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冬の寒さがゆるみ、あちこちで花のつぼみがふくらみ始める3月。ひな祭りにお花見、卒業式と、この季節ならではのイベントが目白押しです。さらに世界へ目を向けると、春の訪れを祝うユニークなお祭りもたくさん。3月の定番行事から旬の食べ物、ちょっと自慢できる豆知識、海外の春の文化まで、3月の魅力をまるごとお届けします。
イーペルはベルギー西部、西フランダース州に位置する町で、フランスとの国境にも近い場所にあります。
普段は人口3〜4万人ほどの静かな町ですが、3年に一度の「猫祭り」が開催される日ばかりは、世界中から猫好きが押し寄せて大にぎわいになります。
正式名称は「カッテンストゥッツ」。その名の通り、ヨーロッパでも屈指の、猫に捧げられたユニークな奇祭として知られています。華やかなパレードの裏側には、中世ヨーロッパの知られざる歴史が隠されていました。
猫祭りの正式名称は、現地のフラマン語で「カッテンストゥッツ(Kattenstoet)」。直訳すると「猫のパレード」「猫の行進」を意味する言葉で、その名前の通り、猫をテーマにした大規模な仮装パレードがお祭りの中心となっています。
小さな町にもかかわらず、猫祭りの日ばかりは別世界。2024年の第46回開催時には、約5万人もの来場者が集まったというから驚きです。
華やかでかわいらしい猫のお祭り。そんな印象とは裏腹に、この祭りの起源をたどると、ちょっとゾッとするような中世ヨーロッパの歴史が見えてきました。
12〜15世紀のイーペルは、毛織物産業で大いに栄えた都市でした。大量の羊毛を保管する繊維会館にはネズミが集まるため、その退治役として多くの猫が飼われていたのだそう。ところが猫が増えすぎると、当時の人々はなんと毎年「猫の水曜日」に、町の鐘楼の上から生きた猫を広場へ投げ落とすという恐ろしい行為を行っていたと伝えられています。
なぜこの祭りでは猫が主役なのでしょうか。その背景には、中世ヨーロッパにおける猫の特別な立場があります。
当時のヨーロッパでは猫は「魔女の使い魔」「悪霊の象徴」とされ、猫を殺すことで厄災を追い払う儀式の意味合いがあったようです。一方で「冬の間ネズミ退治に活躍した猫を、春になると用済みとして処分した」という見方もあり、真相は定かではありません。
記録に残る最後の「生きた猫投げ」が行われたのは1817年のこと。なお、この最後の猫は投げ落とされる瞬間にあわてて逃げ出し、命拾いしたという逸話も残っています。
その後、動物虐待が禁じられ長らく途絶えていたこの風習ですが、1938年に町おこしのイベントとして新しい形で復活。
そして1955年からは本格的な民俗パレードとして定期開催されるようになり、現在の「猫祭り」が確立したのです。暗い歴史を風化させず、むしろ猫への愛情に変えて後世に伝えるという姿勢には、心を打たれるものがあるのではないでしょうか。
猫祭りは3年に一度、通常は5月の第2日曜日に開催されるのが恒例となっています。直近では2024年5月12日に第46回が行われました。3年ごとの開催サイクルから考えると、次回は2027年の5月に開催される見込み。ただし、新型コロナウイルスの影響で延期された過去もあるため、最新の日程は公式サイトでチェックするのがおすすめです。
開催地はベルギー西フランダース地方のイーペル市。パレードの出発点となる「グローテマルクト(大広場)」を中心に、町全体がお祭り会場になります。広場に面してそびえ立つ「繊維会館」は13世紀に建てられた壮大なゴシック建築で、現在はユネスコ世界遺産にも登録されている歴史ある建物。この繊維会館の鐘楼こそ、かつて猫投げが行われていた、まさに猫祭りの象徴的な場所なのです。
