人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
鬼灯とは、夏に紙風船のような形の鮮やかなオレンジ色の実を付ける植物です。 可愛らしくもありどこか怪しい感じもする独自の実の形で親しまれてきた鬼灯は、色々な意味の花言葉も付けられています。 そこで今回は、鬼灯の花言葉やこの言葉が付けられた由来を、鬼灯の生態や特徴、名前の由来などあわせて解説していきます。
鬼灯とは、実を包む風船のような赤い袋状のものを付ける特徴的な容姿の植物です。 ここでは、鬼灯の生態や特徴について詳しく紹介します。
鬼灯は、ナス科ほおずき属の植物で、一年草または多年草の草花です。 鬼灯の原産地は東アジアとされており、主にアメリカ大陸やヨーロッパ、日本や中国などに分布しています。 草丈は30~100㎝で、ギザギザとした縁の葉を付けます。 開花時期は6~7月で、白やクリーム色、紫色の小さな花を咲かせます。 花が咲き終わる7月下旬ごろから、袋状のものに入ったミニトマトのような丸く水分の多いオレンジ色や黄色の果実を付けます。
鬼灯の大きな特徴は、風船のような袋状のものを付けることです。 この袋状のものは、花びらを支える部分である「蕚(がく)」が発達したもので、花が咲き終わると大きくなり、果実を包み込むように袋状になっていきます。 蕚は中に入っている実が熟すのと同時に、緑色から鮮やかなオレンジ色へと変化します。
日本では昔からこの袋状の蕚をお盆に帰ってくる故人の魂を家まで迷わないようにお迎えする提灯に見立てて、お盆に飾る風習があります。
「ほおずき」に「鬼灯」という漢字が充てられたのは、袋状の蕚の部分が提灯に似ていて、中に入っている実を亡くなった人の魂と見立てていたからだといわれています。 ではなぜ、「ほおずき」という呼び方になったのでしょうか? これには色々な由来がありますので、紹介していきましょう。
平安時代から、子供たちが鬼灯の実を口に含み、音を鳴らして遊んでいました。 実を柔らかくなるまで揉んで中身をくりぬいた後、口に含み、舌で押して音を鳴らすのですが、このとき頬を膨らませて鬼灯の実を舌で突くので、「頬突き」と呼ばれるようになったといわれています。 また、鬼灯の袋状の蕚が、頬を膨らませている様子に見えることから「頬突き」と呼ばれるようになった由来という説もあります。
鬼灯には、「ホホ」と呼ばれるナス科の植物を好むカメムシの仲間が寄ってくることから「ホホ好き」と呼ばれるようになったといわれています。 また、かつてはカメムシのことを「ホオ」と呼んでおり、「ホオ」が好んで付く植物だから「ホオ付き」と呼ばれるようになったという説もあります。
昔は、「火」のことを「ほ」とも呼び、「つき」には「染まる」という意味がありました。 鬼灯の袋状の蕚の部分が、火が着いたように赤く染まることから「火火(ほほ)着き」と呼ばれるようになったといわれています。
鬼灯にはいくつかの花言葉があります。 その中には少し怖い意味のものもありますので、詳しく紹介していきましょう。
鬼灯の良い意味の花言葉には、次のようなものがあります。
「自然美・不思議」という花言葉は、鬼灯のオレンジ色に染まる提灯のような見た目の蕚が由来となっています。 昔の人たちは、個性的な形をした蕚が、とても美しく感じられ、またどうしてこんな形になるのか不思議に思っていたのでしょう。
「心の平安」という花言葉は、鬼灯が民間薬として利用されていたことに由来しています。 鬼灯の根や茎、葉などは、平安時代から解熱剤や咳止めなどの民間薬として利用されてきました。 昔の人たちは、鬼灯のお陰で症状が軽くなり、体が楽になることから心の平安を得られたのでしょうね。
「笑顔」という花言葉は、鬼灯の赤くて丸く膨らんだ蕚が笑顔の時の紅潮した頬に似ていることから付けられたといわれています。
