伝統と彩りに満ちた、バレンシアの陶器市を歩く。

伝統と彩りに満ちた、バレンシアの陶器市を歩く。

ヨーロッパ南部のイベリア半島に位置する「情熱の国」スペイン。
同国に対して、皆様はどのような印象をお持ちでしょうか。美食、サッカー、美術、フラメンコ、闘牛など多岐に渡る魅力を持ち、バルセロナやマドリードは観光地としても非常に有名です。また、カラフルで彩り溢れる街並みもスペインの魅力の1つで、タイル陶器や雑貨はスペインのお土産にぴったりの品です。

学生時代の1年間をスペインで過ごし、同期間にスペインの各地方を回った経験を持つタクミが、
スペインを代表するバレンシアの陶器市を紹介します。



 

文化に富む海洋都市「バレンシア」

1map_valencia.jpg

バレンシアは地中海に面したイベリア半島東部の都市で、バルセロナから特急列車で約3時間、マドリードからはAVE(スペインの新幹線)を使って約2時間で訪れることができます。夏には眩しい日差しを浴びながら、地中海を眺めながらビーチでゆったりと時間を過ごす観光客で溢れています。毎年3月にはラス・ファリャス(火祭り)、毎年8月にはラ・トマティーナ(トマト祭り)も開催されていて、スペインを代表するお祭りのいくつかは、ここバレンシアで行われています。

2town_valencia.jpg
そんなバレンシアは、パエリャ発祥の地であることを知っていますか?パエリャはスペインを代表する料理ではありますが、「本場」のバレンシアでいただくパエリャは格別の味。街中にはパエリャを提供してくれるレストランがひしめきあっています。また、バレンシア郊外のアルブフェラ湖はスペインきっての米どころとして知られており、付近の村であるエル・パルマールでも絶品のパエリャをいただけます。

 

スペイン伝統の陶器市「メルカド・デ・エスクラエタ」

バレンシア市内の中心部に位置する大聖堂に隣接するレイナ市場では、毎年5月頃に大勢の人々が集まります。人々のお目当てはメルカド・デ・エスクラエタ。スペインを代表する陶器市です。ここバレンシアで、毎年5月から6月の約1ヶ月間に渡って開催されています。

3PotteryMarket_valencia.jpg

メルカド・デ・エスクラエタの起源は13世紀まで遡ります。イベリア半島のイスラーム支配が終焉を迎え、キリスト教化が進んでいた当時のスペインにおいて、商人たちは自身の作品を展示する場所を探していました。自身の作品を露出し、商人ギルドへの加入を認めてもらうために、大聖堂の付近で露店を構えたことがきっかけです。当時はお客さんのほとんどがバレンシアの人々となっていましたが、メルカド・デ・エスクラエタが徐々に伝統行事として定着していくにつれ、スペイン全土からお客さんが集まるようになりました。今ではスペインを代表する、長い歴史を持つ伝統的な市場の1つとして知られています。

4reina_valencia.jpg

当時の伝統は現在も受け継がれ、多くの露店が大聖堂のヒエロス門に近いレイナ広場に並んでいます。バレンシアの伝統的な調理器具である器や、オーブンでご飯を焼くのに最適なテラコッタの鍋などの実用的な品から、思わず欲しくなる小さな食器やタイル製の雑貨まで、幅広い商品が並んでいます。

 

バレンシアの陶器市を歩く

実際に陶器市へと足を踏み入れると、驚かされるのは出店されているお店の数。並んでいるお店の数は約20〜30店で、どのお店にもカラフルで可愛らしい品々が並びます。スペインを代表する陶器市なだけあり、バレンシアの街並みを表現しているようなカラフルな陶器を中心に、世界的にも知られているハエン陶器など、バレンシア以外の地方の陶器や雑貨も見かけます。洗練された品から素朴な品まで、自宅のリビングや食卓に彩りを加えてくれそうなアイテムばかりです。3ユーロなどで購入できる小さい雑貨などもあり、お値段も非常にリーズナブル。食器だけでなくちょっとした雑貨なども購入したくなります。

