人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
2026年の干支は「午(うま)」。しかも60年ぶりに巡ってくる「丙午(ひのえうま)」の年です。古くから人間のパートナーとして活躍してきた馬は、世界各地で200種類以上もの品種が生み出されてきました。とはいえ、競馬や乗馬体験で馬を見かけることはあっても、そんなに多くいる馬の種類まで気にしたことがないという方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな馬たちの基本的な分類から代表的な品種まで、それぞれの特徴や歴史を見ていきましょう!
馬は日本では「軽種」「中間種」「重種」「ポニー種」の4つに大きく分けられています。この分類は体高(地面から肩までの高さ)や体重、骨格、そしてどんな用途で使われるかによって決められたものです。
ここからは、軽種・中間種・重種の代表的な品種を詳しく見ていきましょう。
軽種馬はその名のとおり軽やかで脚が長く、動きが機敏な馬たちです。すらりと伸びた四肢と引き締まった体、小さな頭を持ち、競馬の世界では「走る芸術品」とも呼ばれてきました。スピードに特化している一方で、繊細な気性の持ち主が多いのも特徴です。
軽種馬の代表格であるサラブレッド、その祖先にあたるアラブ種、そして両者を交配したアングロアラブ種について見ていきましょう。
サラブレッドは世界でもっとも知名度の高い競走馬で、日本の競馬場を走る馬のほぼ100%を占めています。18世紀初頭のイギリスで、アラブ種と在来馬のハンター種などを交配して誕生しました。「より速く走れる馬を作りたい」という目的のもとで改良が重ねられ、卓越したスピード能力を持つ品種へと進化したのです。
19世紀に入るとサラブレッドはイギリスから世界各地へ広まり、各国の王室や貴族にも愛されて競馬文化が花開きました。サラブレッドの流れるような体のラインは、無駄のない筋肉とバランスのとれたプロポーションが際立ちます。ただし、細身の体つきゆえに心身ともにデリケートな面を持ち合わせており、細く長い脚はケガをしやすいという弱点も。現在では競走馬を引退したサラブレッドが各地の乗馬クラブで第二の人生を歩んでおり、乗用馬としても人気を集めています。
アラブ種(アラビアン)は中東のアラビア半島を原産とする歴史の古い品種で、ベドウィンと呼ばれるアラブ遊牧民によって何世紀にもわたり血統が守られてきました。体高は約140〜150cm、体重は約400kgとサラブレッドより小柄ですが、厳しい気候への適応力と長距離を走り抜くスタミナでは右に出るものがいません。
砂漠の過酷な環境でも少ない餌で生き延びられるたくましさと、主人に忠実で穏やかな気質は、遊牧民たちにとって理想的な相棒でした。16世紀以降ヨーロッパ各地に持ち込まれたアラブ種の優れた血は、サラブレッドやクォーターホースなど多くの近代馬の土台となっています。
アングロアラブ種は、アラブ種とサラブレッドを交配して生まれた品種です。アラブの丈夫さと、サラブレッドのスピードを兼ね備えた軍用・競走用の馬を作り出すために誕生しました。一般的にはアラブ種の血が25%以上入っているものをアングロアラブと呼びます。
19世紀以降フランスで積極的に改良・生産が進められ、軍馬や馬術競技馬として高く評価されました。日本でも昭和期にはアングロアラブ系のレースが各地で行われていた歴史があります。スピードではサラブレッドに及ばず昭和後期以降は競馬界から姿を消しましたが、ヨーロッパでは今も障害飛越や総合馬術で活躍しています。
中間種馬(ウォームブラッド)は、軽種と重種の長所を組み合わせて生み出された品種たちです。軽種譲りの速さと敏捷性、重種譲りのどっしりした体つきと穏やかな性格を持ち合わせており、「乗りやすい馬」として知られています。馬術競技やウェスタン乗馬、馬車を引く仕事など幅広い場面で活躍し、現代のスポーツホースの多くがこの中間種に分類されます。
アメリカン・クォーターホースは、アメリカ生まれの中型馬で、世界でもっとも頭数の多い品種として知られています。17世紀の北米でサラブレッド系と在来馬を交配して生まれ、1/4マイル(約402m)の短距離レースで非常に速かったことからこの名前がつきました。
