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旧暦の9月9日にお祝いされる「重陽の節句」または「菊の節句」は、もともと中国から日本に伝えられた行事の一つです。日本では、この日に菊の花を浮かべたお酒(菊花酒)を飲んだり、菊湯に入ったり、後雛を飾ったりして、家族の無病息災や長寿を祈念しますが、中国ではどのように重陽節をお祝いするのでしょうか。詳しくみていきましょう。
ここでは、まず中国における重陽節とは一体どのようなものなのかについてみていきましょう。
古くから中国では奇数は縁起の良い数(陽数)と考えられていました。その考えに基づくと、一桁の数の中で最も大きい数である奇数数字の「9」は、最大の陽数であり、もっとも陽の気が強い数字となるわけです。そのため、この「9」が2つ重なる9月9日は、陽の力が最大になる「極陽の日」として、大変縁起が良い日と捉えられてきたのです。
特に旧暦の9月9日は、2つの陽数「9」が重なり、陽月陽日となるので、「重陽」もしくは「重久」と称されました。ちなみに、「九九」は中国語の「久久(ヂョウヂョウ)」と同音で長久平安の意味を持つとされています。これが「永遠」を連想させるというところから、不老長寿や厄除けを願う行事として、重陽節が定着していったと言われています。
中国では現在新暦が用いられていますが、伝統的な行事などには陰暦(中国暦)が用いられます。重陽節も毎年陰暦の9月9日に行われるわけですが、2026年は10月18日(日)が重陽節の日です。ちなみに、日本の旧暦9月9日は2026年10月19日(月)に該当します。
中国において、重陽節は先秦戦国時代に既にあったのではないかと言われています。ただし、今のように体系化されたものというよりは、平民や農民の人々が秋の行事の一つとして行っていたようです。
「九九重陽」にはもともと豊作祈願の意味があったようで、今のように無病息災や長寿を願う行事ではなく、豊作祈願の行事として重陽節は平民を中心に発展していきました。それが徐々に貴族、さらには宮中まで広がったことで儀式化され、立秋の催事とも融合されたことにより今のような長寿を祈願する行事として確立されたのです。
現在、中国で祝われる重陽節は、不老長寿や厄除けを祈願するだけのものではなくなり、中国版敬老の日として、お年寄りに感謝をし、年配の方々を大切にする日となっています。従来の重陽節の伝統を重んじつつ、さらに先祖への礼、親族の年配者への感謝や孝行といった敬老精神が加わった日として、とても大切にされているのです。
重陽節とはどういうものなのかについて確認したところで、実際に重陽節ではどのようなことが行われるのか解説していきます。重陽節には伝統的なものが色々登場しますが、今回は特に有名なものを取り上げてみました。
重陽節には山登りやハイキング(ピクニック)をするというのが主な風習として挙げられます。これは、旧暦9月9日に桓景が山を登って災いから逃れられたという中国の昔の逸話(『桓景(こうけい)の物語』)に由来しているそうです。厄除けの意味も込めて山など高い場所に登り、そこでお祈りをする「登高祈福」をするというのが、中国の重陽節における大事な儀式の一つになっています。人によっては頂上でピクニックをし、菊酒や菊茶、菊水を飲んで重陽節を満喫するそうです。
旧暦9月9日の頃は、ちょうど菊が見頃な時期でもあります。もともと中国では菊は観賞用として愛でるものとしてよりも、薬として重宝されていたこともあり、菊の花をお酒に浮かべた菊花酒や菊花茶はこの時期によく飲まれていたそうです。それが健康と長寿を願う重陽節の儀式と結びつき、重陽節には菊の花が必要不可欠になりました。
現在でも重陽節には菊の花が飾られ、菊の花が浮かべられた菊花酒が楽しまれています。
重陽餅(重陽ガオ)は米粉や小麦粉を主材料とした餅菓子で、繁栄や向上といった意味を持っている縁起の良いお菓子としておめでたい席に用いられます。旧正月の春節にも重陽餅は食べられますが、重陽の節句食として広く親しまれているのです。