鬼灯の怖い意味の花言葉には、次のようなものがあります。
「偽り」や「ごまかし」などの花言葉は、鬼灯の大きく膨らんだ蕚の部分に対して、中に入っている実が小さいことに由来しています。 「ごまかし」は、昔から食べられる鬼灯に対する西洋の花言葉で、大きく膨らんだ蕚を見ると中にたくさん詰まっていると思うのに、開けてみると中身の食べられる実の部分が小さすぎてがっかりすることが由来とされています。
「浮気」という花言葉は、鬼灯が堕胎薬として使われていたことに由来しています。 観賞用の鬼灯の実や根には子宮収縮作用があり、その昔浮気をして身ごもってしまった女性が鬼灯の実を食べて自ら流産したという話が多くあったようです。
「私を誘って・私を誘惑して」という花言葉は、「ホホ」というカメムシが鬼灯を好んで寄ってくることに由来しています。 「ホホ」が鬼灯の美しさに誘われて集まっているように見えたのでしょうね。 また、若い女性が鬼灯のように頬を赤く染めて「誘って欲しいなあ」ともじもじしている様子が由来となっているという説もあります。
「半信半疑」という花言葉は、鬼灯が毒にも薬にもなることに由来しています。 昔から民間薬として利用されてきた鬼灯ですが、基本的には毒草なので分量を間違えると体調を崩すことも少なくなかったと思われます。 そのため、毒なのか薬なのかよく分からない、という昔の人の気持ちが「半信半疑」という花言葉になったとされています。 また、蕚は大きく膨らんでいるのに中には小さな実があるだけで、中身がほとんど空洞であることも「半信半疑」の花言葉の由来といわれています。
鬼灯の袋の中には、ミニトマトのような赤や黄色の実が入っています。 この実は食べても大丈夫なのかどうかを詳しく解説していきましょう。
鬼灯には、観賞用と食用のものがあります。 観賞用の鬼灯にはアルカロイドと呼ばれる毒が含まれていて、食べると腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出るため、食べることはできません。 一方で、食用として楽しむことができる種類の鬼灯もあります。 食用鬼灯は、現在の目岸城北部からアメリカ南部で紀元前1000年ごろから食べられていたといわれており、その後ヨーロッパに伝わって世界中に広まっていきました。
日本では、鬼灯を観賞用として利用することが一般的で、食用の鬼灯はほとんど栽培されてきませんでしたが、近年、日本でも食用鬼灯が注目されるようになってきています。 食用鬼灯は甘酸っぱくフルーティーな味わいが特徴で、そのまま食べたりジャムやソースなどに加工したりして、デザートやサラダなど幅広い料理に活用されています。
日本ではかつて、鬼灯を子供の「かんの虫」や大人の腹痛を鎮める薬、解熱薬、利尿剤などとして利用していました。 平安時代には鎮静剤として、江戸時代には咳や発熱、のどの痛み、むくみなどに効くとして安産や夏の病気への備えとして利用されていたという記録が残っています。 しかし、鬼灯の根の部分には子宮収縮作用があるヒトスニンが含まれており、江戸時代には堕胎薬としても利用されていました。
鬼灯の根や地下茎(根のような部分)を干したものは「酸漿根(さんしょうこん)」という咳止めや解熱、利尿などの効果があるとされる生薬として現在でも利用されています。 ただし、酸漿根にはヒトスニンが含まれているため、妊娠中は流産の危険性が高く、妊婦さんには禁忌となっているので注意してください。
鬼灯全草にも酸漿根と同じ作用があるとされ、現在でも咳や痰、解熱、冷え性などに効果がある民間薬として、全草を干したものを煎じて飲む風習が一部の地方に残っているそうです。
鬼灯には沢山の種類があり、ほおずき属に分類されるものだけでも80~100種ほどあります。 大きさや形などそれぞれ違いがありますが、用途によって観賞用と食用の2つに大きく分けらています。 ここでは、それぞれの代表的な品種を紹介していきましょう。
