Though she has retired, her knowledge and experience remain outstanding. It’s exactly ‘A good horse becomes never a jade’. (彼女はもう現役を引退したけれど、その知識と経験は未だにすばらしい。まさに名馬は決して駄馬にはならない、だ。)
日本の「腐っても鯛」などのことわざと似た表現です。「jade」は「駄馬」という意味があります。
Even the best horse stumbles.
日本語訳:
すばらしい馬でもつまずく
意味:
優れた人でも失敗はする
使い方:
Don’t worry about it too much. Even the best horse stumbles. (心配しすぎないで。どんなにすばらしい馬でもつまずくことはあるんだから。)
日本語の、「猿も木から落ちる」「弘法も筆の誤り」と似た表現ですね。
Don’t change horses in midstream.
日本語訳:
川の真ん中で馬を乗り換えてはならない
意味:
やり始めたことは、最後までやりぬくべき、初志貫徹すべき
使い方:
You should keep doing that. Don’t change horses in midstream. (それをやり続けるべきだよ。最後までやり抜くべきだ。)
普段の会話などで、さらっと使えると素敵なのが「ことわざ」ですよね。
日本にはたくさんのことわざがありますが、今回のコラムでは今年の干支でもある「馬(午)」のことわざをご紹介したいと思います。
よく使う有名な午のことわざも、由来や背景を知るとさらに面白く感じられるはずです。
珍しい馬のことわざや、世界の馬のことわざもあわせてご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
よく使われる馬のことわざ・慣用句
まずは日本に存在する「馬」が入ったことわざ・慣用句のなかから、特によく使われるものをまとめました。
馬の耳に念仏
とても有名な馬のことわざですが、意外と正しい意味を知らなかった、という方も多いのではないでしょうか。後ほど詳しくご紹介しますが、目上の人に使うと失礼にあたるので気をつけましょう。
馬が合う
馬と乗り手、お互いの呼吸がぴったり合っている姿から生まれた言葉です。馬と馬、ではないところがポイントですね。
馬脚を現す
「隠していた本性や実力」は、基本的にネガティブ・マイナスなものを指します。そのため、良い本性やすばらしい実力が明らかになったときには使わないので気をつけてくださいね。
馬子にも衣装
馬子(まご)とは、昔、馬に荷物を乗せて運ぶ仕事をしていた人のことです。普段は泥だらけでしたが、ちゃんとした服を着ると立派に見えることから、このことわざが生まれました。
先馬の轍を踏む
「先馬の」の部分が省略されて「轍を踏む」ということもありますし、「同じ轍を踏む」と表現されることもあります。この「轍」とは車輪の跡のことを指しますよ。
意味を知ると面白い!馬ことわざの由来と背景
先ほどご紹介したことわざは有名なものだったため、知っているものも多かったのではないでしょうか。しかし、有名なことわざにも、知っていると面白い由来や背景があるんです……!
「馬の耳に念仏」の語源
「馬の耳に念仏」は、馬に念仏(お経)を聞かせても意味がない、というたとえですが、実は李白という中国の詩人の詩に由来するといわれています。
李白のとある詩には、「東風の馬耳を射るが如き有り」という表現があります。東風とは、東から吹く春風を指し、「優れた詩を読んでも、馬の耳に春風が吹くように聞き流される」といった嘆きの気持ちを表しています。ここから、「馬耳東風(ばじとうふう)」という故事成語が生まれ、それが日本に伝わると、「馬の耳の風」という表現に変化しました。その後、「風」が「念仏」に言い換えられ、「馬の耳に念仏」ということわざが生まれたと考えられています。
「馬脚を現す」はどこから来た?
馬脚を現す、ということわざも、実は中国に由来します。中国の元曲という古典劇において、1頭の馬を2人の役者が演じていた際、後ろ(=馬の脚を表現する)の役者がうっかり自分の姿を見せてしまいました。このことから、隠していたものが露見した様子を表すものとして、馬脚を現すということわざができたのです。
昔の日本人の暮らしと馬の関係
日本において、昔から馬は人間の生活に密接に結びついていました。
農作業においては、田んぼを耕す助けとなりました。また、人や重たい荷物を遠くに運ぶときにも、馬は大活躍。戦の場面では、武士たちは馬に乗って戦うことも多くありました。
馬は、人間の生活に役立っていただけではありません。馬は人間と心を通わせることができると考えられており、人の声や態度をこまやかに感じ取り、優しく接することで、信頼関係が生まれるといいます。だからこそ、馬にまつわることわざには「人間関係のあり方」を表すものが多いのです。
日常会話・仕事で使える馬のことわざ
続いては、馬のことわざのなかから、日常会話・仕事で使えるものをご紹介します。
日常会話で使いやすい表現
「馬が合う」は日常会話でも使いやすい表現です。友達同士や、初めて知り合った人と気が合うなと思ったら、「私たち、馬が合いますね」のように使ってみてはいかがでしょうか。
また、服装や身なりによって、その人が立派に見えるなと思ったら、「馬子にも衣装」を使ってみましょう。
そのほか、アドバイスをしても相手が聞く耳を持たなかったり理解しようとしない、といったときには「馬の耳に念仏」がぴったりです。目上の人に使うと失礼にあたるため、使う相手は気をつけてくださいね。
仕事・ビジネスで使える表現
仕事など、かしこまった場面では、知性が光ることわざを使ってみるのもおすすめです。
たとえば、「老馬の智」は経験豊富な人は的確な判断力や知恵を持っている、という意味です。上司や取引先などを上手に褒めることができる表現ですよ。
また、「走り馬にも鞭」は、勢いのあるものに、さらに勢いをつけることのたとえです。仕事で調子が良い同僚や部下などに、励ましの意味合いで使えるでしょう。
さらに、有能な人も、その真価を見抜いて能力を引き出してくれる人とはなかなか出会えないという意味の「千里の馬も伯楽に会わず」も、優れた上司、取引先を運良く見つけられたときなどに使えるでしょう。
前向きになれる・人生に活かせる馬のことわざ
続いてここからは、ポジティブな気持ちになれるような、人生に活かせるような馬のことわざをご紹介します。座右の銘にするのもおすすめですよ。
駿馬も短途に躓く
馬に乗るまでは牛に乗れ
馬は牛より速く走れますが、いきなり馬に乗るのは難しいので、まずは牛に乗って乗り方の訓練をしなさいという教えから、このことわざが生まれました。
癖ある馬に能あり
一見すると変わった人でも、すごい才能がある、ということは多々ありますよね。それはきっと馬も同じなのでしょう。
知っていたら話したくなる!ちょっと珍しい馬のことわざ
「馬」が入ったことわざはまだまだあります。
ちょっと珍しいことわざ・慣用句を見てみましょう。みなさんが知っているものはありますか?
