角い形状のものもあります。さらに、円錐状のバネ(らせん)のような形をした金の髪飾り(イヤリング風の頭飾り)も、スタップホルストの衣装を際立たせる大きな特徴です。
アルクマールとはオランダ北部にある都市で、酪農や農業が盛んな地域です。チーズの生産地としても有名で、毎年春から秋にかけては、毎週「チーズ市」が開催されています。
アルクマールの女性の民族衣装は、白と水色のストライプ模様のブラウスに赤いスカーフを巻き、膝丈の赤いスカートに鮮やかなブルーのエプロンを重ねるのが基本です。さらに、赤い靴下にシンプルな木靴を履き、頭には頭頂部が尖った白いレースの帽子を被るといった、非常に色鮮やかなスタイルが特徴です。
かつては日常着だったオランダの民族衣装ですが、18世紀の産業革命にともなう織物の機械化や、その後の安価な洋服の大量生産により、日常の風景からは徐々に姿を消していきました。
現代において民族衣装が普段着として着用されることはほぼありません。現在は、伝統的なお祭りや宗教行事、結婚式などの特別なイベントのほか、観光地でオランダの文化をアピールする衣装として大切に受け継がれています。
ただし、伝統的な「木靴(クロンプ)」だけは例外です。安全性が高く防水性にも優れているため、農作業や庭仕事、あるいは漁港での作業時に、実用的なワークブーツとして現在も履き続けている人が少なからず存在します。
オランダの民族衣装は、海抜が低く湿地帯や水害が多かったことや、寒冷な気候といった土地柄から生まれました。さらに、近隣国や貿易で交流のあった国々からの影響を受けながら、地域ごとに独自の発展を遂げていきました。そのため、それぞれの衣装には各地域の歴史や地域性が象徴されており、大切な文化遺産として現在も受け継がれています。かつては日常着だった民族衣装も、現代では普段着として使われることはほとんどなくなりました。
しかし、フォーレンダムやマルケン島などの観光地では、土産物店の店員さんが着用している姿を見られたり、観光客が実際に着て記念撮影を楽しめるサービスが提供されていたりします。
また日本国内でも、長崎の「ハウステンボス」でオランダの民族衣装を体験できるサービスがあります。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
オランダと聞いて、チューリップや風車と一緒に、頭のてっぺんがツンと尖った帽子、赤や青のカラフルなエプロンドレス、そして大きな「木靴」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?
誰もが一度は目にしたことがあるあの可愛い衣装ですが、実はオランダの民族衣装は1種類だけではありません。
かつての歴史や風土を反映し、町や村といった地域ごとに、驚くほど個性的で多様な特徴を持っているのです。
そこで今回は、オランダ特有の民族衣装が生まれた背景や、代表的な地域別のスタイルの違いなどについて詳しくご紹介していきます。衣装に隠された面白い歴史を知れば、オランダの旅や文化がもっと楽しくなりますよ!
目次
オランダの民族衣装の歴史と文化的背景
オランダの代表的な民族衣装は、両サイドに羽根のような部分がある独特な形をしたとんがり帽子とロングスカートのドレスにエプロン、大きめの木靴という特有のスタイルです。
この独特のオランダの民族衣装がどのようにして生まれ、引き継がれていったのか、歴史や文化的背景について詳しく紹介していきましょう。
オランダ民族衣装の起源と発展
オランダの民族衣装の起源は、16世紀ごろの農村や漁村で日常的に着られていた普段着にあります。
まずオランダの民族衣装で特徴的なのは、木靴です。
オランダは北海の沿岸にあり土地の大半が低地であるため、湿地帯の多い国でした。
そのため、足がぬれたり泥で汚れたりしないようにするため、13世紀ごろにポプラやヤナギなどの木をくり抜いて作る木靴が誕生したとされています。
また、オランダは北海道よりも北に位置し、一年を通して強い風が吹いているため、寒さが厳しくウールや木綿で出来た服を重ねて着るのが通常でした。
そして、農作業や漁業などの仕事をする際、スカートが汚れないようにするためにエプロンを付けていたことが、オランダの民族衣装に大きく反映されています。
船による貿易が盛んになった17世紀はオランダの黄金期と呼ばれ、外国から入ってきた文化を取り入れながら商業や芸術が発展していきました。
このころから文化の地域差が大きくなっていき、民族衣装も各地域で独自のデザインへと発展していったと言われています。
文化的背景
オランダは、過去にローマ帝国やハプスブルグ家、スペインなどの領地であった歴史や貿易により他国との交流が盛んだった歴史がある国です。
そのため、オランダの文化は多くの国の影響を受けて発展していきました。
貿易が盛んになった時代の港町では、貿易によってインドや東アジアなどの影響を受けた異国情緒あふれるデザインの衣装や、インドから伝わった更紗という生地や染料を使用した豪華な衣装などが生まれ、南部地方ではカトリック文化の影響を受けたカラフルでレースを多く使ったデザインの衣装が好まれました。
また、民族衣装には出身地や家柄などを表すという役割もあり、刺繍やプリントされる模様や帽子の形、衣装のデザイン、使われる生地や装飾品など、地域によって大きく異なっていったとされています。
オランダの民族衣装の特徴
オランダの民族衣装には、特徴的な部分が多く見られます。
ここでは、オランダの民族衣装ならではのアイテムについて紹介していきましょう。
木靴
オランダの民族衣装の特徴の1つに大きな木靴があります。
木靴はオランダ語で「klomp(クロンプ:単数形)/klompen(クロンペン:複数形)」と言い、ポプラやヤナギなどの柔らかい木をくり抜いて作られています。
クロンペンは、国土の大半が湿地であったオランダの農作業で足を濡らさないようにするために誕生しました。
結婚式などの大切な行事にも履かれ、行事用のクロンペンは彫刻やペイントが施されています。
現在では、行事用やお土産用に作られているものがほとんどですが、現在でも安全靴としての基準を満たしているため工場での危険な作業から足を守るためや農作業の際などに履く人もいます。
帽子
オランダの民族衣装で特に目を引くのが、女性が被る特徴的な形をした帽子です。
この帽子は英語で「Dutch cap(ダッチキャップ)」や「Dutch bonnet(ダッチボンネット)」と呼ばれていて、日本では「オランダ風ボンネット」と呼ばれています。
白い綿布や白いレースで作られており、左右に羽根のような形の立ち上がる部分があるのが特徴です。
地域によって独自の形が生まれ、てっぺんが尖った形のものや左右の羽の部分が大きく広がったもの、後ろの方が風船のように膨らんだものや頭全体を包む形のものなど色々な形があります。
帽子の形には、出身地や既婚であるか未婚であるかなどを示す役割もありました。
耳飾り・首飾り
女性は民族衣装を着る際に、特徴的な形の金の耳飾りや赤い首飾りなどの装飾品を付けます。
これらの装飾品は地域によって違いがあり、バネのような形の金の耳飾りや珊瑚で作られた赤い珠を連ねたものを3連から6連に重ね、装飾された大きめの金の留め金を正面にして留める形のチョーカーのような首飾りを付けます。
ドレスとエプロン
オランダの女性が着る民族衣装は、ロングドレスにエプロンを重ねたスタイルが基本です。
このスタイルは、昔のオランダの女性が日常的に着ていたもので、ドレスはウールや綿など丈夫な布が使われたものが多く、必ずエプロンを重ねるのは、家事や農作業などで服を汚さないようにするためでした。
結婚式やお祭りなど特別な行事には現在も見られる豪華な装飾が施されたものを着ますが、色の組み合わせや模様などで出身地や結婚の有無が分かるようになっています。
地域別のオランダ民族衣装の種類
オランダの民族衣装には国全体の共通するものはなく、地域ごとの異なった普段着が現在まで受け継がれたもので、多種多様なスタイルがあります。
ここでは、代表的な地域の民族衣装について詳しく解説していきましょう。
フォーレンダムの衣装
フォーレンダムは、首都アムステルダムから北東約20㎞に位置する北ホラント州にある漁村で、近年では観光地としても有名な地域です。
フォーレンダムの女性の民族衣装の特徴の1つは、特有な形をした白いレースの帽子です。
フォーレンダムの帽子は左右に羽根のような部分があり、頭頂部が尖ったチューリップの花のような形をしています。
トップスはクラプラプと呼ばれる花柄のジレ(袖なしの胴着)に襟ぐりの深い黒のブラウス、青と白の房が付いた刺繡の肩ベルト、白地に赤と青のストライプ模様が入ったロングドレスに腰の部分が白地に花の刺繡が入った黒いエプロン、カラフルな木靴を履く、オランダの民族衣装の代表的なスタイルです。
男性は、黒いダブルのジャケット、足首まである極太の黒いズボン、首元にはカラフルなスカーフを巻き、黒い革靴と黒い筒状の帽子といったスタイルです。
ザイランド(ゼーランド)の衣装
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:(Three_Dutch_women.)_(3110162238).jpg)
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nederlands_openlucht_museum_arnhem_(459)_(8174557159).jpg)
ザイランド(ゼーランド)とは、ベルギーに近いオランダ南西部にある海辺の地域(州)です。
観光地として人気が高く、夏には多くの人が訪れる避暑地となっています。
ザイランドの女性の民族衣装は、肩の部分が尖ったベストと、左右の「羽」が横に大きく広がった白いレースの帽子が特徴です。
この帽子は、正面から見ると大きな楕円形をしています。
衣装のベースは黒いロングスカートに淡いブルーのエプロンで、首元には赤い珊瑚(さんご)の珠を金のバックルで留めるチョーカー風のネックレスをつけ、足元には木靴を合わせます。
なお、地域によっては黒いエプロンを着用したり、前髪の両サイドに円錐形のバネのような金の飾りをつけたりすることもあります。
フリースランドの衣装
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Klederdracht_vrouw_van_Hindeloopen,_RP-P-OB-86.792.jpg)
フリースランド(フリースラント)州は、オランダ北部にある北海沿岸の地域で、沖合のフリースラント諸島も含みます。
かつてはゲルマン系のフリース人が暮らす独立国家だったため、現在も独自の言語や文化が色濃く残っています。
同州の中でも、特に有名なのが「ヒンデローペン」という町の民族衣装です。
女性の民族衣装には、17世紀にインドから伝わった木綿のプリント生地「更紗(ちつ・シッツ)」が贅沢に使われています。
チェック柄の刺繍が施されたベストにチェックのロングスカート、そして美しい花や植物の模様が描かれた更紗のコートを羽織り、頭頂部が平らな円筒状の帽子をかぶるのが特徴的なスタイルです。
一方、男性の衣装は、花のような文様が描かれたカラフルなシャツに白いスカーフ、黒の長ズボンに黒いハットを合わせるスタイルとなっています。
マルケン島の衣装
マルケン島とはフォーレンダムの沖合にあるアイセル湖に浮かぶ小さな島です。
本土と離れていたため、独自の文化が発展したマルケン島では、民族衣装も特有のデザインになりました。
マルケン島の女性の民族衣装は、赤・白・黒のストライプ模様のブラウスに豪華な刺繍が施された黒いベストを重ね、黒いロングスカートに青いエプロンを付けたスタイルです。
頭には白いレースで出来た小さな帽子を付け、靴は黒いパンプスや木靴を履きます。
ベストはウール製で、刺繍は赤や黄色、青などのカラフルな毛糸で施されており、刺繡される模様や色遣いで家系や年齢などが表されているといわれています。
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Portret_van_een_man_in_de_klederdracht_van_Marken_Habitants_de_l%27%C3%AEle_de_Marken._(titel_op_object),_RP-F-F00970-Z.jpg)
男性の民族衣装は、コックコートのような黒いダブルのジャケット、ももの部分が膨らんだ膝下丈の黒いズボン、黒の長靴下に黒い革靴といったスタイルです。
帽子も黒いハットで、全身黒ずくめですが、首に赤いスカーフを結びます。
ユルクの衣装
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Urk_-_Costumes-3.jpg)
ユルクとは、オランダ中部にある小さな港町。
かつては小さな島でしたが、干拓によって陸続きになりました。
しかし、島だった頃の文化が現在も色濃く残っており、民族衣装も非常に特徴的です。
女性の民族衣装は、黒地のブラウスに「クラップラップ」と呼ばれる四角いベストを重ねたトップス、黒いロングスカート。
そして白・青・赤のストライプ模様のエプロンを合わせたスタイルです。
頭には、白地に黄色の縁取りが施されたレースの帽子をスカーフのように耳まで覆うように被り、首元には赤い珊瑚(さんご)を連ねたネックレスを身に付けます。
男性の民族衣装は、金ボタンが付いた赤・白・青のストライプ模様のシャツに、ゆったりとしたシルエットの黒い長ズボン、首元には黒いスカーフを巻いたスタイルです。
スタップホルストの衣装
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Staphorster_klederdracht_(17).jpg)
スタップホルストとは、オランダ北西部オーファレイセル州にある小さな村です。
ここでは「スティップワーク」と呼ばれる、黒地の布に赤や青、白など様々な色の絵の具を使い、細かな花模様をドット(点)で描く伝統技法が有名な地域です。
スタップホルストの女性の民族衣装は、胸の部分にスティップワークが施された黒地のブラウスと、同じくスティップワークの布で作られた頭をすっぽりと覆う形の帽子が特徴的です。
これらに、細かなプリーツが入った紺のロングスカートを合わせ、肩にはチェック柄のスカーフを掛けたスタイルをしています。
また、帽子には白いレースで作られた四角い形状のものもあります。
さらに、円錐状のバネ(らせん)のような形をした金の髪飾り(イヤリング風の頭飾り)も、スタップホルストの衣装を際立たせる大きな特徴です。
アルクマールの衣装
アルクマールとはオランダ北部にある都市で、酪農や農業が盛んな地域です。
チーズの生産地としても有名で、毎年春から秋にかけては、毎週「チーズ市」が開催されています。
アルクマールの女性の民族衣装は、白と水色のストライプ模様のブラウスに赤いスカーフを巻き、膝丈の赤いスカートに鮮やかなブルーのエプロンを重ねるのが基本です。
さらに、赤い靴下にシンプルな木靴を履き、頭には頭頂部が尖った白いレースの帽子を被るといった、非常に色鮮やかなスタイルが特徴です。
現代におけるオランダ民族衣装
かつては日常着だったオランダの民族衣装ですが、18世紀の産業革命にともなう織物の機械化や、その後の安価な洋服の大量生産により、日常の風景からは徐々に姿を消していきました。
現代において民族衣装が普段着として着用されることはほぼありません。
現在は、伝統的なお祭りや宗教行事、結婚式などの特別なイベントのほか、観光地でオランダの文化をアピールする衣装として大切に受け継がれています。
ただし、伝統的な「木靴(クロンプ)」だけは例外です。
安全性が高く防水性にも優れているため、農作業や庭仕事、あるいは漁港での作業時に、実用的なワークブーツとして現在も履き続けている人が少なからず存在します。
オランダの民族衣装は各地域の歴史を伝える文化遺産
オランダの民族衣装は、海抜が低く湿地帯や水害が多かったことや、寒冷な気候といった土地柄から生まれました。さらに、近隣国や貿易で交流のあった国々からの影響を受けながら、地域ごとに独自の発展を遂げていきました。
そのため、それぞれの衣装には各地域の歴史や地域性が象徴されており、大切な文化遺産として現在も受け継がれています。かつては日常着だった民族衣装も、現代では普段着として使われることはほとんどなくなりました。
しかし、フォーレンダムやマルケン島などの観光地では、土産物店の店員さんが着用している姿を見られたり、観光客が実際に着て記念撮影を楽しめるサービスが提供されていたりします。
また日本国内でも、長崎の「ハウステンボス」でオランダの民族衣装を体験できるサービスがあります。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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