日本で一般的なのは観賞用の鬼灯です。 薬用として中国から日本に伝わったとされる鬼灯は、大きく膨らんだ鮮やかなオレンジ色の蕚が、真っすぐ伸びた茎に複数ついており、まるで提灯のように見えることから、お盆に飾る植物として広まっていきました。 そんな観賞用ほおずきには次のような品種があります。
実と蕚が大きいのが特徴の最もポピュラーなほおずきです。 夏に白い花を咲かせた後に実をつけ、8月に鮮やかなオレンジ色へと徐々に色が変わっていくため、お盆のお供え花として利用されています。
大実ほおずきよりも草丈や実が小さいのが特徴のほおずきです。 夏から秋にかけて実をたくさんつけるので、切り花や鉢植えで楽しまれています。
一般的なほおずきと違い、蕚が1つずつバナナのように細く曲がった状態になるのが特徴のほおずきです。 バナナのような蕚の中には実が無く、種ができないという特徴もあります。
江戸時代にはすでに観賞用として栽培されていたとされ、1つの枝に多数の蕚が房のように付く様子が、仏様が首にかける「瓔珞(ようらく)」に似ていることからこの名前が付けられました。
一般的なほおずきよりも小さく、緑色の実がたくさん付くのが特徴のほおずきです。 実が沢山つくことから「千成(せんなり)」という名前が付けられました。
江戸時代に日本に伝わったものが野生化したとされる帰化植物の1つで、観賞用として昔から親しまれています。
7月から9月に、白くて中心が紫色の小さな花を咲かせ、花が咲き終わると緑色の小さな実を付けます。 蕚は一般的なほおずきと同じく袋状に膨らみますが、赤くならず緑色のままなのが特徴です。
日本ではあまり馴染みのない食用ほおずきですが、海外では食用として大昔から食べられていました。 ほおずきが食用として利用され始めたのは、紀元前1000年前後といわれており、その歴史はトマトよりも古いとされています。 元々は現在のメキシコやアメリカ南部などで食べられており、その後ヨーロッパに伝わって多くの国で食べられるようになりました。 日本で食用ほおずきが栽培されるようになったのは最近ですが、甘酸っぱい独特の風味が特徴の野菜です。 食用ほおずきには、次のような品種があります。
オオブドウほおずきは別名「トマティーヨ」といい、南米産の品種です。 オオブドウほおずきの実は酸味があり、熟すと黄色、赤、緑、紫のいずれかの色になるのが特徴で、メキシコではサルサソースなどに使われています。
ただし、完熟した実以外の部分には有毒物質が含まれているので、決して食べないように注意してください。
南アメリカ原産の食用ほおずきで、現在はベネズエラやチリなどで栽培されている品種です。 実は熟すとオレンジ色になり、甘酸っぱくフルーティな風味が特徴です。 生のまま食べたり、ジャムやパイにしたりして食べられています。 香りがグーズベリーに似ていてアメリカのケープ地方で盛んに栽培されていたことから、英名を「ケープグーズベリー(Cape gooseberry)」とも呼ばれています。
ほおずき市とは、お盆に供えるためのほおずきを販売する日本の伝統的な縁日の1つで、毎年7月の初旬ごろに各地の神社やお寺で開催されています。 ほおずき市が始まったのは江戸時代で、当時は鬼灯が薬草として利用されていたことから「無病息災」を願って芝の愛宕(あたご)神社の縁日で売られるようになったのが発祥とされています。 その後ほおずき市は日本各地に広まっていき、今では夏の風物詩として楽しまれています。
現在でも有名なほおずき市は、愛宕神社と浅草寺で行われているものです。