400mの距離ならサラブレッドと互角に競えるダッシュ力を持ち、西部開拓時代にはカウボーイたちが牛の群れをまとめる作業やロデオで欠かせない存在に。穏やかで人懐こい性格から世界各国に広まり、アメリカクォーターホース協会には600万頭以上が登録されています。
セルフランセはフランス生まれの中間種馬で、フランス語で「フランスの鞍馬」という意味です。1965年にフランスで作られた比較的新しい品種で、アングロノルマン種やアングロアラブ種などを統合・改良して誕生しました。
馬術競技、特に障害飛越の分野で世界的な活躍を見せており、オリンピックで金メダルを獲得した実績もあります。登録審査が厳しく、優れた資質を持つ馬だけが繁殖に選ばれるため、高い能力と素直で穏やかな気性が両立している点が特徴です。
フリージアンはオランダ北部フリースランド地方生まれの美しい黒馬で、その堂々たる姿から「世界一のイケメン馬」と呼ばれることもあります。艶のある黒い毛色に豊かなたてがみと尾を持ち、波打つような長毛が見られるのが特徴です。
体高は平均160cmほどで、見た目の重厚感に反して軽快に走ることができます。映画『ロード・オブ・ザ・リング』では黒馬に乗る王のシーンに使われ、話題になりました。音楽に合わせて踊るように演技する"ホースダンス"にも向いており、その力強くも優雅な動きは見る人を魅了します。
重種馬は大きくて筋肉のたくましい馬たちで、人類の歴史の中でもっとも古くから活躍してきた種類です。体重は800kgから1,000kgを超えるものもあり、走る速さこそゆっくりですが、そのパワーは抜きん出ています。
馬車や荷車を引いたり、農具を引っ張って畑を耕したり、産業革命以前の社会を支えた存在でした。現在ではトラクターなどの機械にその役目を譲りましたが、観光用の馬車や祭りの山車を引く姿など、今も活躍の場があります。
ペルシュロン種はフランス北西部ペルシュ地方生まれで、「もっとも有名な重種馬」として知られています。8世紀頃のフランスの在来重種馬にアラブ種など東方の馬を交配して改良された歴史を持ち、重種馬でありながら上品さも備えているのが特徴です。
体高は通常160〜170cmほどですが、大きなものでは2mを超え、体重は約1トンに達します。その優雅な風貌から「重種馬の貴婦人」とも呼ばれてきました。日本でもばんえい競馬で活躍するほか、観光地では馬車を引く姿を見ることができます。
ブルトン種はフランス北西部ブルターニュ地方生まれの重種馬です。体高は150〜160cmほど、体重は約800kgと重種の中では中くらいのサイズで、胴が太く筋肉質でがっしりした体つきをしています。
栗毛や粕毛が多く見られ、性格は大人しくて働き者。農業が盛んなブルターニュでは、畑を耕したり荷物を運んだりする馬として欠かせない存在でした。ばんえい競馬の馬にもブルトンの血が入っており、重種馬のスタミナと粘り強さを高めることに貢献しています。
ベルジャン・ドラフト種はベルギー生まれの世界最大級の重種馬で、ブラバント馬とも呼ばれています。体高は平均で約170cm、体重は約900kgですが、現存する世界一背の高い馬(体高210cm)ともっとも重い馬(体重1451kg)は、どちらもベルジャン種です。
穏やかで扱いやすく、あれだけ大きいのに人間に対してとても従順な性格が特徴。19〜20世紀初頭には欧米各国で盛んに飼われ、アメリカではもっともポピュラーなドラフトホースとなりました。
ここまで紹介した品種のほかにも、世界にはユニークな特徴を持つ珍しい馬がたくさんいます。耳の形が不思議なもの、毛色が特別なもの、体毛がカールしているもの、驚くほど小さいものなど、その個性は実にさまざまです。
マルワリはインド・ラージャスタン州のマルワール地方生まれで、独特な耳の形で知られています。両方の耳が内向きにくるんとカールしていて、先端同士がほぼ触れ合うほど反り返っているのが最大の特徴です。
かつてはインドの王(マハラジャ)たちの軍馬として大切にされ、「砂漠の名馬」とも呼ばれていました。現在は純血種が希少となっており、2000年以降は国外への輸出が禁止されているため、インド以外で見る機会はほとんどありません。
アハル・テケは中央アジア・トルクメニスタン生まれの軽種馬で、キラキラ輝く金属のような毛並みから「黄金の馬」と称えられています。紀元前から遊牧民によって育てられてきた世界最古級の馬種です。
