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みなさんは「伝統工芸」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
有田焼の豪華なお皿。 西陣織の繊細な絹織物。
日本には世界に誇るすばらしい技術の工芸品が数多く存在します。「芸術品」としてすばらしい事はわかるけど、日常的にはなかなか取り入れられないと感じるかもしれません。
でも、その由来をたどれば本来は日常の道具として作られ、その技術を大切に受け継ぎ進化させてきたものがほとんどです。長い時間をかけ、磨かれてきた機能と形は、現代の私達の生活にも気づきを与えてくれるもの。洗練された「用の美」の世界を覗いてみませんか?
「常滑」と書いて、「とこなめ」と読みます。 愛知県常滑市は知多半島の中ほどに位置し、中部国際空港があることでも知られています。常滑焼は平安時代の後期に誕生したといわれる長い歴史のある陶磁器で、日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられています。
●越前焼:福井県越前町 ●瀬戸焼:愛知県瀬戸市 ●常滑焼:愛知県常滑市 ●信楽焼:滋賀県甲賀市 ●丹波焼:兵庫県丹波篠山市 ●備前焼:岡山県備前市
常滑焼といえば、赤褐色の滑らかな質感の急須が有名です。 粘土質で鉄分を多く含む知多半島の土を釉薬を使わずに焼しめて作られており、特徴的な赤色は、土そのものの自然な赤色。鉄分を多く含むことからお茶のえぐみや雑味が吸着されて、まろやかでおいしくなると言われています。
常滑の良質な粘土を産んだのは、650~100万年前に岐阜南部から鈴鹿地方にわたって存在していた巨大な湖「東海湖」と言われています。 湖底の堆積物が焼き物に適した土となり、平安時代後期から、その土を使った焼き物が作られてきました。鎌倉時代にには大型の壷や甕の生産が行われ、海路を伝わって全国に広まっていきました。
1000年前の焼き物と同じものが使える、ということ自体にもロマンを感じてしまいますが、歴史ある常滑焼もその時代の生活に寄り添った形やデザインに姿を変えていることも常滑焼の魅力です。 時代を経て様々に進化し、江戸時代には白泥焼や火色焼などの粘土が使用されて数多くの食器や生活道具が作られました。また今もなお、伝統を引き継いだ作家たちの手によって、現代人の感性にも寄り添う多彩なデザインの焼き物が作られ、独自の進化を続けています。
歴史ある常滑焼は、どんな進化をしているのだろう。 気になったあなたは、ぜひ現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。常滑駅から徒歩8分程度の丘陵地に、「焼き物散歩道」という、そぞろ歩きにぴったりなスポットが整備されています。
「焼き物散歩道」には古民家を改築した小さなギャラリーやショップが点在し、小さな裏路地はノスタルジックな雰囲気。昭和の時代まで活躍した登り窯などの文化的な見所もたくさんあり、丘を登りながら散策するので、所々で開ける見晴らしの良さも素敵です。
土管の壁。緑と一体になって美しい。
ケサワ※の道。焼き物で描かれた模様が素敵。 ※土管の焼成時に使用した捨て輪の廃材
所々に見晴らしスポットが。ノスタルジックな街並みを一望。
ギャラリーで素敵な作品を見た後は、実際に常滑焼の食器を使ってお茶を飲んだり、自分だけの常滑焼を作ることができる工房を訪ねてはいかがでしょう。新しい常滑焼の風を五感で感じることができます。
倭物やカヤでも、常滑焼の逸品を取り扱っています。急須だけでなく、コーヒーや紅茶もおいしく淹れられるティーポットも。ぜひ店舗に足を運んでみてくださいね。
常滑駅から焼き物散歩道へ向かう途中に突如現れる巨大招き猫「見守りとこにゃん」。 近くで見るためには、散歩道をかなり奥まで進まねばなりません。坂を上がって会えた時の嬉しさは格別です。
まねき猫が町のシンボルとなっていることからもわかるように、常滑は「招き猫」の一大産地としても有名です。この巨大まねき猫も、常滑のまねき猫職人のみなさんで作られたそうです。
常滑焼の招き猫は「常滑系(とこなめけい)」と呼ばれ、丸い大きな目と、二頭身のフォルムが特徴。この形は昭和20年代に常滑で誕生しました。 倭物やカヤでは、常滑まねき猫全国シェア約100%の梅月冨本人形園さんとコラボしたオリジナルまねき猫をつくっています。
一体一体すべて職人による手作りで、小さな猫から大きな猫まで、カラーや種類も豊富。 一般的に、右手を上げているものがお金招き、左手を上げているものが人 (客) 招きとされています。また、色によって願いの意味が違います。