東京都港区にある愛宕神社では、毎年6月23日・24日に「ほおずき縁日」が行われます。 愛宕神社では、昔から毎年6月23日と24日に「千日詣り」が行われていました。 この日に参拝すると千日分のご利益があるといわれており、毎年多くの参拝客が訪れていたのですが、明和年間(1764年~1772年)に「御夢想の虫の薬」という名前で青鬼灯を販売する露店が登場します。 これは、愛宕神社に自生していた鬼灯を煎じて飲むと、子供の癇癪(かんしゃく)や婦人病に効くという信仰にあやかって販売されるようになったといわれています。 大人の癪(しゃく:原因不明の激しい腹痛や胸痛)や子供のお腹の虫退治に効くとして売られた「御夢想の虫の薬」は評判となり、愛宕神社の参道では青鬼灯の露店が増えていきました。
愛宕神社では、現在も「千日詣り」と同じ日にほおずき縁日が開催され、多くの参拝客が鬼灯の鉢植えを買っています。
浅草寺では、毎年7月9日と10日に「四万六千日・ほおずき市」が開催されています。 「四万六千日(しまんろくせんにち)」とは、46,000日分、つまりは「一生分の功徳が得られる日」として室町時代から設けられたとされる縁日です。 毎年「四万六千日」と同じ日に行われる「ほおずき市」は、愛宕神社で評判の良かったほおずき市に影響を受けて、浅草寺でも参拝客が1年で最も多く訪れる「四万六千日」にほおずき市を行うようになったのが始まりといわれています。
また、浅草寺のほおずき市が始まったきっかけは、ある年の愛宕神社のほおずき市の日に、大雨が降って鬼灯が沢山売れ残ってしまい、浅草寺の「四万六千日」で売れば無駄にならない!と思いついた人が「四万六千日」に屋台を出したことだという説もあります。
浅草寺のほおずき市も愛宕神社と同じく大好評で、以後毎年ほおずき市が立つようになったのだそうです。
江戸時代から続く浅草寺のほおずき市は夏の風物詩であり、風鈴や食べ物の屋台なども立ち並ぶので、毎年多くの参拝客で賑わっています。
紙風船のような可愛らしい形で、「心の平安」や「自然美」などの良い花言葉があり、「無病息災」の縁起ものとされている鬼灯は、小物や洋服などのモチーフとしても親しまれています。 ここでは、おすすめの鬼灯モチーフの服を紹介していきましょう。
鬼灯の柄を大胆に描いたワンピースと羽織のセットです。 ストンとしたロングワンピースに大ぶりな鬼灯が描かれていますが、余白も大きいためとても上品で凛とした着物のようなデザインとなっています。 肌触りの良いレーヨン素材で軽やかなので、手軽に和装気分が味わえます。 羽織は無地でUVカット加工されており、着物のように丈が長いデザインなので、他の洋服や着物にも合わせやすくておすすめです。
鬼灯の柄を、現代的な色彩で大胆に描いたワンピースです。 襟元が着物のような形でウエストを紐でくくるデザインは着物のようでもありロングドレスのようでもあるため、着物風の羽織やジャケットなどを合わせて和洋両方のオシャレを楽しめます。
鬼灯は、夏に実(蕚)が色づき、ほおずき市やお盆に飾る風習などから夏の風物詩なっています。 日本では昔から鬼灯を観賞用としてだけでなく、民間薬として利用されてきましたが、摂取する量が多いと毒にもなるアルカロイドという成分が多く含まれている怖い植物でもあります。 そのため、鬼灯の花言葉は良い意味のものだけでなく怖い意味のものも付けられたのです。
また、最近は日本でも食用の鬼灯が販売されるようになったので、機会があればぜひ味わってみてください。
彼岸花は本当に怖い花?怖いイメージが付いた理由とは▼
日本の「縁起の良い花」▼
鬼灯とは、夏に紙風船のような形の鮮やかなオレンジ色の実を付ける植物です。
可愛らしくもありどこか怪しい感じもする独自の実の形で親しまれてきた鬼灯は、色々な意味の花言葉も付けられています。
そこで今回は、鬼灯の花言葉やこの言葉が付けられた由来を、鬼灯の生態や特徴、名前の由来などあわせて解説していきます。
目次
鬼灯とは
鬼灯とは、実を包む風船のような赤い袋状のものを付ける特徴的な容姿の植物です。
ここでは、鬼灯の生態や特徴について詳しく紹介します。
鬼灯ってなに?
鬼灯は、ナス科ほおずき属の植物で、一年草または多年草の草花です。
鬼灯の原産地は東アジアとされており、主にアメリカ大陸やヨーロッパ、日本や中国などに分布しています。
草丈は30~100㎝で、ギザギザとした縁の葉を付けます。
開花時期は6~7月で、白やクリーム色、紫色の小さな花を咲かせます。
花が咲き終わる7月下旬ごろから、袋状のものに入ったミニトマトのような丸く水分の多いオレンジ色や黄色の果実を付けます。
鬼灯の特徴
鬼灯の大きな特徴は、風船のような袋状のものを付けることです。
この袋状のものは、花びらを支える部分である「蕚(がく)」が発達したもので、花が咲き終わると大きくなり、果実を包み込むように袋状になっていきます。
蕚は中に入っている実が熟すのと同時に、緑色から鮮やかなオレンジ色へと変化します。
日本では昔からこの袋状の蕚をお盆に帰ってくる故人の魂を家まで迷わないようにお迎えする提灯に見立てて、お盆に飾る風習があります。
鬼灯の名前の由来
「ほおずき」に「鬼灯」という漢字が充てられたのは、袋状の蕚の部分が提灯に似ていて、中に入っている実を亡くなった人の魂と見立てていたからだといわれています。
ではなぜ、「ほおずき」という呼び方になったのでしょうか?
これには色々な由来がありますので、紹介していきましょう。
「頬突き」が由来という説
平安時代から、子供たちが鬼灯の実を口に含み、音を鳴らして遊んでいました。
実を柔らかくなるまで揉んで中身をくりぬいた後、口に含み、舌で押して音を鳴らすのですが、このとき頬を膨らませて鬼灯の実を舌で突くので、「頬突き」と呼ばれるようになったといわれています。
また、鬼灯の袋状の蕚が、頬を膨らませている様子に見えることから「頬突き」と呼ばれるようになった由来という説もあります。
カメムシの仲間が由来という説
鬼灯には、「ホホ」と呼ばれるナス科の植物を好むカメムシの仲間が寄ってくることから「ホホ好き」と呼ばれるようになったといわれています。
また、かつてはカメムシのことを「ホオ」と呼んでおり、「ホオ」が好んで付く植物だから「ホオ付き」と呼ばれるようになったという説もあります。
「火火つき」が由来という説
昔は、「火」のことを「ほ」とも呼び、「つき」には「染まる」という意味がありました。
鬼灯の袋状の蕚の部分が、火が着いたように赤く染まることから「火火(ほほ)着き」と呼ばれるようになったといわれています。
鬼灯の花言葉には怖い意味もある?
鬼灯にはいくつかの花言葉があります。
その中には少し怖い意味のものもありますので、詳しく紹介していきましょう。
明るい意味の花言葉
鬼灯の良い意味の花言葉には、次のようなものがあります。
●自然美・不思議
「自然美・不思議」という花言葉は、鬼灯のオレンジ色に染まる提灯のような見た目の蕚が由来となっています。
昔の人たちは、個性的な形をした蕚が、とても美しく感じられ、またどうしてこんな形になるのか不思議に思っていたのでしょう。
●心の平安
「心の平安」という花言葉は、鬼灯が民間薬として利用されていたことに由来しています。
鬼灯の根や茎、葉などは、平安時代から解熱剤や咳止めなどの民間薬として利用されてきました。
昔の人たちは、鬼灯のお陰で症状が軽くなり、体が楽になることから心の平安を得られたのでしょうね。
●笑顔
「笑顔」という花言葉は、鬼灯の赤くて丸く膨らんだ蕚が笑顔の時の紅潮した頬に似ていることから付けられたといわれています。
怖い意味の花言葉
鬼灯の怖い意味の花言葉には、次のようなものがあります。
●偽り・ごまかし
「偽り」や「ごまかし」などの花言葉は、鬼灯の大きく膨らんだ蕚の部分に対して、中に入っている実が小さいことに由来しています。