馬には乗ってみよ人には添うてみよ
実体験の大切さや、先入観を持たないことの重要性を教えてくれることわざですね。
牛も千里馬も千里
どうしても他の人と比べてしまうこともあると思いますが、自分は自分、と前向きになれそうなことわざですね。
馬瘦せて毛長し
栄養状態の悪い痩せた馬は、毛ばかりが伸びてみすぼらしく・弱々しく見えることから生まれたことわざです。
現代での使いどころと注意点
ことわざは、昔の人の知恵が感じられる表現ですが、現代で使うときには少し注意も必要です。
会話で使うときのポイント
会話でことわざを使うときには、ことわざの誤用に注意が必要です。たとえば、「馬の耳に念仏」は「大切なことや忠告」などを聞き流す、理解しようとしない、という意味があります。とりとめもない話題や、雑談などを相手が聞き流しているときには使わないので、注意しましょう。
また、「駿馬も短途に躓く」のような難しいことわざを会話で使うのは避けたほうが無難です。会話では、文字ではなく「声」だけがヒントとなるため、簡単でよく知られたことわざを使うと伝わりやすいです。
誤解されやすい・失礼になりやすい表現
先ほどもご紹介したとおり、「馬の耳に念仏」は「何を言っても無駄である」「話を聞き入れない愚かな人」といった意味合いも含まれています。そのため、目上の人に使うと失礼になるため、使わないようにしましょう。
また、「馬子にも衣装」は、立派に見える、という意味合いから誤解されやすいのですが、「普段は立派に見えないけれど」という皮肉も込められています。そのため、他人に対して使うと失礼になり、基本的に自分自身や身内を謙遜して褒める際に使うのが適切です。
若い世代にも伝わりやすい言い換え
ことわざは、若い世代に伝わりにくいこともあります。そんなときは無理にことわざを使わず、平易な言葉に言い換えることが大切です。
たとえば、「馬子にも衣装」は「それなりに見える」「着るもの次第」など、わかりやすい表現にするのがおすすめです。
世界の馬ことわざと日本との違い
日本と同じように、世界の国々にも馬にまつわることわざがあります。どんなことわざが、どのような場面で使われているのかまとめました。
英語の馬ことわざ
まずは、英語の馬のことわざから見ていきましょう。
A good horse becomes never a jade.
(彼女はもう現役を引退したけれど、その知識と経験は未だにすばらしい。まさに名馬は決して駄馬にはならない、だ。)
日本の「腐っても鯛」などのことわざと似た表現です。「jade」は「駄馬」という意味があります。
Even the best horse stumbles.
(心配しすぎないで。どんなにすばらしい馬でもつまずくことはあるんだから。)
日本語の、「猿も木から落ちる」「弘法も筆の誤り」と似た表現ですね。
Don’t change horses in midstream.
(それをやり続けるべきだよ。最後までやり抜くべきだ。)
"change"の部分が"swap"になることもありますよ。
中国の馬成語
中国にも、馬の成語がいくつもありますよ。日本のことわざと共通点があるか、ぜひチェックしてみましょう。
馬到成功
馬の足の速さ・スピード感をうまくたとえた成語ですね。仕事やビジネスの場でも使えそうな表現です。
龍馬精神
龍と馬は、どちらも中国において大切な動物。唐の時代に、年老いてもなお精力的な官僚たちを描写したことに由来する成語です。
一馬当先
馬の勢いや、力強さ、人を率いていくような雰囲気を感じさせる成語ですね。人の性格を表すときにも使いやすそうな表現です。
日本の馬ことわざとの共通点・違い
英語のことわざは、日本の馬のことわざと同じように、馬を「すばらしいもの」と捉えることが多い点が共通していますね。日本のことわざにそのまま置き換えられるような表現が多かったのも特徴です。
また、中国の成語は、馬という生き物の「勢い」や「スピード」に焦点が当てられているのは、日本とは少し違った観点でしょう。
馬のことわざから学べる人生の知恵
今回のコラムでは、たくさんの馬のことわざをご紹介していきました。日本のことわざは、なじみのあるものも多かったかも知れませんが、世界のことわざは知らないものもあったのではないでしょうか。
馬は古くから日本人の生活に深く関わってきており、信頼関係を築いてきました。このことからも、馬が勇気や忠義を象徴していることも、納得ではないでしょうか。
また、馬のことわざは、「馬の耳に念仏」は相手の立場を考える力、「馬が合う」は信頼を築く力など、現代にも活かせる人間社会を生きる知恵がつまっています。ぜひ、みなさんの生活にも馬のことわざを取り入れてみてはいかがでしょうか。
このコラムが、みなさんがことわざや言語、文化に興味を持つきっかけになれば嬉しいです!
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