こんなにたくさんの種類があれば、きっとあなたにぴったりのまねき猫が見つかりますね。カラフルな招き猫は、既成概念にとらわれないポップな可愛らしさがあって、インテリアとしても生活を楽しく彩ってくれるでしょう。
長い歴史に育まれ、先人の知恵が詰まった常滑焼。広く親しまれている陶磁器なだけに、当たり前に私達の日常に溶け込んでいますが、こうして歴史を知り産地を体感してみると、ひとつひとつの器や工芸品に親しみを感じることができます。
筆者が常滑に行った際、この器の色と質感に惹かれ、少し悩んで購入しました。 忙しい毎日の中でも、お気に入りの器のストーリーを感じながら土のぬくもりに触れ、一杯のお茶を飲む時間は、ほっと気持ちがほぐれ、心にゆとりが生まれるものです。今ではこの器があってよかったな、と思うこともしばしば。
時代を超えて愛される工芸には、人の心を豊かにする力があるのかもしれません。
●常滑焼まつり/毎年秋に開催 https://tokoname-event.jp/page/yakimatsuri.html ●常滑焼オンラインショップ/常滑商工会議所 https://shop.tokonameyaki.jp/
●梅月冨本人形園 https://www.tokoname-manekineko.com/ ●旅する、千年、六古窯 https://sixancientkilns.jp/ ●やきもの散歩道のお楽しみ8選!注目は「土管焼き芋」と「暮布土屋通り」【愛知・常滑】 https://sutarog.com/aichi-tokoname-yakimonosanpomichi/ ●常滑焼の良さと美しさ|その魅力と特徴を解説 https://chiikihyaku.jp/goods/435.html#i-3 ●あいちの地場産業 https://www.pref.aichi.jp/sangyoshinko/jibasangyo/industry/tokonameyaki.html
神社とお寺が心のふるさと。 会社ではグラフィックデザイン担当。 民俗の不思議とSambaの太鼓に魅せられ幾年月。
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みなさんは「伝統工芸」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
有田焼の豪華なお皿。
西陣織の繊細な絹織物。
日本には世界に誇るすばらしい技術の工芸品が数多く存在します。「芸術品」としてすばらしい事はわかるけど、日常的にはなかなか取り入れられないと感じるかもしれません。
でも、その由来をたどれば本来は日常の道具として作られ、その技術を大切に受け継ぎ進化させてきたものがほとんどです。長い時間をかけ、磨かれてきた機能と形は、現代の私達の生活にも気づきを与えてくれるもの。洗練された「用の美」の世界を覗いてみませんか?
目次
常滑焼とは
「常滑」と書いて、「とこなめ」と読みます。
愛知県常滑市は知多半島の中ほどに位置し、中部国際空港があることでも知られています。常滑焼は平安時代の後期に誕生したといわれる長い歴史のある陶磁器で、日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられています。
日本六古窯
●越前焼:福井県越前町
●瀬戸焼:愛知県瀬戸市
●常滑焼:愛知県常滑市
●信楽焼:滋賀県甲賀市
●丹波焼:兵庫県丹波篠山市
●備前焼:岡山県備前市
常滑焼といえば、赤褐色の滑らかな質感の急須が有名です。
粘土質で鉄分を多く含む知多半島の土を釉薬を使わずに焼しめて作られており、特徴的な赤色は、土そのものの自然な赤色。鉄分を多く含むことからお茶のえぐみや雑味が吸着されて、まろやかでおいしくなると言われています。
常滑の良質な粘土を産んだのは、650~100万年前に岐阜南部から鈴鹿地方にわたって存在していた巨大な湖「東海湖」と言われています。
湖底の堆積物が焼き物に適した土となり、平安時代後期から、その土を使った焼き物が作られてきました。鎌倉時代にには大型の壷や甕の生産が行われ、海路を伝わって全国に広まっていきました。
1000年前の焼き物と同じものが使える、ということ自体にもロマンを感じてしまいますが、歴史ある常滑焼もその時代の生活に寄り添った形やデザインに姿を変えていることも常滑焼の魅力です。
時代を経て様々に進化し、江戸時代には白泥焼や火色焼などの粘土が使用されて数多くの食器や生活道具が作られました。また今もなお、伝統を引き継いだ作家たちの手によって、現代人の感性にも寄り添う多彩なデザインの焼き物が作られ、独自の進化を続けています。
常滑そぞろ歩き -常滑焼の「いま」を見てみよう-
歴史ある常滑焼は、どんな進化をしているのだろう。
