掲載日:2026.10.02

「羊」が入った四字熟語にはどんなものがある?干支「未(ひつじ)」の豆知識もあわせてご紹介!

2027年は「未(ひつじ)年」です。
そこで、今回は「羊」という漢字が含まれる四字熟語の意味や由来をわかりやすく解説します。
またあわせて、干支「羊」の意味や羊にまつわる言葉から見る中国と日本の文化、羊の四字熟語から学べる人生の教訓などもご紹介。

日本語に興味がある方や、四字熟語についての知識を深めたい方などは、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

干支「羊」とは?日本で親しまれてきた理由

冒頭でも述べたとおり、日本には干支があり、2027年の干支は「羊」です。
まずは、干支の「羊」の意味や日本との関わり、羊が象徴するイメージなど、基本からチェックしていきましょう。

十二支の「未(ひつじ)」の意味

十二支の「未(ひつじ)」の意味

「未(ひつじ)」は、十二支のなかで8番目に位置しています。

私たちが普段目にする「羊」という漢字とは異なりますが、「未」という字はもともと、木の枝葉が成長している様子を表していると言われています。「未来」「未完」「未成熟」「未知」など、まだ到達していない・成熟していない状態を意味する言葉に使われることも多く、そこから意味が転じて干支としては「これから成長する」という意味合いが込められています。

羊と「未」が結びついた理由

「未(ひつじ)=羊」という結びつきは、もともと「未」という漢字が羊を意味していたからではなく、古代中国の「十二支」が成立した過程が関係しています。

十二支の「子・丑・寅・卯……」は、もともと動物を表すために作られた文字ではなく、年月や時刻、方角などを表すための記号でした。

後世になって、覚えやすくするために十二支それぞれに動物が当てはめられました。十二支の8番目(旧暦で8月は今の9月前後)である「未」は、実り豊かな時期であるため、当時財産として重宝されていた「羊」を割り当てたと考えられています。

羊はどんな動物?日本との関わり

昔から、羊は世界中で人間の生活に寄り添い、衣服や食料として重宝されてきました。

日本には西暦599年に朝鮮半島から持ち込まれたという記述が残っています。しかし、古くは羊は高貴な人への贈り物、という存在であり、一般の人々に広まったのは江戸時代後期〜明治時代のころでした。
なかなか日本で羊が広まらなかったのは、高温多湿な気候が羊の生育に合わなかったことや、仏教文化による肉食への忌避感などが原因と考えられています。

明治時代以降、羊の毛を使った織物や、羊のお肉を食べる食文化なども少しずつ広まっていきました。

羊が象徴するイメージとは?

羊は、古くから「調和」「平和」「協調性」「家族愛・家族安泰」の象徴として親しまれてきました。
群れで生活する羊は、仲間との争いを避け、みんなで穏やかに暮らしています。その姿から、家族安泰や平和、協調性を象徴すると言われています。

このように、私たちに身近なもののイメージを持っているからこそ、「羊」という漢字はよく四字熟語で使われているのです。

「羊」が入った四字熟語を紹介!

「羊」が入った四字熟語を紹介!

羊が持つイメージがわかったところで、ここからは「羊」が入った四字熟語を紹介していきます。

羊頭狗肉|見かけと中身が一致しないこと

羊頭狗肉(読み方:ようとうくにく)

「羊の頭を看板に掲げながら、実際には犬の肉を売る」という意味から、外見や宣伝は立派なのに、実際の中身がそれに伴わないこと、見かけと中身が一致しないことを表します。

のちほど詳しくご紹介しますが、中国の古い思想書に由来する表現で、「羊頭を掲げて狗肉を売る」という言い方もあります。

たとえば、「高級店をうたっているが、料理は粗末で、まさに羊頭狗肉だ」のように、看板と実態が違うものを批判するときによく使われます。

岐路亡羊|選択肢が多すぎて大切なものを見失うこと

岐路亡羊(読み方:きろぼうよう)

「道がいくつにも分かれたため、羊を見失ってしまった」という故事から、学問や物事を追究する際、選択肢や方向が多すぎると、本来の目的を見失ってしまうことを意味します。

