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名も知らぬ遠い島から海を渡って流れ着く「ヤシの実」の話は、郷愁や憧れといったロマンをかき立てます。
ところで、日本ではヤシの実とココナッツを同じものだと思い込みがちです。 しかし、この2つの言葉は厳密には同じではなく、違いがあります。ヤシの木のひとつの品種にココヤシがあり、その果実がココナッツなのです。 つまりココナッツはヤシの実の代表であって、イコールではありません。詳しく、きちんと説明しましょう。
ココヤシの果実をココナッツと言います。
ココヤシは英語表記で"coconut palm"その実がココナッツ"coconut"です。学名は"Cocos nucifera"で、和名はココヤシですが、「古々椰子」と表記することもあります。 単子葉植物であるヤシ科の高木で、大きいものは約30メートルにもなります。葉は5メートルになることもある羽状複葉で、幹の先端部に集まるのが特徴です。
ハワイなどの南の島にはヤシの木があり、上の方にはヤシの葉とヤシの実が…このようなときにイメージされるのがココヤシです。ヤシの木の代表として、多くの人が思い浮かべます。
ココヤシの実が"coconut"ですね。
ココヤシの果実は成熟すると30センチメートルほどになります。先端がやや尖った楕円形で、ラグビーボール状です。 外側は丈夫な繊維を含む厚い層があり、その内側にとても固い殻に包まれた種子があります。種子の内部に大きな胚乳があり、胚乳はさらに周辺部の白い固形胚乳と中心部の透明な液状胚乳に分かれます。 この白い固形胚乳を乾燥させたものはヤシ油や食用として利用され、これが一般に広く認識されているココナッツです。すなわちココナッツは、ココヤシの果実を指すこともあり、同時に食材の名称としても使用されています。 また、中心部の液状胚乳はココナッツジュース(またはココナッツ水)と呼ばれ、そのまま飲用にもします。
ココナッツの原産地は太平洋のポリネシアから、熱帯アジアにかけてです。ポリネシアはオセアニアの一部であり、北西ハワイ諸島とニュージーランドおよびイースター島を結んだ三角形に含まれる諸島のことです。
原産地は広いのですが、現在ではさらに分布が広がり、世界各地の熱帯地域で見られるようになりました。利用価値が高いため、多くの地域で栽培され、ココナッツが収穫されています。
ココナッツ "coconut" は「coco」のナッツ(木の実)ですね。では「coco」とは一体何でしょうか? スペイン語、ポルトガル語で「coco」という子どもをおどかすおばけがいるようです。ココナッツがこのおばけの顔に似ているために、この名がついたとされています。
スペインの有名な子守唄「ドゥエルメテ・ミ・ニーニョ」にも登場します。
(日本語訳) 眠りなさい、坊や、 もうおやすみ。 ココがおいでになるよ、 あなたを食べにね。
いつまでも寝ない悪い子を探しに来て食べてしまうおばけがココです。 日本のナマハゲによく似ています。
さらに、『Diccionario de la lengua espanola(RAE)』 によれば、coco の定義は「ser imaginario con que se mete miedo a los ninos(子どもを怖がらせる想像上の存在)」です。
参考: coco | Definición | Diccionario de la lengua española | RAE - ASALE
語源を調べると、ますますココナッツに親しみを覚えますね。 なお『「coco」はスペイン語で「猿」のことで、ココナッツの外観が猿に似ているから』との説がありますが、この説が正しいかどうかは不明です。ちなみにスペイン語で「猿」は「mono」または「simio」と言うそうです。
ヤシの実には沢山の種類があります。 ココナッツはココヤシの実ですが、ヤシはそれだけではありません。オウギヤシやナツメヤシ、アサイーなどもヤシの木の種類です。それらの実はヤシの実ですね。
ヤシ類は約1億年前の白亜紀前期に誕生したとされています。その頃からすでに木のような形態を持っていたようです。白亜紀はジュラ紀(約2億年前)の次の時代です。 ジュラ紀から白亜紀の境目に大きな絶滅はなかったため、白亜紀にも恐竜が繁栄していました。 そして、白亜紀後期(約7000万年前)にヤシ類は繁栄します。熱帯の湿地や海岸で多様化が進みました。恐竜のイメージとヤシの木のイメージが重なるのは、このためですね。 さらに新生代(6600万年前以降)の恐竜絶滅後に、ヤシ類は世界中に拡散していきました。