猫祭り最大の魅力は、何といっても「猫パレード」をはじめとする多彩なイベントの数々。パレードだけでも約3時間にわたって繰り広げられるほか、鐘楼からのぬいぐるみ投下、迫力満点の魔女裁判再現劇、そして前夜祭まで、2日間にわたって猫づくしの世界が広がります。ここからは、絶対に見逃せないポイントをひとつずつ見ていきましょう。
本祭の前日、土曜日の夜には「前夜祭(Kattenstoet Eve)」が開催されます。夜8時を過ぎると町のあちこちで猫にちなんだ路上演奏やダンスが始まり、お祭りムードが一気に加速。広場では開会宣言のセレモニーやミニパレードも行われます。
パレード出演者と間近でふれあえたり、屋台の準備風景をのぞけたりと、本番とはひと味違うローカルな空気感を味わえるのが前夜祭の醍醐味。2024年には繊維会館(世界遺産)の修復完成を祝うイベントと重なり、レーザーショーや鐘楼の「特別カリヨン演奏」なども披露され、特別な一夜となりました。本祭だけでなく前夜祭から参加すれば、猫祭りの楽しさを2倍味わえるはず。ぜひ土曜日から現地入りするスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。
祭り当日の日曜午後3時。町の中心グローテマルクトから、いよいよメインイベントの「猫パレード」がスタートします。
約2,000人の市民が思い思いの猫コスチュームに身を包み、大人も子供も全力で猫になりきって町を練り歩く光景は圧巻のひとこと。猫だけでなく、魔女やネズミ、中世の町民、道化師など多彩な仮装が次々と登場し、マーチングバンドや太鼓隊の生演奏が祭りのテンションをぐんぐん引き上げていきます。
見どころは創意工夫にあふれた山車(フロート)の数々。
イーペルの歴史をテーマにした迫力あるシーンもあれば、世界の猫文化やポップカルチャーをモチーフにしたものまで、毎回バラエティ豊かなラインナップが並びます。
2024年のパレードでは、新聞漫画の人気者ガーフィールドや日本のハローキティ、さらにはブロードウェイミュージカル「キャッツ」をモチーフにした巨大模型まで登場して、沿道は大興奮に包まれたそう。
かわいらしいものからちょっと不気味なものまで、約3時間にわたって続く「猫だらけの行進」。
パレードの最後尾に悠然と登場するのが、イーペルの愛されキャラクター、王様猫「シープル(Cieper)」と女王猫「ミネケ・プス(Minneke Poes)」の巨大人形。
シープルは1955年の大パレード初開催に合わせて"誕生"した黒猫の巨人で、なんと身長6メートル・体重180キロという堂々たる体格の持ち主。
しかもイーペル市役所に正式な住民登録までされているというから、町からの溺愛ぶりがうかがえます。
一方のミネケ・プスは1960年に初登場した美しい白猫の女王。
シープルが一目ぼれして婚約者になったという設定で、現在は2匹の間に生まれた子猫も、の小さな巨人としてパレードに参加しているとのこと。王冠やドレスを身にまとい、観衆に前脚(?)を振る2体の巨大猫人形は、猫祭り最大のフォトスポット。パレード見学の際は、ぜひクライマックスの登場シーンまで見届けてくださいね。
パレードが終わった夕刻、祭りはいよいよ最大のクライマックスを迎えます。それが伝統の儀式「猫投げ(Kattenworp)」。繊維会館の鐘楼に登った道化師が、広場に詰めかけた観客めがけて黒い猫のぬいぐるみを次々と投げ下ろします。道化師の衣装は赤と白で、これはイーペル市の紋章カラーなのだとか。
投げ込まれるぬいぐるみは「幸運の象徴」とされ、見事キャッチした人には願いが叶うという言い伝えも。そのため老若男女がみな本気で手を伸ばし、ぬいぐるみの争奪戦が繰り広げられます。あまりの白熱ぶりに、ケガをしないよう注意がうながされるほどだとか。
「ぬいぐるみを取りそびれた!」という方もご安心を。同じデザインのぬいぐるみは会場周辺の屋台でも販売されているので、旅の記念に手に入れることもできます。