特にクリーム色や黄金に輝く毛色の個体は、まるで絹のようなメタリックな光を放ち、一見すると馬とは思えないほど幻想的。トルクメニスタンでは国の宝として扱われ、国のシンボルにもその姿が描かれています。
バシキール・カーリーは全身の毛が縮れたようにカールする珍しい品種です。特に冬毛が巻き毛になるのが特徴で、夏になると毛が生え変わって巻きが緩くなる個体も多く見られます。
名前からロシアを連想させますが、実は北アメリカ生まれ。最大の注目ポイントは、その巻き毛がアレルギーを起こしにくいこと。馬アレルギーの人でも触れ合える可能性があるとされ、アメリカではセラピーホースとして活用されている例もあります。
ファラベラはアルゼンチン生まれの世界最小の馬として知られています。大人になっても体高70〜80cmほどしかなく、中には40cm台という極めて小さな個体も記録されており、まさに犬と変わらない大きさです。
「ポニー」ではなく「ミニチュアホース」と呼ばれるのは、体は小さくても馬そのものの体型を保っているから。性格は穏やかで人によく懐き、ペットとして飼われるほか、盲導犬ならぬ「盲導馬」として目の不自由な方のパートナーに育てる試みも行われています。
ここまで世界のさまざまな馬たちを紹介してきましたが、これはほんの一部に過ぎません。人間は長い歴史の中で用途に合わせて馬を改良し、俊敏さを追求したサラブレッド、厳しい環境に適応したアラブ種、力強さに特化した重種馬など、実に多彩な品種を誕生させてきました。
馬それぞれの生まれた土地や歴史を知ると、旅行先や観光地で出会う馬たちへの見方が変わるかもしれません。馬は単に「馬」とひとくくりにできない、多彩な魅力を秘めた動物です。それぞれの品種に込められた物語に触れることで、きっとあなたと馬の出会いはより豊かなものとなるはずです。
「丙午(ひのえうま)」とはどんな年?▼
馬は縁起物?世界で幸運の象徴とされる理由とは?▼
2026年の干支は「午(うま)」。しかも60年ぶりに巡ってくる「丙午(ひのえうま)」の年です。
古くから人間のパートナーとして活躍してきた馬は、世界各地で200種類以上もの品種が生み出されてきました。
とはいえ、競馬や乗馬体験で馬を見かけることはあっても、そんなに多くいる馬の種類まで気にしたことがないという方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな馬たちの基本的な分類から代表的な品種まで、それぞれの特徴や歴史を見ていきましょう!
目次
馬の基本的な分類
馬は日本では「軽種」「中間種」「重種」「ポニー種」の4つに大きく分けられています。この分類は体高(地面から肩までの高さ)や体重、骨格、そしてどんな用途で使われるかによって決められたものです。
ここからは、軽種・中間種・重種の代表的な品種を詳しく見ていきましょう。
軽種馬の特徴と代表的な品種
軽種馬はその名のとおり軽やかで脚が長く、動きが機敏な馬たちです。
すらりと伸びた四肢と引き締まった体、小さな頭を持ち、競馬の世界では「走る芸術品」とも呼ばれてきました。スピードに特化している一方で、繊細な気性の持ち主が多いのも特徴です。
軽種馬の代表格であるサラブレッド、その祖先にあたるアラブ種、そして両者を交配したアングロアラブ種について見ていきましょう。
サラブレッド
サラブレッドは世界でもっとも知名度の高い競走馬で、日本の競馬場を走る馬のほぼ100%を占めています。18世紀初頭のイギリスで、アラブ種と在来馬のハンター種などを交配して誕生しました。「より速く走れる馬を作りたい」という目的のもとで改良が重ねられ、卓越したスピード能力を持つ品種へと進化したのです。
19世紀に入るとサラブレッドはイギリスから世界各地へ広まり、各国の王室や貴族にも愛されて競馬文化が花開きました。
サラブレッドの流れるような体のラインは、無駄のない筋肉とバランスのとれたプロポーションが際立ちます。ただし、細身の体つきゆえに心身ともにデリケートな面を持ち合わせており、細く長い脚はケガをしやすいという弱点も。現在では競走馬を引退したサラブレッドが各地の乗馬クラブで第二の人生を歩んでおり、乗用馬としても人気を集めています。
アラブ種