「ごまかし」は、昔から食べられる鬼灯に対する西洋の花言葉で、大きく膨らんだ蕚を見ると中にたくさん詰まっていると思うのに、開けてみると中身の食べられる実の部分が小さすぎてがっかりすることが由来とされています。
●浮気
「浮気」という花言葉は、鬼灯が堕胎薬として使われていたことに由来しています。
観賞用の鬼灯の実や根には子宮収縮作用があり、その昔浮気をして身ごもってしまった女性が鬼灯の実を食べて自ら流産したという話が多くあったようです。
●私を誘って・私を誘惑して
「私を誘って・私を誘惑して」という花言葉は、「ホホ」というカメムシが鬼灯を好んで寄ってくることに由来しています。
「ホホ」が鬼灯の美しさに誘われて集まっているように見えたのでしょうね。
また、若い女性が鬼灯のように頬を赤く染めて「誘って欲しいなあ」ともじもじしている様子が由来となっているという説もあります。
●半信半疑
「半信半疑」という花言葉は、鬼灯が毒にも薬にもなることに由来しています。
昔から民間薬として利用されてきた鬼灯ですが、基本的には毒草なので分量を間違えると体調を崩すことも少なくなかったと思われます。
そのため、毒なのか薬なのかよく分からない、という昔の人の気持ちが「半信半疑」という花言葉になったとされています。
また、蕚は大きく膨らんでいるのに中には小さな実があるだけで、中身がほとんど空洞であることも「半信半疑」の花言葉の由来といわれています。
鬼灯の実は食べられる?
鬼灯の袋の中には、ミニトマトのような赤や黄色の実が入っています。
この実は食べても大丈夫なのかどうかを詳しく解説していきましょう。
鬼灯には観賞用と食用がある
鬼灯には、観賞用と食用のものがあります。
観賞用の鬼灯にはアルカロイドと呼ばれる毒が含まれていて、食べると腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出るため、食べることはできません。
一方で、食用として楽しむことができる種類の鬼灯もあります。
食用鬼灯は、現在の目岸城北部からアメリカ南部で紀元前1000年ごろから食べられていたといわれており、その後ヨーロッパに伝わって世界中に広まっていきました。
日本では、鬼灯を観賞用として利用することが一般的で、食用の鬼灯はほとんど栽培されてきませんでしたが、近年、日本でも食用鬼灯が注目されるようになってきています。
食用鬼灯は甘酸っぱくフルーティーな味わいが特徴で、そのまま食べたりジャムやソースなどに加工したりして、デザートやサラダなど幅広い料理に活用されています。
鬼灯の実は昔薬だった?
日本ではかつて、鬼灯を子供の「かんの虫」や大人の腹痛を鎮める薬、解熱薬、利尿剤などとして利用していました。
平安時代には鎮静剤として、江戸時代には咳や発熱、のどの痛み、むくみなどに効くとして安産や夏の病気への備えとして利用されていたという記録が残っています。
しかし、鬼灯の根の部分には子宮収縮作用があるヒトスニンが含まれており、江戸時代には堕胎薬としても利用されていました。
鬼灯の根や地下茎(根のような部分)を干したものは「酸漿根(さんしょうこん)」という咳止めや解熱、利尿などの効果があるとされる生薬として現在でも利用されています。
ただし、酸漿根にはヒトスニンが含まれているため、妊娠中は流産の危険性が高く、妊婦さんには禁忌となっているので注意してください。
鬼灯全草にも酸漿根と同じ作用があるとされ、現在でも咳や痰、解熱、冷え性などに効果がある民間薬として、全草を干したものを煎じて飲む風習が一部の地方に残っているそうです。
鬼灯の種類
鬼灯には沢山の種類があり、ほおずき属に分類されるものだけでも80~100種ほどあります。
大きさや形などそれぞれ違いがありますが、用途によって観賞用と食用の2つに大きく分けらています。