かつての残酷な風習を、ぬいぐるみを使った「幸福を分かち合う」セレモニーへと変えたこの儀式。過去への鎮魂と未来への希望が込められた、猫祭りならではの特別な瞬間といえるでしょう。
猫投げの余韻も冷めやらぬ中、祭りの締めくくりに待っているのが「魔女裁判」の再現劇。
広場の中央に積まれた藁や薪に火が放たれ、魔女役の女性と司祭役の男性が登場して中世さながらの寸劇が始まります。魔女役の叫び声と観衆のブーイングが渦巻いた後、人形の魔女が炎の中へ投げ込まれ、哀愁ただよう音楽とともに祭りの幕が静かに下ろされていく。炎が夜空を焦がすその光景は、楽しいだけでなく、かつて各地で行われた魔女狩りの悲惨さをも伝える演出。単なるエンターテインメントにとどまらない奥深さを秘めた瞬間でしょう。歓声と拍手が響く中、3年に一度の猫の祝祭は熱気を残しながらフィナーレを迎えるのです。
ここまで猫祭りの歴史や見どころをご紹介してきましたが、「実際に行ってみたい!」と思った方も多いのではないでしょうか。3年に一度のレアなお祭りだけに、事前の情報収集が大切。開催日程やアクセス方法、現地で役立つ豆知識をまとめました。旅の計画にお役立てください。
猫祭りの開催は3年に一度、通常5月の第2日曜日が本祭の日です。
直近の2024年5月12日に第46回が行われたため、次回は2027年の開催が有力視されています。
大まかなスケジュールは以下をご参考に。
パレードの沿道には有料の観覧席も設けられるため、確実にベストポジションで見たい方は事前に席を確保しておくのも手。猫投げに参加したいなら、広場の中心エリアに早めにスタンバイしておくことをおすすめします。
猫祭りの会場は、ベルギー西フランダース地方のイーペル市中心部。メイン会場となるグローテマルクト(大広場)を目指しましょう。
日本からのアクセスとしては、まずブリュッセル国際空港へ飛び、そこから鉄道を利用するのが一般的なルートになります。ブリュッセルからイーペルまでは鉄道で約2時間ほど(コルトレイク駅で乗り換えあり)。フランス北部の都市リールからも近く、車で約40分の距離に位置しています。
祭り当日は周辺の交通規制が予想されるため、公共交通機関の利用がベター。宿泊先は早い段階で満室になることが多いので、旅程が決まったら早めに予約するのがポイントです。イーペル市内はコンパクトな町なので、一度中心部に着いてしまえば徒歩で十分に回れます。
猫祭りをもっと楽しむために、知っておくと便利な情報をいくつかお伝えしておきましょう。
猫祭りでは仮装が大歓迎。
猫耳カチューシャや肉球グローブなど、猫モチーフのアイテムを身につけて参加する人がとても多く、日本から猫コスプレグッズを持参するのもおすすめです。
実は猫祭りでは日本人の参加者がかなり目立つ存在で、在ベルギー日本国大使館の発信によると、2018年の祭りでは観客の1割近くが日本人ではないかと思われるほどだったのだとか。
同じ「猫好き」という気持ちが国境をこえてつながる瞬間は、きっと忘れられない体験になるはず。
せっかくイーペルを訪れるなら、猫祭り以外の観光スポットもぜひ計画に組み込んでみてください。
繊維会館の中にある「イン・フランダース・フィールズ博物館」は、第一次世界大戦の歴史を伝える博物館として高い評価を受けています。映像技術や貴重な資料を通じて、激戦地イーペルの記憶に触れることができる貴重な場所。そして毎晩20時にメニン門で行われる「ラストポスト」の追悼セレモニーも必見。
1928年からほぼ毎日途切れることなく続くこの儀式は、平和の町イーペルを象徴する光景として世界中から訪問者が集まります。
猫祭りの前夜祭と合わせて鑑賞すれば、イーペルという町の奥深さをより実感できるでしょう。
出典:在ベルギー日本国大使館「ベルギーの街角から」