アラブ種(アラビアン)は中東のアラビア半島を原産とする歴史の古い品種で、ベドウィンと呼ばれるアラブ遊牧民によって何世紀にもわたり血統が守られてきました。体高は約140〜150cm、体重は約400kgとサラブレッドより小柄ですが、厳しい気候への適応力と長距離を走り抜くスタミナでは右に出るものがいません。
砂漠の過酷な環境でも少ない餌で生き延びられるたくましさと、主人に忠実で穏やかな気質は、遊牧民たちにとって理想的な相棒でした。16世紀以降ヨーロッパ各地に持ち込まれたアラブ種の優れた血は、サラブレッドやクォーターホースなど多くの近代馬の土台となっています。
アングロアラブ種
アングロアラブ種は、アラブ種とサラブレッドを交配して生まれた品種です。アラブの丈夫さと、サラブレッドのスピードを兼ね備えた軍用・競走用の馬を作り出すために誕生しました。
一般的にはアラブ種の血が25%以上入っているものをアングロアラブと呼びます。
19世紀以降フランスで積極的に改良・生産が進められ、軍馬や馬術競技馬として高く評価されました。日本でも昭和期にはアングロアラブ系のレースが各地で行われていた歴史があります。スピードではサラブレッドに及ばず昭和後期以降は競馬界から姿を消しましたが、ヨーロッパでは今も障害飛越や総合馬術で活躍しています。
中間種馬の特徴と代表的な品種
中間種馬(ウォームブラッド)は、軽種と重種の長所を組み合わせて生み出された品種たちです。軽種譲りの速さと敏捷性、重種譲りのどっしりした体つきと穏やかな性格を持ち合わせており、「乗りやすい馬」として知られています。
馬術競技やウェスタン乗馬、馬車を引く仕事など幅広い場面で活躍し、現代のスポーツホースの多くがこの中間種に分類されます。
クォーターホース
アメリカン・クォーターホースは、アメリカ生まれの中型馬で、世界でもっとも頭数の多い品種として知られています。17世紀の北米でサラブレッド系と在来馬を交配して生まれ、1/4マイル(約402m)の短距離レースで非常に速かったことからこの名前がつきました。
400mの距離ならサラブレッドと互角に競えるダッシュ力を持ち、西部開拓時代にはカウボーイたちが牛の群れをまとめる作業やロデオで欠かせない存在に。穏やかで人懐こい性格から世界各国に広まり、アメリカクォーターホース協会には600万頭以上が登録されています。
セルフランセ
セルフランセはフランス生まれの中間種馬で、フランス語で「フランスの鞍馬」という意味です。1965年にフランスで作られた比較的新しい品種で、アングロノルマン種やアングロアラブ種などを統合・改良して誕生しました。
馬術競技、特に障害飛越の分野で世界的な活躍を見せており、オリンピックで金メダルを獲得した実績もあります。登録審査が厳しく、優れた資質を持つ馬だけが繁殖に選ばれるため、高い能力と素直で穏やかな気性が両立している点が特徴です。
フリージアン
フリージアンはオランダ北部フリースランド地方生まれの美しい黒馬で、その堂々たる姿から「世界一のイケメン馬」と呼ばれることもあります。艶のある黒い毛色に豊かなたてがみと尾を持ち、波打つような長毛が見られるのが特徴です。
体高は平均160cmほどで、見た目の重厚感に反して軽快に走ることができます。映画『ロード・オブ・ザ・リング』では黒馬に乗る王のシーンに使われ、話題になりました。音楽に合わせて踊るように演技する"ホースダンス"にも向いており、その力強くも優雅な動きは見る人を魅了します。
重種馬の特徴と代表的な品種
重種馬は大きくて筋肉のたくましい馬たちで、人類の歴史の中でもっとも古くから活躍してきた種類です。体重は800kgから1,000kgを超えるものもあり、走る速さこそゆっくりですが、そのパワーは抜きん出ています。
馬車や荷車を引いたり、農具を引っ張って畑を耕したり、産業革命以前の社会を支えた存在でした。現在ではトラクターなどの機械にその役目を譲りましたが、観光用の馬車や祭りの山車を引く姿など、今も活躍の場があります。
ペルシュロン種
ペルシュロン種はフランス北西部ペルシュ地方生まれで、「もっとも有名な重種馬」として知られています。8世紀頃のフランスの在来重種馬にアラブ種など東方の馬を交配して改良された歴史を持ち、重種馬でありながら上品さも備えているのが特徴です。