中国の思想家・列子の故事に基づく四字熟語で、「岐路」は分かれ道、「亡羊」は羊を失うことという意味があります。転じて、多方面に手を広げすぎて成果を得られないことのたとえとして使われます。

多岐亡羊|方針が多すぎて真理を見失うこと

多岐亡羊(読み方:たきぼうよう)

「道が多くに分かれているため、羊を逃してしまう」という意味で、物事が複雑に分岐し、選択肢や方法、方針が多すぎるため、真理や本質を見失ってしまうことを表します。

「岐路亡羊」とほぼ同じ意味で使われますが、多岐亡羊は特に学問などで研究対象や考え方が細かく分かれすぎ、本質を見失うことへの戒めとして用いられます。「多岐」は多くの分かれ道を意味します。

読書亡羊|他のことに気を取られて本来の目的を忘れること

読書亡羊(読み方:どくしょぼうよう)

読書に夢中になっている間に、羊を逃してしまったという故事から、なにか1つのことに夢中になっているあまり、周囲で起きている大切なことに気づかないことを意味します。

「亡羊」とは羊を失うことを意味します。単に読書を否定する言葉ではなく、目の前のことに集中しすぎて、現実への注意を怠ることへの戒めとして使われることが多いです。

順手牽羊|相手の隙につけ込んで利益を得ること

順手牽羊(読み方:じゅんしゅけんよう)

「手近にある羊を、そのまま手に取って連れていく」という意味から、何かをするついでに、相手の隙を利用して利益を得ることを表します。

中国の兵法書『三十六計』の1つとして知られ、戦いの場面では「敵に隙があれば、それに漬け込んで利益を得る」という策略を指します。日常生活では、好機に乗じて、ついでに何かを得ることという意味でも使われます。

意味を知ると面白い!羊の四字熟語の由来

先ほどご紹介したように、羊が含まれる四字熟語は数多くありますが、「なんだかどれも似ているな……」と感じた方もいるかもしれません。
ここからは、知るとより深く意味を理解できる、羊の四字熟語の由来や教訓、似た四字熟語の違いをご紹介します。

「羊頭狗肉」は中国の故事が由来

「羊頭狗肉」は、中国の思想書『晏子春秋(あんししゅんじゅう)』や中国宋代の仏書『無門関(むもんかん)』、禅宗の灯史『五燈会元 (ごとうえげん)』などに記載されている故事に由来します。

斉の景公の時代(紀元前547年〜紀元前490年)、女性が男性の服装をまねる風習が流行していました。景公が宮中でこの風習を禁じても改まらなかったことを受け、家臣の晏子(晏嬰)は「宮中で禁じながら、外の一般社会では許しているのは、牛の頭を門に掲げて馬の肉を売るようなものだ」と諫めました。後に「羊頭を掲げて狗肉を売る」という形で広まり、宣伝や外見と実際の中身が一致しないことを意味するようになりました。

「岐路亡羊」に込められた教訓

「岐路亡羊」は、「学問の道が多方面に分かれていて、真理に達するのが難しい」、「方針、方法が多すぎて、どれを選ぶべきか迷う」といった意味があります。

インターネットなどに情報があふれる現代、この四字熟語から得られるのは、「枝葉末節の情報に囚われることなく、常に基本に立ち返り物事の本質を見抜くことが大切だ」という教訓でしょう。

「多岐亡羊」と「岐路亡羊」の違い

「多岐亡羊」と「岐路亡羊」は、どちらも「道が多く分かれているために羊を見失う」という故事に基づき、選択肢や方法が多すぎることで、本来の目的や真理を見失うことを意味します。

意味は似ていますが、一般的に、使われる場面が違います。「多岐亡羊」は、学問や研究、ビジネスなどで方針が多方面に分かれすぎて本質を見失うことを指す場合が多く、「岐路亡羊」は、人生や物事の進路などで分かれ道が多く、進むべき方向を見失うことに重点があります。

日常生活や仕事で使える羊の四字熟語

続いてここからは、日常生活や仕事で使える羊の四字熟語をご紹介します。

会話や文章で使いやすい四字熟語

「読書亡羊」は会話や文章など、日常的に使いやすいです。何かに熱中しているうちに、周りで起きている大切なことに気づかないという意味があります。たとえば、「読書亡羊になっていて、明日が大事なテストということに気づかなかった」のように使うことができます。