ベルギー・イーペルの猫祭り「カッテンストゥッツ」は、中世の暗い歴史を乗りこえ、猫への愛と敬意に満ちた祝祭へと生まれ変わったお祭りです。華やかなパレードに、鐘楼から降り注ぐぬいぐるみ、ドラマチックな魔女裁判。どの場面を切り取っても唯一無二の体験が待っています。
そしてその奥には、人と猫の複雑な関係の歴史や、戦火から復興した町の誇り、「過去を忘れず未来へ進む」というメッセージがしっかりと根を張っていました。
3年に一度だけ、5月の新緑が美しい季節に開かれるこの猫の祝祭。次回の開催を心待ちにしながら、いつかイーペルの広場で世界中の猫好きたちと「ニャー!」と声を上げてみてはいかがでしょうか。きっと、旅の忘れられない1ページになるに違いありません。
ヨーロッパの猫の伝説▼
日本に猫が来たのはいつ?▼
冬の寒さがゆるみ、あちこちで花のつぼみがふくらみ始める3月。ひな祭りにお花見、卒業式と、この季節ならではのイベントが目白押しです。
さらに世界へ目を向けると、春の訪れを祝うユニークなお祭りもたくさん。
3月の定番行事から旬の食べ物、ちょっと自慢できる豆知識、海外の春の文化まで、3月の魅力をまるごとお届けします。
目次
ベルギー・イーペルの猫祭りとは?
イーペルはベルギー西部、西フランダース州に位置する町で、フランスとの国境にも近い場所にあります。
普段は人口3〜4万人ほどの静かな町ですが、3年に一度の「猫祭り」が開催される日ばかりは、世界中から猫好きが押し寄せて大にぎわいになります。
正式名称は「カッテンストゥッツ」。
その名の通り、ヨーロッパでも屈指の、猫に捧げられたユニークな奇祭として知られています。
華やかなパレードの裏側には、中世ヨーロッパの知られざる歴史が隠されていました。
猫祭りの正式名称「カッテンストゥッツ」の意味
猫祭りの正式名称は、現地のフラマン語で「カッテンストゥッツ(Kattenstoet)」。
直訳すると「猫のパレード」「猫の行進」を意味する言葉で、その名前の通り、猫をテーマにした大規模な仮装パレードがお祭りの中心となっています。
小さな町にもかかわらず、猫祭りの日ばかりは別世界。2024年の第46回開催時には、約5万人もの来場者が集まったというから驚きです。
ベルギーの猫祭りの起源と歴史
華やかでかわいらしい猫のお祭り。そんな印象とは裏腹に、この祭りの起源をたどると、ちょっとゾッとするような中世ヨーロッパの歴史が見えてきました。
12〜15世紀のイーペルは、毛織物産業で大いに栄えた都市でした。
大量の羊毛を保管する繊維会館にはネズミが集まるため、その退治役として多くの猫が飼われていたのだそう。
ところが猫が増えすぎると、当時の人々はなんと毎年「猫の水曜日」に、町の鐘楼の上から生きた猫を広場へ投げ落とすという恐ろしい行為を行っていたと伝えられています。
なぜ猫?猫祭りに猫が登場する理由
なぜこの祭りでは猫が主役なのでしょうか。
その背景には、中世ヨーロッパにおける猫の特別な立場があります。
当時のヨーロッパでは猫は「魔女の使い魔」「悪霊の象徴」とされ、猫を殺すことで厄災を追い払う儀式の意味合いがあったようです。
一方で「冬の間ネズミ退治に活躍した猫を、春になると用済みとして処分した」という見方もあり、真相は定かではありません。
記録に残る最後の「生きた猫投げ」が行われたのは1817年のこと。
なお、この最後の猫は投げ落とされる瞬間にあわてて逃げ出し、命拾いしたという逸話も残っています。
暗い歴史から猫への祝祭へ
その後、動物虐待が禁じられ長らく途絶えていたこの風習ですが、1938年に町おこしのイベントとして新しい形で復活。
そして1955年からは本格的な民俗パレードとして定期開催されるようになり、現在の「猫祭り」が確立したのです。
暗い歴史を風化させず、むしろ猫への愛情に変えて後世に伝えるという姿勢には、心を打たれるものがあるのではないでしょうか。
いつどこで開催される?次回は何年?