特に海流に乗って長距離移動ができるヤシの実は世界中に広がります。名も知らぬ遠き島から流れ着くのですね。 現在では多様化が進み、約260属、2500種以上のヤシ類が存在します。主に熱帯・亜熱帯に分布し、樹木・低木・つる性など形態も多様化しています。これらの実がヤシの実なので、ココナッツだけとは限りません。 単に自生するだけでなく、多くのヤシの木は栽培され、収穫することで産業を形成しています。とても人気のある農作物です。
ココナッツは「ヤシの実」と呼ばれることがありますが、両者には違いがあります。ヤシの実には多くの種類があり、その中の一つがココナッツにあたります。 デーツ(ナツメヤシ)、アサイー、アブラヤシ、ビンロウジ、ピーチパーム、サラックなど有名なものあるいはそれほど馴染みにないものと多種多様です。
ヤシは英語で "palm tree" です。直訳すると「手のひらの木」で、葉の形状から来ています。 ココヤシの実、すなわちココナッツの英語表記は "coconut" ですが、その他のヤシの実は、種類によって呼び方が変わります。
ヤシの実はさまざまな種類があるのですね。 ですから、ヤシの実の英語訳を "coconut" とするのは正確ではありません。
ココナッツ以外のヤシの実についても説明してきましたが、そうは言ってもヤシの実の主役はココナッツです。万能な果実ココナッツについて解説します。
ココナッツで食用とするのは、成熟した種子の固形胚乳の部分です。白い胚乳を削り取り乾燥させたものはヤシ油の原料とされます。食材として利用される際には、この部分をココナッツと称するのが一般的です。
ココナッツの白い胚乳を削ったのがココナッツフレークですね。お菓子やグラノーラの材料に使われます。甘みも風味も強く、食感も楽しめます。
ココナッツクッキーは有名なお菓子です。クッキーの表面のココナッツフレークがとても魅力的です。 一方、粉状に加工したのがココナッツパウダーです。パウダーはフレークよりも水分が少なく保存性が高まります。料理や菓子の風味付けなどに使用されます。
他にもインドのお菓子バルフィは多くの子どもたちに好まれています。 400グラムの牛乳を弱火で80グラムまで煮詰め、そこに80グラムのグラニュー糖を混ぜ、さらに80グラムのココナツパウダーを加えます。 こちらも美味しそうですね。
ココナッツミルクは生のココナッツの胚乳をすりつぶし、水と混ぜてしぼった乳状液のことです。とても濃厚で脂肪分が多いので、カレーやデザートに使用します。乳製品ではないので注意しましょう。
未熟果実の液状胚乳は透明で、これをココナッツウォーターと呼びます。自然な甘さでミネラルが豊富です。
ココナッツは食用以外でも利用されています。万能な果実と呼ばれるのも納得です。
ココナッツオイルとは、果肉から抽出した植物油で、料理やお菓子に使用されます。ダイエット効果や認知機能の改善などの効果が期待されています。 またココナッツオイルにはラウリン酸が含まれていますが、抗菌・抗ウイルス作用があるとされている成分です。このためスキンケアやヘアケアなど食用以外の分野でも幅広く使われています。
さらに皮膚のバリア層を補うエモリエント効果が高く、水分の蒸発を防ぐ性質があります。よって乾燥肌の保湿に有効です。比較的刺激が少ないため、お子さんの保湿に使われることもあります。
このように日常的に愛用されているのがココナッツオイルです。
ココナッツの外皮からはココナッツファイバーと呼ばれる強靭な天然繊維が得られ、ロープやマットなどに加工されます。またココナッツの殻は加工して食器や工芸品などに利用されます。趣のある風合いが魅力です。
ハワイではココナッツを加工して縄を作ったり、器として使用したり、楽器として使うなど生活に欠かせないものとして、多くの人に愛されています。
ココナッツオイル(ヤシ油)配合のハンドクリーム。 ハワイをイメージした香りが広がります。 気分に合わせて選べる華やかなパッケージは、ギフトにもおすすめです。
ココナッツとヤシの実について解説しました。全く同じではありませんが、ヤシの実の中でもココナッツは主役級です。 そして、ココナッツは私たちの生活になくてはならない存在になっています。美味しいだけじゃなく、さまざまな役に立つココナツを使うとき、南の島に思いを馳せましょう。
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名も知らぬ遠い島から海を渡って流れ着く「ヤシの実」の話は、郷愁や憧れといったロマンをかき立てます。
ところで、日本ではヤシの実とココナッツを同じものだと思い込みがちです。