また、「順手牽羊(じゅんしゅけんよう)」は何かをするついでに、機会を逃さず利益を得るという意味があります。「棚からぼた餅」に意味が近く、「買い物のついでに近くの店にも寄って、順手牽羊で必要なものを全部そろえた」などの使い方があります。

仕事・ビジネスで使える四字熟語

「多岐亡羊」は選択肢や方法が多すぎて、本来の目的や本質を見失う、という意味があり、仕事やビジネスで使いやすい四字熟語です。たとえば、「会議で意見が出すぎて、少し多岐亡羊の状態になっている。まず目的を整理しよう。」のように使うことができます。

また、「羊質虎皮(ようしつこひ)」は外見は立派だが中身が伴っていないという意味があり、「パッケージデザインにだけこだわって中身がよくなければ、羊質虎皮になってしまう」のようにビジネスシーンでも使いやすいです。

羊にまつわる言葉から見る中国と日本の文化

次に、羊にまつわる言葉から見る中国と日本の文化の違いをご紹介します。

中国では羊がどのように捉えられてきた?

中国では羊がどのように捉えられてきた?

中国では、羊は古くから人々の生活に密着した存在でした。毛は衣服に用い、乳や肉は飲み物や食べ物として貴重な栄養源だったからです。

また、生活に欠かせない存在だからこそ、「羊を多く持っている=豊かであることの証明」にもなり、羊が豊かさ、富、財力の象徴にもなっていきました。
ほかにも、神聖な存在として、祖先へのお供え物に使われることもありました。

日本では羊がどのように親しまれてきた?

先ほども少しご紹介したとおり、日本には西暦599年ごろに朝鮮半島から羊が伝わったと言われています。古くは身分の高い人へ羊が贈られるといったことがありましたが、時代が経るにつれて羊を家畜として大切にする文化も広まりました。

また、特に北海道などではジンギスカンのように羊肉を食べる習慣もあります。そのほか、羊の毛を使ったニットを着るなど、生活のさまざまな面で羊は親しまれてきました。

羊が登場する言葉に込められた昔の人の知恵

四字熟語のように、羊が登場する言葉には昔の人の知恵が込められているものが多いです。たとえば、「多岐亡羊」は選択肢や方法が多く本来の目的や本質を見失ってしまうという意味ですが、これには、「本質を見失わないことの大切さ」という教えが含まれています。

羊の四字熟語から学べる人生の教訓

羊の四字熟語から学べる人生の教訓

最後に、羊の四字熟語から学べる先人の知恵や人生の教訓をいくつかご紹介します。

見た目だけで判断しないこと

羊頭狗肉は、見かけと中身が一致しないことを意味します。
見た目の良さだけで選んでしまうと、質が悪かったりして失敗することもあるから、中身をしっかり見ることが大切ということを教えてくれます。

選択肢が多いときこそ大切なものを見極める

「多岐亡羊」や「岐路亡羊」は、どちらも「選択肢が多すぎると真理・本質を見失う」という意味があります。
選択肢が多いときこそ、目立つものを選ぶのではなく、しっかりと自分にとって何が大切なのか見極めることが大切という教訓が得られます。

昔の言葉を現代の生活に活かす

これまでご紹介してきた羊が入った四字熟語は、どれも仕事や人間関係など、現代の生活にも活かせるものばかりです。「重要なこと、本質を見失わないこと」は、どんな場面でも心に留めておきたい教えですよね。

まとめ|羊の四字熟語から昔の人の知恵を知ろう

このコラムでは、羊に関する四字熟語をたくさんご紹介しました。みなさんに馴染み深いものから、今回初めて知ったものまで、さまざまな四字熟語があったのではないでしょうか。

また、最後にご紹介したように、羊に関する四字熟語には、昔の人の知恵や教えが込められていることが多いです。四字熟語に親しみながら、そうした教訓を改めて考えてみるのも素敵かもしれません。

ぜひご自分のお気に入りの四字熟語を見つけて、使ってみてくださいね。このコラムが、みなさんが四字熟語を含めた日本語の奥深い世界に親しむきっかけになれば幸いです。


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