5PotteryMarket_valencia.jpg

職人さんはこの日のためにスペインの各地方から集まっているそうで、気になった品については作成秘話や製品に対する想いなどを直接聴くこともできます。スペインでは陶器市以外にも各所で定期的にストリートマーケットが開催されていることから、現地の人々はお話を楽しみながら商品を選ぶことが非常に多いです。日本のフリーマーケットを想像されるとイメージが湧きやすいかもしれません。
余談ですが、スペインでは知り合いでなくても街中で簡単な会話を交わす文化が浸透しており、それはこのメルカド・デ・エスクラエタでも同様です。少し歩くだけで多くの人々の話し声や、時には笑い声、さらには大きな声での値切り交渉が聞こえてくるのは、スペインならではと言えるかもしれません。ただし、言語面は要注意です。スペインでは想像以上に英語が通じない地域が多く、バレンシアも例外ではありません。こちらが簡単な英語で話しかけても、容赦なくスペイン語で返されることもしばしば。簡単なスペイン語の単語は覚えていくといいかもしれません。それでも、スペイン人は陽気で明るい性格の人が多いため、簡単な単語でもスペイン語で話しかけると、とても喜んでくれますよ!

気になったお店を覗いてみると、陶器の陳列方法にも独自の風習があるようです。陶器や雑貨が隙間なく敷き詰められているだけでなく、露店から吊り下げられた陶器が大きなインパクトを与えます。それも、目に入った1つの露店だけでなくどの露店でも同じ陳列をされています。日本人の目線だと「危ない」と感じてしまいますが、実際に陳列方法を尋ねてみると、「自慢の品々を目立つところに置くため」と言っておられました。確かに最も目立つ場所に吊るされている陶器はどれも職人さんのこだわりを感じられるような作りとなっていて、そのお店のイチオシ商品と考えていいかもしれません。雑多に並んでいる陶器の中で、一際目を引くような展示がされています。

6PotteryMarket_valencia.jpg

メルカド・デ・エスクラエタでは、陶器だけでなく、タイル製の雑貨も多く売られています。スペインタイルは、イスラーム時代のアラベスク模様と、独自のカラフルさが折り重なっている、スペインを代表する様式です。スペインの街中を歩くと、看板や表札などに使われていることを目にする機会が多いかもしれません。メルカド・デ・エスクラエタで売られているタイル製品には、マグネットやコースターなどが多く、どれも可愛らしく素敵な品ばかりです。メルカド・デ・エスクラエタを訪れた観光客の人々は、小さなタイル製の雑貨を購入して帰ることが多いんだとか。

7town_valencia.jpg


 

メルカド・デ・エスクラエタを歩くと、伝統を受け継ぐ職人さんのこだわり、カラフルで彩りに満ちた陶器や雑貨、スペイン人らしく陽気で明るい人々など、ここでしか感じることのできない「活気」を感じられます。ベタな観光とは異なるけれども、スペインらしさを感じられる時間を、ここバレンシアで過ごせることに間違いはありません。ここ数年は社会情勢の関係で海外渡航も難しくなってきていますが、日常が戻った際には、スペイン最大の陶器市で、自分にぴったりの陶器を探してみてはいかがでしょうか。

8people_valencia.jpg



 


 

欧州航路ではヨーロッパ中のアイテムを中心に スペインのアイテムも取り扱っております。
中には「メルカド・デ・エスクラエタ」で売られていることもある、
ハエン食器や、スペインタイルなど、スペイン色の彩り豊かなアイテムもあります。

4月15日より「スペイン・バレンシアの陶器市」イベントを行っており、
ヨーロッパの食器など盛り沢山となっています!
気になる方はオンラインショップ、もしくは実店舗まで。
 

▼欧州航路 オンラインショップ▼

ousyuu_オンラインバナー.jpg


欧州航路 ショップリストは コチラ▼

Oshukoro_shop_NEW.jpg
 

欧州各地にはそれぞれの歴史に紐づく伝統に裏打ちされた、ストーリーとそれにまつわる素敵なモノに溢れています。
そんな素敵なモノが生活のなかにあることで毎日がちょっと豊かに。
「日常の中の小さな幸せ」を感じてもらえるようなモノづくりを目指しています。
 

欧州航路ロゴ

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE