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タイ北部・チェンライにあるワット・ロンクンは、白く輝く外観が印象的な寺院です。 ホワイトテンプルとも呼ばれるその姿は、どこか幻想的で、現実から切り離されたような静けさを感じさせます。
しかし、近づいていくと、その印象は少しずつ変わっていきます。 きらめく白の中には、無数の手や顔のモチーフが現れ、美しさだけでは捉えきれない、どこか複雑な表情が重なっているのです。
これらのデザイン一つひとつには、仏教の価値観が織り込まれているといわれています。 今回はそんなワット・ロンクンが生まれた背景や、見どころ、観光の際の注意点などを紹介していきます。
ワット・ロンクンは、タイ北部のチェンライ県にある仏教寺院です。 チェンマイと混同されることもありますが、チェンライはそこからさらに北へ約200kmほど離れた場所に位置しています。
タイの寺院といえば、金色の屋根や華やかなデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? そうしたイメージの中で、ホワイトテンプルとも呼ばれるワット・ロンクンは、外観のほぼすべてが白で統一された、少し異なる印象を持つ存在です。
伝統的な仏教建築の様式を基盤としながらも、現代アートの要素がいたるところに取り入れられている点も、大きな特徴のひとつです。
かつて、この場所には老朽化した仏教寺院がありました。 長い年月のなかで手入れも行き届かなくなり、その姿は次第に荒廃していきました。
そんな故郷の風景を前に、立ち止まったのがチェンライ出身の芸術家チャルームチャイ・コーシットピパット氏です。 彼はその光景を見過ごすのではなく、自らの手で生まれ変わらせることを決意しました。
建設が始まったのは1997年。 既存の寺院を修復するのではなく、新たなかたちとして再構築するという選択でした。 それは単なる再建を超え、この場所に新たな意味を与えるための再生の始まりでもありました。
ワット・ロンクンは、チャルームチャイ氏にとって「生涯をかけて創り続ける芸術作品」といわれています。
掲げられているテーマは「地獄から悟りへの道」です。 敷地全体がひとつの物語として構想され、訪れる人がその道のりを辿るように設計されています。
そんなワット・ロンクンですが、2026年現在も未完成となっています。 完成予定は2070年といわれており、それは彼自身が115歳を迎える年でもあります。 終わりを定めるというよりも、作り続けることそのものに意味がある。そんな考えが、この場所には息づいているようです。
ワット・ロンクンは、チャルームチャイ氏の私財のみで建設を続け、外部からの資金提供を一切受け入れないという姿勢を取っています。
「私の死だけが、この夢を止めることができる」 その言葉には、この場所に込められた揺るぎない覚悟が滲んでいます。
ワット・ロンクンの象徴ともいえる真っ白な外観は、仏陀の純粋さや清らかさを表現したものとされています。
細やかな装飾の中に埋め込まれた無数の鏡のかけらが光を受けてきらめきます。 その輝きは美しさだけではなく、仏の教えや知恵(悟りや真理)が広がっていく様子を象徴しているともいえるでしょう。
金ではなく白を選んだ理由は、豪華さのためではなく、より本質的な「純粋さ」を表すたなのです。
ワット・ロンクンは、それぞれが独立しているのではなく、「地獄から悟りへ」というひとつの流れに沿って体験できるように設計されています。 ここでは、実際に歩く順番にしたがって、その特徴的なポイントを紹介していきます。 観光で訪れる際は、順番にしたがってまわると、その世界観をより深く感じられるでしょう。
本堂へと続く参道に架かる橋は、ワット・ロンクンを象徴する最大の見どころです。 橋の両側からは、無数の手が地面を突き破るように伸びており、その強烈な光景に思わず足を止める人も少なくありません。