気になったあなたは、ぜひ現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。常滑駅から徒歩8分程度の丘陵地に、「焼き物散歩道」という、そぞろ歩きにぴったりなスポットが整備されています。
「焼き物散歩道」には古民家を改築した小さなギャラリーやショップが点在し、小さな裏路地はノスタルジックな雰囲気。昭和の時代まで活躍した登り窯などの文化的な見所もたくさんあり、丘を登りながら散策するので、所々で開ける見晴らしの良さも素敵です。
暮布土屋通り
MADOYAMA
roten長屋
morrina(モリーナ)
焼き物の町ならでは。圧巻の「土管坂」
土管の壁。緑と一体になって美しい。
ケサワ※の道。焼き物で描かれた模様が素敵。
※土管の焼成時に使用した捨て輪の廃材
所々に見晴らしスポットが。ノスタルジックな街並みを一望。
TOKONAME STORE
ギャラリーで素敵な作品を見た後は、実際に常滑焼の食器を使ってお茶を飲んだり、自分だけの常滑焼を作ることができる工房を訪ねてはいかがでしょう。新しい常滑焼の風を五感で感じることができます。
モダン茶器
倭物やカヤでも、常滑焼の逸品を取り扱っています。急須だけでなく、コーヒーや紅茶もおいしく淹れられるティーポットも。ぜひ店舗に足を運んでみてくださいね。
常滑そぞろ歩き -常滑焼のまねき猫-
常滑駅から焼き物散歩道へ向かう途中に突如現れる巨大招き猫「見守りとこにゃん」。
近くで見るためには、散歩道をかなり奥まで進まねばなりません。坂を上がって会えた時の嬉しさは格別です。
まねき猫が町のシンボルとなっていることからもわかるように、常滑は「招き猫」の一大産地としても有名です。この巨大まねき猫も、常滑のまねき猫職人のみなさんで作られたそうです。
梅月冨本人形園×倭物やカヤの招き猫
常滑焼の招き猫は「常滑系(とこなめけい)」と呼ばれ、丸い大きな目と、二頭身のフォルムが特徴。この形は昭和20年代に常滑で誕生しました。
倭物やカヤでは、常滑まねき猫全国シェア約100%の梅月冨本人形園さんとコラボしたオリジナルまねき猫をつくっています。
一体一体すべて職人による手作りで、小さな猫から大きな猫まで、カラーや種類も豊富。
一般的に、右手を上げているものがお金招き、左手を上げているものが人 (客) 招きとされています。また、色によって願いの意味が違います。
こんなにたくさんの種類があれば、きっとあなたにぴったりのまねき猫が見つかりますね。カラフルな招き猫は、既成概念にとらわれないポップな可愛らしさがあって、インテリアとしても生活を楽しく彩ってくれるでしょう。
常滑焼を取り入れて、心豊かな暮らしを
長い歴史に育まれ、先人の知恵が詰まった常滑焼。広く親しまれている陶磁器なだけに、当たり前に私達の日常に溶け込んでいますが、こうして歴史を知り産地を体感してみると、ひとつひとつの器や工芸品に親しみを感じることができます。
筆者が常滑に行った際、この器の色と質感に惹かれ、少し悩んで購入しました。
忙しい毎日の中でも、お気に入りの器のストーリーを感じながら土のぬくもりに触れ、一杯のお茶を飲む時間は、ほっと気持ちがほぐれ、心にゆとりが生まれるものです。今ではこの器があってよかったな、と思うこともしばしば。
時代を超えて愛される工芸には、人の心を豊かにする力があるのかもしれません。
【常滑焼 おすすめ情報】
●常滑焼まつり/毎年秋に開催
https://tokoname-event.jp/page/yakimatsuri.html
●常滑焼オンラインショップ/常滑商工会議所
https://shop.tokonameyaki.jp/
【引用・参考】
●梅月冨本人形園
https://www.tokoname-manekineko.com/
●旅する、千年、六古窯
https://sixancientkilns.jp/
●やきもの散歩道のお楽しみ8選!注目は「土管焼き芋」と「暮布土屋通り」【愛知・常滑】
https://sutarog.com/aichi-tokoname-yakimonosanpomichi/
●常滑焼の良さと美しさ|その魅力と特徴を解説
https://chiikihyaku.jp/goods/435.html#i-3
●あいちの地場産業
https://www.pref.aichi.jp/sangyoshinko/jibasangyo/industry/tokonameyaki.html
ライタープロフィール:ぶらめがね
神社とお寺が心のふるさと。
会社ではグラフィックデザイン担当。
民俗の不思議とSambaの太鼓に魅せられ幾年月。
着物の時のアウターってどうしてる?▼
着物に合わせるアウターの正解は?カヤが薦める、冬のあったか「和のアウター」
アミナコレクションの原点「ボロ市」って知ってる?▼
チャイハネはボロ市から始まった!?