しかし、この2つの言葉は厳密には同じではなく、違いがあります。ヤシの木のひとつの品種にココヤシがあり、その果実がココナッツなのです。
つまりココナッツはヤシの実の代表であって、イコールではありません。詳しく、きちんと説明しましょう。
目次
ココナッツとは
ココヤシの果実をココナッツと言います。
ココヤシは英語表記で"coconut palm"その実がココナッツ"coconut"です。学名は"Cocos nucifera"で、和名はココヤシですが、「古々椰子」と表記することもあります。
単子葉植物であるヤシ科の高木で、大きいものは約30メートルにもなります。葉は5メートルになることもある羽状複葉で、幹の先端部に集まるのが特徴です。
ハワイなどの南の島にはヤシの木があり、上の方にはヤシの葉とヤシの実が…このようなときにイメージされるのがココヤシです。ヤシの木の代表として、多くの人が思い浮かべます。
ココヤシの実
ココヤシの実が"coconut"ですね。
ココヤシの果実は成熟すると30センチメートルほどになります。先端がやや尖った楕円形で、ラグビーボール状です。
外側は丈夫な繊維を含む厚い層があり、その内側にとても固い殻に包まれた種子があります。種子の内部に大きな胚乳があり、胚乳はさらに周辺部の白い固形胚乳と中心部の透明な液状胚乳に分かれます。
この白い固形胚乳を乾燥させたものはヤシ油や食用として利用され、これが一般に広く認識されているココナッツです。すなわちココナッツは、ココヤシの果実を指すこともあり、同時に食材の名称としても使用されています。
また、中心部の液状胚乳はココナッツジュース(またはココナッツ水)と呼ばれ、そのまま飲用にもします。
ココナッツの原産地
ココナッツの原産地は太平洋のポリネシアから、熱帯アジアにかけてです。ポリネシアはオセアニアの一部であり、北西ハワイ諸島とニュージーランドおよびイースター島を結んだ三角形に含まれる諸島のことです。
原産地は広いのですが、現在ではさらに分布が広がり、世界各地の熱帯地域で見られるようになりました。利用価値が高いため、多くの地域で栽培され、ココナッツが収穫されています。
ココナッツの名前の由来
ココナッツ "coconut" は「coco」のナッツ(木の実)ですね。では「coco」とは一体何でしょうか?
スペイン語、ポルトガル語で「coco」という子どもをおどかすおばけがいるようです。ココナッツがこのおばけの顔に似ているために、この名がついたとされています。
スペインの有名な子守唄「ドゥエルメテ・ミ・ニーニョ」にも登場します。
(日本語訳)
眠りなさい、坊や、
もうおやすみ。
ココがおいでになるよ、
あなたを食べにね。
いつまでも寝ない悪い子を探しに来て食べてしまうおばけがココです。
日本のナマハゲによく似ています。
さらに、『Diccionario de la lengua espanola(RAE)』 によれば、coco の定義は「ser imaginario con que se mete miedo a los ninos(子どもを怖がらせる想像上の存在)」です。
参考: coco | Definición | Diccionario de la lengua española | RAE - ASALE
語源を調べると、ますますココナッツに親しみを覚えますね。
なお『「coco」はスペイン語で「猿」のことで、ココナッツの外観が猿に似ているから』との説がありますが、この説が正しいかどうかは不明です。ちなみにスペイン語で「猿」は「mono」または「simio」と言うそうです。
ヤシの実の種類
ヤシの実には沢山の種類があります。
ココナッツはココヤシの実ですが、ヤシはそれだけではありません。オウギヤシやナツメヤシ、アサイーなどもヤシの木の種類です。それらの実はヤシの実ですね。
ヤシ類の誕生
ヤシ類は約1億年前の白亜紀前期に誕生したとされています。その頃からすでに木のような形態を持っていたようです。白亜紀はジュラ紀(約2億年前)の次の時代です。
ジュラ紀から白亜紀の境目に大きな絶滅はなかったため、白亜紀にも恐竜が繁栄していました。
そして、白亜紀後期(約7000万年前)にヤシ類は繁栄します。熱帯の湿地や海岸で多様化が進みました。恐竜のイメージとヤシの木のイメージが重なるのは、このためですね。
さらに新生代(6600万年前以降)の恐竜絶滅後に、ヤシ類は世界中に拡散していきました。
ヤシの実とは
特に海流に乗って長距離移動ができるヤシの実は世界中に広がります。名も知らぬ遠き島から流れ着くのですね。