体高は通常160〜170cmほどですが、大きなものでは2mを超え、体重は約1トンに達します。その優雅な風貌から「重種馬の貴婦人」とも呼ばれてきました。日本でもばんえい競馬で活躍するほか、観光地では馬車を引く姿を見ることができます。
ブルトン種
ブルトン種はフランス北西部ブルターニュ地方生まれの重種馬です。体高は150〜160cmほど、体重は約800kgと重種の中では中くらいのサイズで、胴が太く筋肉質でがっしりした体つきをしています。
栗毛や粕毛が多く見られ、性格は大人しくて働き者。農業が盛んなブルターニュでは、畑を耕したり荷物を運んだりする馬として欠かせない存在でした。ばんえい競馬の馬にもブルトンの血が入っており、重種馬のスタミナと粘り強さを高めることに貢献しています。
ベルジャン・ドラフト種
ベルジャン・ドラフト種はベルギー生まれの世界最大級の重種馬で、ブラバント馬とも呼ばれています。体高は平均で約170cm、体重は約900kgですが、現存する世界一背の高い馬(体高210cm)ともっとも重い馬(体重1451kg)は、どちらもベルジャン種です。
穏やかで扱いやすく、あれだけ大きいのに人間に対してとても従順な性格が特徴。19〜20世紀初頭には欧米各国で盛んに飼われ、アメリカではもっともポピュラーなドラフトホースとなりました。
世界のユニークな種類
ここまで紹介した品種のほかにも、世界にはユニークな特徴を持つ珍しい馬がたくさんいます。耳の形が不思議なもの、毛色が特別なもの、体毛がカールしているもの、驚くほど小さいものなど、その個性は実にさまざまです。
マルワリ
マルワリはインド・ラージャスタン州のマルワール地方生まれで、独特な耳の形で知られています。両方の耳が内向きにくるんとカールしていて、先端同士がほぼ触れ合うほど反り返っているのが最大の特徴です。
かつてはインドの王(マハラジャ)たちの軍馬として大切にされ、「砂漠の名馬」とも呼ばれていました。現在は純血種が希少となっており、2000年以降は国外への輸出が禁止されているため、インド以外で見る機会はほとんどありません。
アハル・テケ
アハル・テケは中央アジア・トルクメニスタン生まれの軽種馬で、キラキラ輝く金属のような毛並みから「黄金の馬」と称えられています。紀元前から遊牧民によって育てられてきた世界最古級の馬種です。
特にクリーム色や黄金に輝く毛色の個体は、まるで絹のようなメタリックな光を放ち、一見すると馬とは思えないほど幻想的。トルクメニスタンでは国の宝として扱われ、国のシンボルにもその姿が描かれています。
バシキール・カーリー
バシキール・カーリーは全身の毛が縮れたようにカールする珍しい品種です。特に冬毛が巻き毛になるのが特徴で、夏になると毛が生え変わって巻きが緩くなる個体も多く見られます。
名前からロシアを連想させますが、実は北アメリカ生まれ。最大の注目ポイントは、その巻き毛がアレルギーを起こしにくいこと。馬アレルギーの人でも触れ合える可能性があるとされ、アメリカではセラピーホースとして活用されている例もあります。
ファラベラ
ファラベラはアルゼンチン生まれの世界最小の馬として知られています。大人になっても体高70〜80cmほどしかなく、中には40cm台という極めて小さな個体も記録されており、まさに犬と変わらない大きさです。
「ポニー」ではなく「ミニチュアホース」と呼ばれるのは、体は小さくても馬そのものの体型を保っているから。性格は穏やかで人によく懐き、ペットとして飼われるほか、盲導犬ならぬ「盲導馬」として目の不自由な方のパートナーに育てる試みも行われています。
馬の多面な魅力を知って、出会いを楽しもう
ここまで世界のさまざまな馬たちを紹介してきましたが、これはほんの一部に過ぎません。人間は長い歴史の中で用途に合わせて馬を改良し、俊敏さを追求したサラブレッド、厳しい環境に適応したアラブ種、力強さに特化した重種馬など、実に多彩な品種を誕生させてきました。
馬それぞれの生まれた土地や歴史を知ると、旅行先や観光地で出会う馬たちへの見方が変わるかもしれません。馬は単に「馬」とひとくくりにできない、多彩な魅力を秘めた動物です。それぞれの品種に込められた物語に触れることで、きっとあなたと馬の出会いはより豊かなものとなるはずです。
関連記事
「丙午(ひのえうま)」とはどんな年?▼
馬は縁起物?世界で幸運の象徴とされる理由とは?▼