これらの手は、人間の「欲・怒り・無知」に囚われた魂を表しているとされています。 橋の下は地獄の世界を象徴しており、救いを求めて伸びるその姿は、煩悩の中でもがく存在の象徴ともいえるでしょう。
この橋を渡る行為そのものが、地獄から抜け出し、悟りへと向かう過程を体験することにつながっています。
なお、橋は一方通行となっており、逆走は禁止されています。 これは「過去には戻れない」という思想を体現した設計ともいわれているため、写真撮影は渡る前に済ませておくのがおすすめです。
輪廻再生の橋を渡り終えると、その先に現れるのが天国の門です。 地獄を抜けた先に天国があるという構成は、この寺院全体のテーマを象徴しています。 門の前には、ヒンドゥー教神話に登場するラーフ神の巨大な像が据えられています。
ラーフ神は日食や月食を引き起こす存在として知られており、仏教とヒンドゥー教の要素が重なり合った、タイならではの世界観を感じさせるモチーフです。 この流れは、単なる装飾ではなく、「生と死」「苦しみと救い」といったテーマを映し出しているともいえるでしょう。
本堂の内部には、仏教的なモチーフに加えて、漫画のキャラクターや著名人が描かれた壁画が広がっています。
一見場違いにも思えるこれらの要素ですが、「現代社会の善と悪」を仏教の視点から描いたものとされています。
伝統と現代が交わるこの空間には、設計者チャルームチャイの独自の芸術観が色濃く反映されているといえるでしょう。
なお、本堂内は撮影禁止です。 静かに向き合いながら、その世界観をじっくりと味わってみてくださいね。
境内にある「黄金のトイレ」も、訪問者の印象に強く残る存在です。 建設費は500万バーツ(約3,500万円)ともいわれ、豪華なデザインが施されたその外観は、タイでも屈指の豪華さといわれています。
白を基調とした本堂とは対照的な金色は、「人間の欲望」や「物質的な価値」を象徴しているとされています。
■コインを投げて祈願する方法
ひとつめは、境内の水槽に設けられた立体の花弁にコインを投げ入れる方法です。 花弁の一番上にコインが乗ると幸運が訪れるとされており、日本円のコインでも問題ないといわれています。
ふたつめは、銀色のプレートに自分の名前を書き、境内の木に吊るす方法です。 日本の絵馬に似た文化で、祈りを込めながらプレートを結びつけます。 このプレートを吊るす木は、仏陀が悟りを開いたときに背後にあったとされる菩提樹をかたどったものです。
タイは人口の約9割が仏教徒であり、タイと寺院は切っても切れない関係です。 ここからはワット・ロンクンに限らず、寺院観光の際に気を付けるべき点について紹介していきます。
本堂内の撮影は厳しく禁止されています。案内に従い、静かに鑑賞しましょう。 ※本堂へ向かう道中は撮影可能です。
輪廻再生を表す橋は一方通行となっており、途中で引き返すことはできません。「迷いの世界から悟りへ進む道は後戻りできない」という考えからです。 写真は橋を渡る前に撮っておくのがおすすめです。
白い外壁と鏡のガラス片による照り返しは、晴れた日には非常に強くなります。サングラスや帽子を持参しておくと安心です。
ワット・ロンクンに限らず、寺院を訪れる際は過度な肌の露出は控えましょう。 ノースリーブや短パン、ミニスカートなどは避け、肩や膝が隠れる服装が望ましいとされています。
ワット・ロンクンは、美しい白い寺院であるだけでなく、仏教の価値観や人の内面に向き合う視点、そして設計者の強い意志が重なり合う場所です。
白という色に込められた意味や、光を反射する装飾、そして一方通行の橋が表現する世界観など、境内のいたるところに仏教的な思想を感じられます。 そうした一つひとつに触れることで、ワット・ロンクンはまた違った表情を見せてくれるはずです。
皆さんもチェンライへの旅行の際には、観光地としてだけでなく、その意味や背景にも少し意識を向けながら、ゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか?