現在では多様化が進み、約260属、2500種以上のヤシ類が存在します。主に熱帯・亜熱帯に分布し、樹木・低木・つる性など形態も多様化しています。これらの実がヤシの実なので、ココナッツだけとは限りません。
単に自生するだけでなく、多くのヤシの木は栽培され、収穫することで産業を形成しています。とても人気のある農作物です。
ヤシの実はココナッツだけじゃない
ココナッツは「ヤシの実」と呼ばれることがありますが、両者には違いがあります。ヤシの実には多くの種類があり、その中の一つがココナッツにあたります。
デーツ(ナツメヤシ)、アサイー、アブラヤシ、ビンロウジ、ピーチパーム、サラックなど有名なものあるいはそれほど馴染みにないものと多種多様です。
ヤシは英語で "palm tree" です。直訳すると「手のひらの木」で、葉の形状から来ています。
ココヤシの実、すなわちココナッツの英語表記は "coconut" ですが、その他のヤシの実は、種類によって呼び方が変わります。
ヤシの実はさまざまな種類があるのですね。
ですから、ヤシの実の英語訳を "coconut" とするのは正確ではありません。
万能な果実ココナッツ
ココナッツ以外のヤシの実についても説明してきましたが、そうは言ってもヤシの実の主役はココナッツです。万能な果実ココナッツについて解説します。
ココナッツを食用に活用
ココナッツで食用とするのは、成熟した種子の固形胚乳の部分です。白い胚乳を削り取り乾燥させたものはヤシ油の原料とされます。食材として利用される際には、この部分をココナッツと称するのが一般的です。
ココナッツフレークやパウダー
ココナッツの白い胚乳を削ったのがココナッツフレークですね。お菓子やグラノーラの材料に使われます。甘みも風味も強く、食感も楽しめます。
ココナッツクッキーは有名なお菓子です。クッキーの表面のココナッツフレークがとても魅力的です。
一方、粉状に加工したのがココナッツパウダーです。パウダーはフレークよりも水分が少なく保存性が高まります。料理や菓子の風味付けなどに使用されます。
他にもインドのお菓子バルフィは多くの子どもたちに好まれています。
400グラムの牛乳を弱火で80グラムまで煮詰め、そこに80グラムのグラニュー糖を混ぜ、さらに80グラムのココナツパウダーを加えます。
こちらも美味しそうですね。
ココナッツミルク
ココナッツミルクは生のココナッツの胚乳をすりつぶし、水と混ぜてしぼった乳状液のことです。とても濃厚で脂肪分が多いので、カレーやデザートに使用します。乳製品ではないので注意しましょう。
ココナッツウォーター
未熟果実の液状胚乳は透明で、これをココナッツウォーターと呼びます。自然な甘さでミネラルが豊富です。
食用以外での使われ方
ココナッツは食用以外でも利用されています。万能な果実と呼ばれるのも納得です。
ココナッツオイル
ココナッツオイルとは、果肉から抽出した植物油で、料理やお菓子に使用されます。ダイエット効果や認知機能の改善などの効果が期待されています。
またココナッツオイルにはラウリン酸が含まれていますが、抗菌・抗ウイルス作用があるとされている成分です。このためスキンケアやヘアケアなど食用以外の分野でも幅広く使われています。
さらに皮膚のバリア層を補うエモリエント効果が高く、水分の蒸発を防ぐ性質があります。よって乾燥肌の保湿に有効です。比較的刺激が少ないため、お子さんの保湿に使われることもあります。
このように日常的に愛用されているのがココナッツオイルです。
生活用品として
ココナッツの外皮からはココナッツファイバーと呼ばれる強靭な天然繊維が得られ、ロープやマットなどに加工されます。またココナッツの殻は加工して食器や工芸品などに利用されます。趣のある風合いが魅力です。
ハワイではココナッツを加工して縄を作ったり、器として使用したり、楽器として使うなど生活に欠かせないものとして、多くの人に愛されています。
ココナッツオイル配合のハンドクリーム
ココナッツオイル(ヤシ油)配合のハンドクリーム。
ハワイをイメージした香りが広がります。
気分に合わせて選べる華やかなパッケージは、ギフトにもおすすめです。
ココナッツとヤシの実は切っても切れない深い仲
ココナッツとヤシの実について解説しました。全く同じではありませんが、ヤシの実の中でもココナッツは主役級です。
そして、ココナッツは私たちの生活になくてはならない存在になっています。美味しいだけじゃなく、さまざまな役に立つココナツを使うとき、南の島に思いを馳せましょう。
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