重陽節では長寿や厄除けを祈願するということもあり、徐々にその対象が年配者に絞られていきました。そこから、重陽の日にはお年寄りを大切にし、祖先に敬意を払い感謝をするという敬老感謝の精神が芽生えていったと言われています。今では、重陽節は「敬老の日」と認識されるほどだそうです。
ここまで中国における重陽節について詳しくみてきましたが、日本における重陽の節句についてもみていきましょう。
重陽の節句は、五節句のひとつに数えられる伝統的な日です。五節句とは、奈良時代に唐から伝来した陰陽五行に基づいて決められた、奇数数字が重なってめでたい日であり、かつ季節の節目にあたる日です。主に無病息災や厄除けを祈願する日として大切にされてきました。ちなみに、五節句とは次の通りです。
重陽の節句は奈良時代に中国(唐)から伝来し、平安時代には宮中で重陽の節句の宴が催され、長寿を祈念しました。菊はこの節句の景物として重宝され、飾りとしてはもちろん、お酒やお水にも菊の花があしらわれました。
江戸時代になると日本独自の菊の栽培方法が確立したこともあって、より広い階級層で重陽の節句は親しまれるようになります。しかし、1873年(明治6年)にそれまでの暦を改め、新暦を採用することが発表されたことで旧暦の決まった日にちを節句日としていた五節句は大きな局面を迎えることになります。新暦と旧暦には平均1か月ほどの差があったことから、節句をお祝いするのにそれまで景物として用いていた季節の花や植物が用意できない事態に陥ってしまったのです。
重陽の節句の場合、新暦の9月9日にはまだ菊が開花すらしていない状態であり、新暦においては「菊の節句」とは言い難くなってしまいました。こうしたこともあり、重陽の節句は日本ではその存在が薄れつつあるのです。
日本の重陽の節句では、菊の花をお酒に浮かべた菊花酒を飲んだり栗ご飯を食べたりするのが伝統になっています。他にも、菊の花の露を綿にしみこませた着せ綿を用いて身体をぬぐったり、菊湯に入ったりして無病息災や厄除け、長寿を祈念します。
重陽の節句はもともと中国の文化として日本に入ってきましたが、長い歴史の中で日本独自の重陽節文化も生まれました。
後の雛は「大人の雛祭り」とも呼ばれるもので、江戸時代ごろから行われています。3月3日に飾るお雛様を虫干しの意味も込めて9月9日にもう一度飾るのですが、この時桃の花ではなく、菊の花を添えることで季節感を表現するのがポイントです。
せっかく購入した雛人形を年に一度しか飾らないのはもったいないと思っていたという方はぜひ9月9日にもお雛様を飾ってみてくださいね。
旧暦9月9日の頃はちょうど収穫時期ということもあり、各地で秋祭りが盛んになります。
特に九州の方ではこの時期に立派な例大祭が催されるなど盛り上がりをみせるのですが、中でも有名なのが「長崎くんち」と「唐津くんち」です。名称に「くんち(くにちの訛)」とつくのは、かつて旧暦の9月9日の重陽の節句日に祭りが行われていたことの名残だそうです。
中国の重陽節について知る機会というのはなかなかないので、改めて重陽節とは何か、日本と中国の重陽の節句の違いは何かというところを比較できて興味深いと思われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。高いところに登って祈願したり、敬老感謝の日としてお祝いしたりと日本の重陽の節句とはまた違った文化が感じられましたね。
無病息災、長寿を祈念して、今年の重陽節には菊、菊酒、菊湯を楽しんでみるのはいかがでしょうか。中国式に登山するというのも素敵ですね。
旧暦の9月9日にお祝いされる「重陽の節句」または「菊の節句」は、もともと中国から日本に伝えられた行事の一つです。
日本では、この日に菊の花を浮かべたお酒(菊花酒)を飲んだり、菊湯に入ったり、後雛を飾ったりして、家族の無病息災や長寿を祈念しますが、中国ではどのように重陽節をお祝いするのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
目次
重陽節とは?
