掲載日:2026.01.01

2025「熊」

清水寺で今年を象徴する漢字一字が筆書きされていたが、「熊」でしたね。
私にとっても2025年で一番印象的であったのは「熊」でした。

テレビ報道に違和感がありまして。どうしてもテレビの報道というのは、視聴率を取らねばならないことと公共の電波であることから、瞬間勝負かつ優等生的な番組しか組めないものです。
ですのでインターネットでも多様多層な意見を探ったりして、自分なりに感じた違和感の正体をとりまとめてみました。

大きく二つあります。

1つは熊=自然生命体に対してのリスペクトに欠けているということ。

もう1つは、熊が食物を求めて山を降りてくる、というのは自然環境に異変が起きている。という発信が不十分であるということ。

北海道知床半島の道路で車の前を歩くヒグマの家族 北海道知床半島の道路で車の前を歩くヒグマの家族

人間社会に降りてきた熊をどう駆除するか、動物愛護団体がそれに反対を示すとか、いろいろな議論があります。しかし現実、人間社会の営みがある以上、危害を与えてくる熊に関しては、やむを得ず殺すしかないでしょう。ただし、かつての日本人のように生きるものへのリスペクトがあれば、どう供養するかとか、せめて心の葛藤があるとか、心のありようこそが問われているとも思います。

アミナコレクションが町おこしで活動している呼子の町 もかつて捕鯨で栄えた町ですが、人間社会が生きていくために捕鯨を生業にしていたわけですが、鯨へのリスペクトがありましたから、供養の碑などが建てられたりしています。
そうしなければ心情的に前に進めない、成熟した社会のありようを感じとれます。

また自然環境の変化が山の中での食物連鎖の頂点に立つ熊さえ脅かしてるのであれば、熊の次に追いつめられるのは人間なのです。それだけ山が荒れたり、気候が激しく変動しているのです。それがひいては、広大な土砂崩れや洪水などに繋がっていたり、広島で牡蠣の収穫が激減したといったニュースにも繋がります。

アミナコレクションは千葉県で サトヤマテラス事業 を通して里山再生にチャレンジしています。千葉県では鹿や猪が山から降りてきて畑を荒らしたり大問題になっていますが、あれだけ里山が荒れていけば当然の結末なのです。

要するに昔の日本人がやってきたように、自然や自然物に対するリスペクト(畏怖と感謝)、そして、あくまで人間も自然の一部として自然環境との共生共栄を考えていかなければ、根本の前進はあり得ないのではないかと思うのです。
ひいては、これを企業組織に置き換えてみても同じことがいえます。企業組織といえど、生身で生きとし人間の集まりだからです。

例えば、どの組織にも問題児がいたり、誰にでも得意不得意がある中で周りの足を引っ張る人もいるものです。やはり企業組織もきちんと成果を出し続けないと存続できませんから、成果を出せない状況では厳しいプレッシャーにさらされたり、集団で働いている以上は極端に組織を乱す場合には解雇されたりすることもあるでしょう。企業の存続のためにやむを得ない現実です。
ただし、誰だって自分ひとりで仕事が成り立つことはないわけで、他者へのリスペクトは必然です。
組織として成果を出すために厳しい切磋琢磨はやむを得ないのですが、根底にリスペクトがないと調和ある前進は難しいでしょう。
ただ熊を撃てば良いわけでなく、そこに葛藤や供養といった寄り添う気持ちが必要なように、企業存続のためやむを得ない厳しい対応の根底にもリスペクトが必要なのです。

また誰か、もしくはどこかのチームが、成果を出せていない場合、「その人、もしくはそのチームが活躍しやすい環境かどうか?」も同時に考えないといけない。成果の出しにくい環境だとしたら、そこに自分も関わっていたり影響しあっているわけですから、無関係な人はいないのです。

仕事の流れを変えたり、環境を改革していくことで活躍しだす人を私はたくさん見てきてます。そのため、私は属人的な仕事の在り方よりも、皆の英知を集めて仕組み化やノウハウの共有を図っていくことを重視していってます。皆で活躍しやすい環境を作っていくわけです。

熊が降りてきたら殺す、だけでなく、その原因となっている山や自然環境の改善も長期的にやっていかないといけないのと同じです。
人やチームが活躍できない問題の根源である、体制や仕事の流れを長期的に良い方向にもっていくことも大事なのです。

この「熊」から広がるさまざまな問題提起を胸に2026年は、あらためてOne Aminaを掲げ、互いにリスペクトを根底に持ちながら切磋琢磨し、働く環境のレベルアップを皆で図っていきたいと考えております。

今年も基盤をパワーアップしつつ、活気で商売繁盛!走り抜けたいと思います!
よろしくお願いします!

新年
統括プロフィール画像

筆者プロフィール:進藤さわと

アミナコレクション創業者 進藤幸彦の次男坊。2010年に社長に就任。
1975年生まれ。自然と歴史と文化、それを巡る旅が好き。


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