猫祭りは3年に一度、通常は5月の第2日曜日に開催されるのが恒例となっています。
直近では2024年5月12日に第46回が行われました。
3年ごとの開催サイクルから考えると、次回は2027年の5月に開催される見込み。
ただし、新型コロナウイルスの影響で延期された過去もあるため、最新の日程は公式サイトでチェックするのがおすすめです。
開催地はベルギー西フランダース地方のイーペル市。
パレードの出発点となる「グローテマルクト(大広場)」を中心に、町全体がお祭り会場になります。
広場に面してそびえ立つ「繊維会館」は13世紀に建てられた壮大なゴシック建築で、現在はユネスコ世界遺産にも登録されている歴史ある建物。
この繊維会館の鐘楼こそ、かつて猫投げが行われていた、まさに猫祭りの象徴的な場所なのです。
ベルギー・イーペルの猫祭りの見どころ
猫祭り最大の魅力は、何といっても「猫パレード」をはじめとする多彩なイベントの数々。
パレードだけでも約3時間にわたって繰り広げられるほか、鐘楼からのぬいぐるみ投下、迫力満点の魔女裁判再現劇、そして前夜祭まで、2日間にわたって猫づくしの世界が広がります。
ここからは、絶対に見逃せないポイントをひとつずつ見ていきましょう。
前夜祭で一足先にお祭り気分を満喫
本祭の前日、土曜日の夜には「前夜祭(Kattenstoet Eve)」が開催されます。
夜8時を過ぎると町のあちこちで猫にちなんだ路上演奏やダンスが始まり、お祭りムードが一気に加速。
広場では開会宣言のセレモニーやミニパレードも行われます。
パレード出演者と間近でふれあえたり、屋台の準備風景をのぞけたりと、本番とはひと味違うローカルな空気感を味わえるのが前夜祭の醍醐味。
2024年には繊維会館(世界遺産)の修復完成を祝うイベントと重なり、レーザーショーや鐘楼の「特別カリヨン演奏」なども披露され、特別な一夜となりました。
本祭だけでなく前夜祭から参加すれば、猫祭りの楽しさを2倍味わえるはず。
ぜひ土曜日から現地入りするスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。
圧巻の猫パレード!約2,000人が猫に大変身
祭り当日の日曜午後3時。
町の中心グローテマルクトから、いよいよメインイベントの「猫パレード」がスタートします。
約2,000人の市民が思い思いの猫コスチュームに身を包み、大人も子供も全力で猫になりきって町を練り歩く光景は圧巻のひとこと。
猫だけでなく、魔女やネズミ、中世の町民、道化師など多彩な仮装が次々と登場し、マーチングバンドや太鼓隊の生演奏が祭りのテンションをぐんぐん引き上げていきます。
見どころは創意工夫にあふれた山車(フロート)の数々。
イーペルの歴史をテーマにした迫力あるシーンもあれば、世界の猫文化やポップカルチャーをモチーフにしたものまで、毎回バラエティ豊かなラインナップが並びます。
2024年のパレードでは、新聞漫画の人気者ガーフィールドや日本のハローキティ、さらにはブロードウェイミュージカル「キャッツ」をモチーフにした巨大模型まで登場して、沿道は大興奮に包まれたそう。