ここでは、まず中国における重陽節とは一体どのようなものなのかについてみていきましょう。
由来と意味
古くから中国では奇数は縁起の良い数(陽数)と考えられていました。
その考えに基づくと、一桁の数の中で最も大きい数である奇数数字の「9」は、最大の陽数であり、もっとも陽の気が強い数字となるわけです。そのため、この「9」が2つ重なる9月9日は、陽の力が最大になる「極陽の日」として、大変縁起が良い日と捉えられてきたのです。
特に旧暦の9月9日は、2つの陽数「9」が重なり、陽月陽日となるので、「重陽」もしくは「重久」と称されました。
ちなみに、「九九」は中国語の「久久(ヂョウヂョウ)」と同音で長久平安の意味を持つとされています。
これが「永遠」を連想させるというところから、不老長寿や厄除けを願う行事として、重陽節が定着していったと言われています。
2026年の重陽節はいつ?
中国では現在新暦が用いられていますが、伝統的な行事などには陰暦(中国暦)が用いられます。
重陽節も毎年陰暦の9月9日に行われるわけですが、2026年は10月18日(日)が重陽節の日です。
ちなみに、日本の旧暦9月9日は2026年10月19日(月)に該当します。
起源
中国において、重陽節は先秦戦国時代に既にあったのではないかと言われています。
ただし、今のように体系化されたものというよりは、平民や農民の人々が秋の行事の一つとして行っていたようです。
「九九重陽」にはもともと豊作祈願の意味があったようで、今のように無病息災や長寿を願う行事ではなく、豊作祈願の行事として重陽節は平民を中心に発展していきました。
それが徐々に貴族、さらには宮中まで広がったことで儀式化され、立秋の催事とも融合されたことにより今のような長寿を祈願する行事として確立されたのです。
現在
現在、中国で祝われる重陽節は、不老長寿や厄除けを祈願するだけのものではなくなり、中国版敬老の日として、お年寄りに感謝をし、年配の方々を大切にする日となっています。
従来の重陽節の伝統を重んじつつ、さらに先祖への礼、親族の年配者への感謝や孝行といった敬老精神が加わった日として、とても大切にされているのです。
重陽節はなにをするの?
重陽節とはどういうものなのかについて確認したところで、実際に重陽節ではどのようなことが行われるのか解説していきます。
重陽節には伝統的なものが色々登場しますが、今回は特に有名なものを取り上げてみました。
山登りやハイキング
重陽節には山登りやハイキング(ピクニック)をするというのが主な風習として挙げられます。
これは、旧暦9月9日に桓景が山を登って災いから逃れられたという中国の昔の逸話(『桓景(こうけい)の物語』)に由来しているそうです。
厄除けの意味も込めて山など高い場所に登り、そこでお祈りをする「登高祈福」をするというのが、中国の重陽節における大事な儀式の一つになっています。
人によっては頂上でピクニックをし、菊酒や菊茶、菊水を飲んで重陽節を満喫するそうです。
菊を楽しむ
旧暦9月9日の頃は、ちょうど菊が見頃な時期でもあります。
もともと中国では菊は観賞用として愛でるものとしてよりも、薬として重宝されていたこともあり、菊の花をお酒に浮かべた菊花酒や菊花茶はこの時期によく飲まれていたそうです。
それが健康と長寿を願う重陽節の儀式と結びつき、重陽節には菊の花が必要不可欠になりました。
現在でも重陽節には菊の花が飾られ、菊の花が浮かべられた菊花酒が楽しまれています。
重陽餅を食べる
重陽餅(重陽ガオ)は米粉や小麦粉を主材料とした餅菓子で、繁栄や向上といった意味を持っている縁起の良いお菓子としておめでたい席に用いられます。
旧正月の春節にも重陽餅は食べられますが、重陽の節句食として広く親しまれているのです。
敬老感謝
重陽節では長寿や厄除けを祈願するということもあり、徐々にその対象が年配者に絞られていきました。