タイ北部・チェンライにあるワット・ロンクンは、白く輝く外観が印象的な寺院です。
ホワイトテンプルとも呼ばれるその姿は、どこか幻想的で、現実から切り離されたような静けさを感じさせます。
しかし、近づいていくと、その印象は少しずつ変わっていきます。
きらめく白の中には、無数の手や顔のモチーフが現れ、美しさだけでは捉えきれない、どこか複雑な表情が重なっているのです。
これらのデザイン一つひとつには、仏教の価値観が織り込まれているといわれています。
今回はそんなワット・ロンクンが生まれた背景や、見どころ、観光の際の注意点などを紹介していきます。
目次
タイのワット・ロンクンとは?
ワット・ロンクンは、タイ北部のチェンライ県にある仏教寺院です。
チェンマイと混同されることもありますが、チェンライはそこからさらに北へ約200kmほど離れた場所に位置しています。
タイの寺院といえば、金色の屋根や華やかなデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
そうしたイメージの中で、ホワイトテンプルとも呼ばれるワット・ロンクンは、外観のほぼすべてが白で統一された、少し異なる印象を持つ存在です。
伝統的な仏教建築の様式を基盤としながらも、現代アートの要素がいたるところに取り入れられている点も、大きな特徴のひとつです。
営業時間・拝観料・アクセス
ワット・ロンクンの建設背景
かつて、この場所には老朽化した仏教寺院がありました。
長い年月のなかで手入れも行き届かなくなり、その姿は次第に荒廃していきました。
そんな故郷の風景を前に、立ち止まったのがチェンライ出身の芸術家チャルームチャイ・コーシットピパット氏です。
彼はその光景を見過ごすのではなく、自らの手で生まれ変わらせることを決意しました。
建設が始まったのは1997年。
既存の寺院を修復するのではなく、新たなかたちとして再構築するという選択でした。
それは単なる再建を超え、この場所に新たな意味を与えるための再生の始まりでもありました。
芸術作品とされる理由と思想
ワット・ロンクンは、チャルームチャイ氏にとって「生涯をかけて創り続ける芸術作品」といわれています。
掲げられているテーマは「地獄から悟りへの道」です。
敷地全体がひとつの物語として構想され、訪れる人がその道のりを辿るように設計されています。
ワット・ロンクンは未完成?
そんなワット・ロンクンですが、2026年現在も未完成となっています。
完成予定は2070年といわれており、それは彼自身が115歳を迎える年でもあります。
終わりを定めるというよりも、作り続けることそのものに意味がある。そんな考えが、この場所には息づいているようです。
私財によって建てられている?
ワット・ロンクンは、チャルームチャイ氏の私財のみで建設を続け、外部からの資金提供を一切受け入れないという姿勢を取っています。
「私の死だけが、この夢を止めることができる」
その言葉には、この場所に込められた揺るぎない覚悟が滲んでいます。
なぜ金色ではなく白なの?
ワット・ロンクンの象徴ともいえる真っ白な外観は、仏陀の純粋さや清らかさを表現したものとされています。
細やかな装飾の中に埋め込まれた無数の鏡のかけらが光を受けてきらめきます。
その輝きは美しさだけではなく、仏の教えや知恵(悟りや真理)が広がっていく様子を象徴しているともいえるでしょう。
金ではなく白を選んだ理由は、豪華さのためではなく、より本質的な「純粋さ」を表すたなのです。
ワット・ロンクンの見どころ
ワット・ロンクンは、それぞれが独立しているのではなく、「地獄から悟りへ」というひとつの流れに沿って体験できるように設計されています。
ここでは、実際に歩く順番にしたがって、その特徴的なポイントを紹介していきます。
観光で訪れる際は、順番にしたがってまわると、その世界観をより深く感じられるでしょう。
輪廻再生の橋
本堂へと続く参道に架かる橋は、ワット・ロンクンを象徴する最大の見どころです。
橋の両側からは、無数の手が地面を突き破るように伸びており、その強烈な光景に思わず足を止める人も少なくありません。
これらの手は、人間の「欲・怒り・無知」に囚われた魂を表しているとされています。