ここでは、それぞれの代表的な品種を紹介していきましょう。
観賞用ほおずき
日本で一般的なのは観賞用の鬼灯です。
薬用として中国から日本に伝わったとされる鬼灯は、大きく膨らんだ鮮やかなオレンジ色の蕚が、真っすぐ伸びた茎に複数ついており、まるで提灯のように見えることから、お盆に飾る植物として広まっていきました。
そんな観賞用ほおずきには次のような品種があります。
大実ほおずき
実と蕚が大きいのが特徴の最もポピュラーなほおずきです。
夏に白い花を咲かせた後に実をつけ、8月に鮮やかなオレンジ色へと徐々に色が変わっていくため、お盆のお供え花として利用されています。
姫ほおずき
大実ほおずきよりも草丈や実が小さいのが特徴のほおずきです。
夏から秋にかけて実をたくさんつけるので、切り花や鉢植えで楽しまれています。
ヨウラクほおずき
一般的なほおずきと違い、蕚が1つずつバナナのように細く曲がった状態になるのが特徴のほおずきです。
バナナのような蕚の中には実が無く、種ができないという特徴もあります。
江戸時代にはすでに観賞用として栽培されていたとされ、1つの枝に多数の蕚が房のように付く様子が、仏様が首にかける「瓔珞(ようらく)」に似ていることからこの名前が付けられました。
センナリほおずき
一般的なほおずきよりも小さく、緑色の実がたくさん付くのが特徴のほおずきです。
実が沢山つくことから「千成(せんなり)」という名前が付けられました。
江戸時代に日本に伝わったものが野生化したとされる帰化植物の1つで、観賞用として昔から親しまれています。
7月から9月に、白くて中心が紫色の小さな花を咲かせ、花が咲き終わると緑色の小さな実を付けます。
蕚は一般的なほおずきと同じく袋状に膨らみますが、赤くならず緑色のままなのが特徴です。
食用ほおずき
日本ではあまり馴染みのない食用ほおずきですが、海外では食用として大昔から食べられていました。
ほおずきが食用として利用され始めたのは、紀元前1000年前後といわれており、その歴史はトマトよりも古いとされています。
元々は現在のメキシコやアメリカ南部などで食べられており、その後ヨーロッパに伝わって多くの国で食べられるようになりました。
日本で食用ほおずきが栽培されるようになったのは最近ですが、甘酸っぱい独特の風味が特徴の野菜です。
食用ほおずきには、次のような品種があります。
オオブドウほおずき
オオブドウほおずきは別名「トマティーヨ」といい、南米産の品種です。
オオブドウほおずきの実は酸味があり、熟すと黄色、赤、緑、紫のいずれかの色になるのが特徴で、メキシコではサルサソースなどに使われています。
ただし、完熟した実以外の部分には有毒物質が含まれているので、決して食べないように注意してください。
シマほおずき
南アメリカ原産の食用ほおずきで、現在はベネズエラやチリなどで栽培されている品種です。
実は熟すとオレンジ色になり、甘酸っぱくフルーティな風味が特徴です。
生のまま食べたり、ジャムやパイにしたりして食べられています。
香りがグーズベリーに似ていてアメリカのケープ地方で盛んに栽培されていたことから、英名を「ケープグーズベリー(Cape gooseberry)」とも呼ばれています。
ほおずき市とは
ほおずき市とは、お盆に供えるためのほおずきを販売する日本の伝統的な縁日の1つで、毎年7月の初旬ごろに各地の神社やお寺で開催されています。
ほおずき市が始まったのは江戸時代で、当時は鬼灯が薬草として利用されていたことから「無病息災」を願って芝の愛宕(あたご)神社の縁日で売られるようになったのが発祥とされています。
その後ほおずき市は日本各地に広まっていき、今では夏の風物詩として楽しまれています。
現在でも有名なほおずき市は、愛宕神社と浅草寺で行われているものです。
愛宕神社:ほおずき縁日