そこから、重陽の日にはお年寄りを大切にし、祖先に敬意を払い感謝をするという敬老感謝の精神が芽生えていったと言われています。
今では、重陽節は「敬老の日」と認識されるほどだそうです。
日本における重陽の節句
ここまで中国における重陽節について詳しくみてきましたが、日本における重陽の節句についてもみていきましょう。
五節句のひとつ
重陽の節句は、五節句のひとつに数えられる伝統的な日です。
五節句とは、奈良時代に唐から伝来した陰陽五行に基づいて決められた、奇数数字が重なってめでたい日であり、かつ季節の節目にあたる日です。主に無病息災や厄除けを祈願する日として大切にされてきました。
ちなみに、五節句とは次の通りです。
歴史
重陽の節句は奈良時代に中国(唐)から伝来し、平安時代には宮中で重陽の節句の宴が催され、長寿を祈念しました。
菊はこの節句の景物として重宝され、飾りとしてはもちろん、お酒やお水にも菊の花があしらわれました。
江戸時代になると日本独自の菊の栽培方法が確立したこともあって、より広い階級層で重陽の節句は親しまれるようになります。
しかし、1873年(明治6年)にそれまでの暦を改め、新暦を採用することが発表されたことで旧暦の決まった日にちを節句日としていた五節句は大きな局面を迎えることになります。
新暦と旧暦には平均1か月ほどの差があったことから、節句をお祝いするのにそれまで景物として用いていた季節の花や植物が用意できない事態に陥ってしまったのです。
重陽の節句の場合、新暦の9月9日にはまだ菊が開花すらしていない状態であり、新暦においては「菊の節句」とは言い難くなってしまいました。
こうしたこともあり、重陽の節句は日本ではその存在が薄れつつあるのです。
重陽の節句はなにをするの?
日本の重陽の節句では、菊の花をお酒に浮かべた菊花酒を飲んだり栗ご飯を食べたりするのが伝統になっています。
他にも、菊の花の露を綿にしみこませた着せ綿を用いて身体をぬぐったり、菊湯に入ったりして無病息災や厄除け、長寿を祈念します。
重陽の節句にまつわる日本行事
重陽の節句はもともと中国の文化として日本に入ってきましたが、長い歴史の中で日本独自の重陽節文化も生まれました。
後の雛
後の雛は「大人の雛祭り」とも呼ばれるもので、江戸時代ごろから行われています。
3月3日に飾るお雛様を虫干しの意味も込めて9月9日にもう一度飾るのですが、この時桃の花ではなく、菊の花を添えることで季節感を表現するのがポイントです。
せっかく購入した雛人形を年に一度しか飾らないのはもったいないと思っていたという方はぜひ9月9日にもお雛様を飾ってみてくださいね。
くんち
旧暦9月9日の頃はちょうど収穫時期ということもあり、各地で秋祭りが盛んになります。
特に九州の方ではこの時期に立派な例大祭が催されるなど盛り上がりをみせるのですが、中でも有名なのが「長崎くんち」と「唐津くんち」です。
名称に「くんち(くにちの訛)」とつくのは、かつて旧暦の9月9日の重陽の節句日に祭りが行われていたことの名残だそうです。
まとめ|「重陽の節句」は長寿を祈念する秋の伝統的な行事
中国の重陽節について知る機会というのはなかなかないので、改めて重陽節とは何か、日本と中国の重陽の節句の違いは何かというところを比較できて興味深いと思われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
高いところに登って祈願したり、敬老感謝の日としてお祝いしたりと日本の重陽の節句とはまた違った文化が感じられましたね。
無病息災、長寿を祈念して、今年の重陽節には菊、菊酒、菊湯を楽しんでみるのはいかがでしょうか。中国式に登山するというのも素敵ですね。
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