かわいらしいものからちょっと不気味なものまで、約3時間にわたって続く「猫だらけの行進」。
写真を撮る手が止まらなくなること間違いなしでしょう。パレードの人気者!王様猫シープルと女王猫ミネケ・プス
パレードの最後尾に悠然と登場するのが、イーペルの愛されキャラクター、王様猫「シープル(Cieper)」と女王猫「ミネケ・プス(Minneke Poes)」の巨大人形。
シープルは1955年の大パレード初開催に合わせて"誕生"した黒猫の巨人で、なんと身長6メートル・体重180キロという堂々たる体格の持ち主。
しかもイーペル市役所に正式な住民登録までされているというから、町からの溺愛ぶりがうかがえます。
一方のミネケ・プスは1960年に初登場した美しい白猫の女王。
シープルが一目ぼれして婚約者になったという設定で、現在は2匹の間に生まれた子猫も、の小さな巨人としてパレードに参加しているとのこと。
王冠やドレスを身にまとい、観衆に前脚(?)を振る2体の巨大猫人形は、猫祭り最大のフォトスポット。
パレード見学の際は、ぜひクライマックスの登場シーンまで見届けてくださいね。
鐘楼からぬいぐるみが降る!「猫投げ」の儀式
パレードが終わった夕刻、祭りはいよいよ最大のクライマックスを迎えます。それが伝統の儀式「猫投げ(Kattenworp)」。
繊維会館の鐘楼に登った道化師が、広場に詰めかけた観客めがけて黒い猫のぬいぐるみを次々と投げ下ろします。
道化師の衣装は赤と白で、これはイーペル市の紋章カラーなのだとか。
投げ込まれるぬいぐるみは「幸運の象徴」とされ、見事キャッチした人には願いが叶うという言い伝えも。
そのため老若男女がみな本気で手を伸ばし、ぬいぐるみの争奪戦が繰り広げられます。
あまりの白熱ぶりに、ケガをしないよう注意がうながされるほどだとか。
「ぬいぐるみを取りそびれた!」という方もご安心を。
同じデザインのぬいぐるみは会場周辺の屋台でも販売されているので、旅の記念に手に入れることもできます。
かつての残酷な風習を、ぬいぐるみを使った「幸福を分かち合う」セレモニーへと変えたこの儀式。過去への鎮魂と未来への希望が込められた、猫祭りならではの特別な瞬間といえるでしょう。
魔女裁判と火あぶり、ドラマチックなフィナーレ
猫投げの余韻も冷めやらぬ中、祭りの締めくくりに待っているのが「魔女裁判」の再現劇。
広場の中央に積まれた藁や薪に火が放たれ、魔女役の女性と司祭役の男性が登場して中世さながらの寸劇が始まります。
魔女役の叫び声と観衆のブーイングが渦巻いた後、人形の魔女が炎の中へ投げ込まれ、哀愁ただよう音楽とともに祭りの幕が静かに下ろされていく。
炎が夜空を焦がすその光景は、楽しいだけでなく、かつて各地で行われた魔女狩りの悲惨さをも伝える演出。
単なるエンターテインメントにとどまらない奥深さを秘めた瞬間でしょう。
歓声と拍手が響く中、3年に一度の猫の祝祭は熱気を残しながらフィナーレを迎えるのです。
ベルギー・イーペルの猫祭りに参加しよう!