東京都港区にある愛宕神社では、毎年6月23日・24日に「ほおずき縁日」が行われます。
愛宕神社では、昔から毎年6月23日と24日に「千日詣り」が行われていました。
この日に参拝すると千日分のご利益があるといわれており、毎年多くの参拝客が訪れていたのですが、明和年間(1764年~1772年)に「御夢想の虫の薬」という名前で青鬼灯を販売する露店が登場します。
これは、愛宕神社に自生していた鬼灯を煎じて飲むと、子供の癇癪(かんしゃく)や婦人病に効くという信仰にあやかって販売されるようになったといわれています。
大人の癪(しゃく:原因不明の激しい腹痛や胸痛)や子供のお腹の虫退治に効くとして売られた「御夢想の虫の薬」は評判となり、愛宕神社の参道では青鬼灯の露店が増えていきました。
愛宕神社では、現在も「千日詣り」と同じ日にほおずき縁日が開催され、多くの参拝客が鬼灯の鉢植えを買っています。
浅草寺のほおずき市
浅草寺では、毎年7月9日と10日に「四万六千日・ほおずき市」が開催されています。
「四万六千日(しまんろくせんにち)」とは、46,000日分、つまりは「一生分の功徳が得られる日」として室町時代から設けられたとされる縁日です。
毎年「四万六千日」と同じ日に行われる「ほおずき市」は、愛宕神社で評判の良かったほおずき市に影響を受けて、浅草寺でも参拝客が1年で最も多く訪れる「四万六千日」にほおずき市を行うようになったのが始まりといわれています。
また、浅草寺のほおずき市が始まったきっかけは、ある年の愛宕神社のほおずき市の日に、大雨が降って鬼灯が沢山売れ残ってしまい、浅草寺の「四万六千日」で売れば無駄にならない!と思いついた人が「四万六千日」に屋台を出したことだという説もあります。
浅草寺のほおずき市も愛宕神社と同じく大好評で、以後毎年ほおずき市が立つようになったのだそうです。
江戸時代から続く浅草寺のほおずき市は夏の風物詩であり、風鈴や食べ物の屋台なども立ち並ぶので、毎年多くの参拝客で賑わっています。
おすすめ!商品紹介
紙風船のような可愛らしい形で、「心の平安」や「自然美」などの良い花言葉があり、「無病息災」の縁起ものとされている鬼灯は、小物や洋服などのモチーフとしても親しまれています。
ここでは、おすすめの鬼灯モチーフの服を紹介していきましょう。
鬼灯羽織付きワンピース
鬼灯の柄を大胆に描いたワンピースと羽織のセットです。
ストンとしたロングワンピースに大ぶりな鬼灯が描かれていますが、余白も大きいためとても上品で凛とした着物のようなデザインとなっています。
肌触りの良いレーヨン素材で軽やかなので、手軽に和装気分が味わえます。
羽織は無地でUVカット加工されており、着物のように丈が長いデザインなので、他の洋服や着物にも合わせやすくておすすめです。
暗がりワンピースPP HOZUKI
鬼灯の柄を、現代的な色彩で大胆に描いたワンピースです。
襟元が着物のような形でウエストを紐でくくるデザインは着物のようでもありロングドレスのようでもあるため、着物風の羽織やジャケットなどを合わせて和洋両方のオシャレを楽しめます。
鬼灯の花言葉は実の形や毒にも薬にもなる特性が由来
鬼灯は、夏に実(蕚)が色づき、ほおずき市やお盆に飾る風習などから夏の風物詩なっています。
日本では昔から鬼灯を観賞用としてだけでなく、民間薬として利用されてきましたが、摂取する量が多いと毒にもなるアルカロイドという成分が多く含まれている怖い植物でもあります。
そのため、鬼灯の花言葉は良い意味のものだけでなく怖い意味のものも付けられたのです。
また、最近は日本でも食用の鬼灯が販売されるようになったので、機会があればぜひ味わってみてください。
関連記事
彼岸花は本当に怖い花?怖いイメージが付いた理由とは▼
日本の「縁起の良い花」▼