橋の下は地獄の世界を象徴しており、救いを求めて伸びるその姿は、煩悩の中でもがく存在の象徴ともいえるでしょう。
この橋を渡る行為そのものが、地獄から抜け出し、悟りへと向かう過程を体験することにつながっています。
なお、橋は一方通行となっており、逆走は禁止されています。
これは「過去には戻れない」という思想を体現した設計ともいわれているため、写真撮影は渡る前に済ませておくのがおすすめです。
天国の門
輪廻再生の橋を渡り終えると、その先に現れるのが天国の門です。
地獄を抜けた先に天国があるという構成は、この寺院全体のテーマを象徴しています。
門の前には、ヒンドゥー教神話に登場するラーフ神の巨大な像が据えられています。
ラーフ神は日食や月食を引き起こす存在として知られており、仏教とヒンドゥー教の要素が重なり合った、タイならではの世界観を感じさせるモチーフです。
この流れは、単なる装飾ではなく、「生と死」「苦しみと救い」といったテーマを映し出しているともいえるでしょう。
本堂内の壁画
本堂の内部には、仏教的なモチーフに加えて、漫画のキャラクターや著名人が描かれた壁画が広がっています。
一見場違いにも思えるこれらの要素ですが、「現代社会の善と悪」を仏教の視点から描いたものとされています。
伝統と現代が交わるこの空間には、設計者チャルームチャイの独自の芸術観が色濃く反映されているといえるでしょう。
なお、本堂内は撮影禁止です。
静かに向き合いながら、その世界観をじっくりと味わってみてくださいね。
黄金のトイレ
境内にある「黄金のトイレ」も、訪問者の印象に強く残る存在です。
建設費は500万バーツ(約3,500万円)ともいわれ、豪華なデザインが施されたその外観は、タイでも屈指の豪華さといわれています。
白を基調とした本堂とは対照的な金色は、「人間の欲望」や「物質的な価値」を象徴しているとされています。
ワット・ロンクンでの祈願方法
■コインを投げて祈願する方法
ひとつめは、境内の水槽に設けられた立体の花弁にコインを投げ入れる方法です。
花弁の一番上にコインが乗ると幸運が訪れるとされており、日本円のコインでも問題ないといわれています。
■コインを投げて祈願する方法
ふたつめは、銀色のプレートに自分の名前を書き、境内の木に吊るす方法です。
日本の絵馬に似た文化で、祈りを込めながらプレートを結びつけます。
このプレートを吊るす木は、仏陀が悟りを開いたときに背後にあったとされる菩提樹をかたどったものです。
ワット・ロンクンを訪れる際の注意点
タイは人口の約9割が仏教徒であり、タイと寺院は切っても切れない関係です。
ここからはワット・ロンクンに限らず、寺院観光の際に気を付けるべき点について紹介していきます。
本堂内は撮影禁止
本堂内の撮影は厳しく禁止されています。案内に従い、静かに鑑賞しましょう。
※本堂へ向かう道中は撮影可能です。
橋は一方通行
輪廻再生を表す橋は一方通行となっており、途中で引き返すことはできません。「迷いの世界から悟りへ進む道は後戻りできない」という考えからです。
写真は橋を渡る前に撮っておくのがおすすめです。
照り返しへの対策を
白い外壁と鏡のガラス片による照り返しは、晴れた日には非常に強くなります。サングラスや帽子を持参しておくと安心です。
過度な露出はNG
ワット・ロンクンに限らず、寺院を訪れる際は過度な肌の露出は控えましょう。
ノースリーブや短パン、ミニスカートなどは避け、肩や膝が隠れる服装が望ましいとされています。
まとめ
ワット・ロンクンは、美しい白い寺院であるだけでなく、仏教の価値観や人の内面に向き合う視点、そして設計者の強い意志が重なり合う場所です。
白という色に込められた意味や、光を反射する装飾、そして一方通行の橋が表現する世界観など、境内のいたるところに仏教的な思想を感じられます。
そうした一つひとつに触れることで、ワット・ロンクンはまた違った表情を見せてくれるはずです。
皆さんもチェンライへの旅行の際には、観光地としてだけでなく、その意味や背景にも少し意識を向けながら、ゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか?
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