ここまで猫祭りの歴史や見どころをご紹介してきましたが、「実際に行ってみたい!」と思った方も多いのではないでしょうか。
3年に一度のレアなお祭りだけに、事前の情報収集が大切。開催日程やアクセス方法、現地で役立つ豆知識をまとめました。旅の計画にお役立てください。
開催日とスケジュール
猫祭りの開催は3年に一度、通常5月の第2日曜日が本祭の日です。
直近の2024年5月12日に第46回が行われたため、次回は2027年の開催が有力視されています。
大まかなスケジュールは以下をご参考に。
(前夜祭)
(本祭)
(本祭)
(本祭)
パレードの沿道には有料の観覧席も設けられるため、確実にベストポジションで見たい方は事前に席を確保しておくのも手。
猫投げに参加したいなら、広場の中心エリアに早めにスタンバイしておくことをおすすめします。
開催場所・アクセス方法
猫祭りの会場は、ベルギー西フランダース地方のイーペル市中心部。
メイン会場となるグローテマルクト(大広場)を目指しましょう。
日本からのアクセスとしては、まずブリュッセル国際空港へ飛び、そこから鉄道を利用するのが一般的なルートになります。
ブリュッセルからイーペルまでは鉄道で約2時間ほど(コルトレイク駅で乗り換えあり)。
フランス北部の都市リールからも近く、車で約40分の距離に位置しています。
祭り当日は周辺の交通規制が予想されるため、公共交通機関の利用がベター。
宿泊先は早い段階で満室になることが多いので、旅程が決まったら早めに予約するのがポイントです。
イーペル市内はコンパクトな町なので、一度中心部に着いてしまえば徒歩で十分に回れます。
参加前に知っておきたいポイント
猫祭りをもっと楽しむために、知っておくと便利な情報をいくつかお伝えしておきましょう。
猫の仮装で参加しよう
猫祭りでは仮装が大歓迎。
猫耳カチューシャや肉球グローブなど、猫モチーフのアイテムを身につけて参加する人がとても多く、日本から猫コスプレグッズを持参するのもおすすめです。
実は猫祭りでは日本人の参加者がかなり目立つ存在で、在ベルギー日本国大使館の発信によると、2018年の祭りでは観客の1割近くが日本人ではないかと思われるほどだったのだとか。
同じ「猫好き」という気持ちが国境をこえてつながる瞬間は、きっと忘れられない体験になるはず。
猫祭り以外のイーペル観光も見逃せない!
せっかくイーペルを訪れるなら、猫祭り以外の観光スポットもぜひ計画に組み込んでみてください。
繊維会館の中にある「イン・フランダース・フィールズ博物館」は、第一次世界大戦の歴史を伝える博物館として高い評価を受けています。
映像技術や貴重な資料を通じて、激戦地イーペルの記憶に触れることができる貴重な場所。
そして毎晩20時にメニン門で行われる「ラストポスト」の追悼セレモニーも必見。
1928年からほぼ毎日途切れることなく続くこの儀式は、平和の町イーペルを象徴する光景として世界中から訪問者が集まります。
猫祭りの前夜祭と合わせて鑑賞すれば、イーペルという町の奥深さをより実感できるでしょう。
出典:在ベルギー日本国大使館「ベルギーの街角から」
猫と人の歴史が詰まったベルギーの奇祭を楽しもう
ベルギー・イーペルの猫祭り「カッテンストゥッツ」は、中世の暗い歴史を乗りこえ、猫への愛と敬意に満ちた祝祭へと生まれ変わったお祭りです。
華やかなパレードに、鐘楼から降り注ぐぬいぐるみ、ドラマチックな魔女裁判。どの場面を切り取っても唯一無二の体験が待っています。
そしてその奥には、人と猫の複雑な関係の歴史や、戦火から復興した町の誇り、「過去を忘れず未来へ進む」というメッセージがしっかりと根を張っていました。
3年に一度だけ、5月の新緑が美しい季節に開かれるこの猫の祝祭。次回の開催を心待ちにしながら、いつかイーペルの広場で世界中の猫好きたちと「ニャー!」と声を上げてみてはいかがでしょうか。
きっと、旅の忘れられない1ページになるに違いありません。
関連記事
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